獲物

蜘蛛星

屑の宴②

夏が来た。
彼と友人になって、丁度一年の月日が流れたらしい。じっとりとした空気に包まれ、僕らは学校祭の準備を進めていた。教室展示部門、絵画部門、ステージ発表部門の三つの部門に分かれて全クラスで対抗戦をするのだ。僕らはもちろん、絵画部門を選択した。それ以外できる気がしなかったからだ。
「でもさ、全部任されるのは違うと思うんだよ。」
たった二人で自分の身長ほど大きなキャンパスに絵を描くのは難しいことだ。だが、彼がそれでできると言うから仕方なく僕も賛同しただけの話で。
「だって俺他の人とやるとか無理だし。二人でやった方が無駄な気遣わなくて済むし。それに俺が他の人とニコニコしながら作業できると思う?無理に決まってんじゃん。」
ああ、うるさいなあ。僕の気持ちも悟ってくれよ。なんて思ってしまったが、確かに僕も営業スマイルで疲れることがないから合理的だと納得した。

ただ、僕らが思っていた以上にそれは大変なことだった。彼は時間にルーズなため、提出期限ギリギリに僕が必死になって完成させる事態になった。詰め込みすぎたせいで細部まで綺麗に塗れていない。その影響か、賞を取ることができなかったのだ。それに加えて、当日彼はあからさまにやる気を出さなかった。確かに営業スマイルは疲れるが、楽しいことが好きな僕にとってそれは興を冷ますことで、またモヤっとした何かに包まれた。
湿度の高いその気持ちは、学校祭が終わってしばらくしても僕の周りに張り付いていた。

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