蒼の少女飛行隊

青空 トシキ

第2章 千歳基地 第204飛行隊

昼頃、千歳基地では帰還した部隊の轟音ごうおんが鳴り響く、

「あちゃ〜今日も派手にやられちゃったね〜」

歳は16程度身長もさほど高くない黒髪にポニーテールの少女が呟く

「最近妖精無人機さんすごく活発ですものね。」

今度は茶髪ロングのお姉さんがふわふわした声音で言う

任務から帰還した部隊を見ると、出撃の際6機いたF-35Aが2機まで減っているその2機も傷だらけである。

ここ千歳基地はサード連邦無人機
ハーヴェスト刈り取る者から日本を守る最前線基地となっている。

基本的には航空自衛隊第201飛行隊、203飛行隊が本拠地としている。
だがこの基地には存在しないはずの部隊がある。

    『第204飛行隊』

表では那覇基地所属の部隊として扱われているが…
裏では千歳基地所属のエリート部隊となっていて、
驚くことにその全員が女性だという。

さっきの少女達も204飛行隊の隊員である。
黒髪の子は 3番機 朝日奈あさひな ひびき
茶髪の女性は 2番機 色川いろかわ 摩耶まや

2人とも見かけによらず、ものすごい撃墜記録を叩き出している。

「色川さ〜ん!朝日奈さ〜ん!ブリーフィング始まりますの〜!」
本部の方から声がする。
ブロンズの髪にツインテールの小柄な少女が呼んでいる。

「あら、もんこんな時間、行きましょうか?」

「うんそうだね!行こうか?」
っと次は本部の方を向き
「サッキ〜!今行く〜!」
金髪の少女は手を振って返事する、
彼女は 小嶋こじま さき 
隊では最年少でまだ幼さはあるものの、
抜群の反射神経と身体能力により撃墜数を増やしている。

ブリーフィングルームに入るともう皆集合していた。

「単刀直入に説明する。新型のUAV(無人機) が千島列島上空で目撃された。」
室内がざわつく、
「静かに!その新型機だが偵察隊の報告によるとどうも様子がおかしいらしい、」

1人が手を上げた

「どうした?天野一等空佐、」

すると白髪ロングの綺麗に整った髪がふわっと浮き上がる。

「様子がおかしいというのは、どうおかしいのですか?」

天野あまの 鏡花きょうか 』
彼女の名前だ、

「何やらずっと旋回しているらしい、」
「敵の規模は?」

「報告に上がっている物のみだと12機内1機が新型だという、」

「なるほど…了解です。」

「他に質問がある者はないか?…
無いようだな、新型の形状は全翼機、その他の事はただいま調査中だ、今回の任務には201、204飛行隊にあたってもらう、天野一等空佐!」
「はい…」
「お前が本作戦指揮を取れ、ヒトサンマルマル13:00作戦開始、以上!解散!」

私は天野 鏡花
一等空佐で第204飛行隊 隊長、
今回の任務の指揮を命じられた、

(指揮官か…あんまり気は回らないけど…)
(任務までまだ時間もあるし機体の整備でもしようかしら、)

格納庫に入ると1人の少女が機体を整備していた。
「あっ!タイチョーちゃんだ!どしたの?」
「朝日奈さん…何度も言いますがその呼び方やめていただけませんか?」
「え〜!じゃあ鏡花ちゃん!」
「ッ〜!キッ!キョウ!、だから!普通に呼んでください!」
思わず赤面してしまった、
だがすぐ取り直す。
「あなたも整備ですか、随分熱心にやっておられましたが?」
「前の任務で撃墜した敵機の破片食らっちゃって、最終チェックしてたところ〜、ところでどう思う〜今回の任務〜、」
そのままのテンションで聞いてきた、
「あなたも勘付いていましたか…
おかしいですね、連邦が新型機を野放しにするはずありません、それに新型機の初運用にしては護衛が少なすぎる…」
「やっぱね〜タイチョーちゃんがいうんだから間違いないや、」
「だーかーらー!」
「わっ、分かった分かった、やめるから殺気出すのやめて〜」

朝日奈さんと別れ自分の機体に向かう、

白い機体、左翼の半分は青色、双発エンジン、二本の垂直尾翼そこに書かれた釜を背負った鷲のマーク、
機首、翼に赤い日の丸、
(F-15EJ改ニ)ボーイング社の大型ジェット戦闘機F-15戦闘機をベースに航空自衛隊が製造した第4.5世代ジェット戦闘機、一般のF-15Eに比べハイパワー、高機動を可能にし、電子機器も最新のものに変わっているが、製造費用が高く航続距離が短くなってしまった為、量産には至らなかった、
(整備とは言ったものの特にすることが無いわね…)
「エンジン出力問題なし、エアブレーキ問題なし、右左翼問題なし、垂直尾翼尾翼も…」
(あとは整備班が進めてくれるし…どうしよう本当にやることがなくなってしまったわね…)
とりあえず格納庫を後にする蝉が鳴いていた、差し込む日差しが肌を焦がす、



「タイチョーちゃん食事行こ!」
どこかで待っていたのか後ろから声がした、
「だからあなたは!…もういいわ…
好きに呼んでちょうだい…」
「やったー!ところで昼まだでしょ?マーヤが席取っといてくれてるから一緒に行こ!」
「いいですが…」
「そうと決まっれば!ほら走る走
る!」
っとまあ手を引かれ連行され食堂に入る、
「あっ!いたいた!マ〜ヤ〜!」
「響さん声が大きいですよ、あら、隊長さんもご一緒?」
「ええ、朝日奈さんに誘われて、同席宜しいですか?」
「いいですよ、」
とりあえず席に着く、
「タイチョーちゃんのも買ってくるよ?何がいい?」
朝日奈さんに問われる、
「宜しいのですか?では朝日奈さんのと同じで、」
「響さん走らないようにね、」
「了解!」
朝日奈さんが券売機に向かう、
「小嶋さんは?」
私が問うと色川さんは窓の外を見た、
「咲ちゃんは一人で先食べてましたよ…」

「……そうですか…すみません私が無力なばかりに…」
「いえ、隊長さんは何も悪く無いですよ、私なんてあの状況で敵機を一機も墜とすことが出来なかったですし…」
「小嶋さん…すごく仲良しでしたし…普通を演じているようですが、やはり…」
「隊長さん、暗い話はやめましょう、任務前ですし、昼食時ですから、」
「それもそうですね…すみません…」
「いえいえ、大丈夫よ、あら、帰ってきましたね、」
「お〜待たせ〜!」
「ありがとございます朝日奈さん、」
「さあ食べましょうか、」
「「「いただきます!」」」

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