獲物

蜘蛛星

屑の宴③

秋が来た。
美しい紅葉に心を踊らせる僕の隣で、彼は世界が滅べばいいのにと息を吐く。相変わらずのにやけ顔に嫌気がさしてきた。でも、それはきっと人と接するのが下手な彼なりの笑顔なのでは、と思う。
ある日、僕は彼の友人を増やそうと思った。僕のモヤモヤを半分背負ってくれる人を求めた。それがどうやらとてつもなく間違いだったようで、僕は三という数字に縁がないことを思い出すのが遅かったのだ。
見つけた友人は、彼と同じタイプの人間だった。三人になって、必然的に一人余る構図になってしまう。それが僕の役になった。
「俺今度学校にサバイバルナイフ持って行こうと思うんだよね。みんな殺してやりたいんだ。」
「いいね、私筆箱にカッター5本くらい入ってるんだwそれ使って授業中リスカしようかな〜。」
何が面白いのかわからない。楽しそうに語る二人が気持ち悪かった。僕はこの世界が大好きなわけではないけれど、むしろ昔からこんな世界大嫌いだけど、それでも必死に好きになろうとした現実だった。それを全て馬鹿にされている気分だった。僕の努力を嘲笑われているような気がした。
延々と続く彼らの気持ちの悪い話に、僕は耳を塞ぐこともできず愛想笑いを繰り返すだけだった。毎日、心が疲弊していくのを感じた。このままだと僕は泥のようになって、誰にも気づかれず落ち葉と共に土の養分になる気がした。

僕は彼と縁を切る決意をした。
ちょうどその夜、雪が降った。

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