地の底から這い上がる

海月結城

再会3

 ダンジョンに向かった俺は、すぐに目的の階層まで辿り着いた。そこで見たのは、崩れ落ちたにゃぽだった。

「あ、崩れ落ちた」
「誰?」

 俺のつぶやきににゃぽは気づいた。

「よ、久しぶりだな」
「え、ご主人様?」
「そうだぞ。お前のご主人様のケイゴだぞ」
「う、う、あ、会いたかったよーーーー」

 にゃぽは、泣きながら俺に抱きついてきた。

「おー、よしよし。待たせたな」
「うー、やっと、やっと会えたよ。ずっと待ってたんだよ」
「おう、待たせたな」

 それからも、にゃぽは泣き続けた。

「泣き止んだか?」
「……うん」
「色々聞きたいけど先ずは、発光石を取らないとな」
「うん」
「にゃぽ可愛くなったよな」
「え、ほんと!? やった。嬉しいな。ふふ、えへへ」

 にゃぽは、顔を赤くして、俯いてしまった。

「さ、取りに行こうか」
「う、うん」

 俺は、服を脱いで池に潜ろうとした。

「ちょ、ちょっと。何してるの!?」
「何って、見ればわかるだろ?」
「分かるけど。分かんないよ」
「にゃぽは魔獣なんだから。人の裸なんて見ても何も思わないだろ?」
「ご主人様、酷い!!」
「え、えぇ」
「私だって、人の中で生活してたら、人の感情は分かったんですよ。私にも写ったんですよ」
「そ、そうなのか。だったら、少しの間そっち向いていてくれるか?」
「うん。分かった」

 にゃぽがあっちを向いていることを確認して服を脱いで、発光石を取ってきた。見られてた様な気がしたけど、きっと気のせいだと思う。

「おまたせ。このぐらいあれば足りるか?」
「うん。ありがと。ご主人様」
「帰ろうか。にゃぽ」
「はい!」

 それから、俺たちは、ダンジョンを逆走して帰っていた。

「なぁ、聞いてみいいか?」
「そうだよね 。気になるよね。と、言っても、そこまで深い話じゃないよ」
「そうなのか?」
「ご主人様が、あいつらとダンジョンに向かった後、暇だったから外を散歩してたんだよ。そしたら、ご主人様の名前を出して話をしてたから、近づいたんだ。そしたら、催眠術を掛けられたんだ。ちゃんと意識はあったんだ、けど、喋りたい言葉を喋れなくて、体も動かないし。だからご主人様に言ったあの言葉も、私の言葉じゃないんだよ。信じてくれる?」
「もちろん。信じるよ。帰ったら、契約しようか」
「うん!」

 それからは、俺の話をして仲間たちがいる宿屋に着いた。

「ただいまー」
「サリー、お腹減ったよ」
「……あれ、返事がない」
「え、嘘。ご主人様。これ見て」
「どうした」

 テーブルには一枚の紙が置いてあった。

ーーーーー
お前の仲間は私が預かった。
返して欲しかったら、この村まで来るんだな
ーーーーー

 そこには、もう一枚紙が置いてありシャルル王国からの道のりが書いてあった。

「すごい、詳細に書いてあるな。これは、あいつか。はぁ、あの時殺しておけばよかった」
「どうするの?」
「もちろん。今から行くさ。と、言っても召喚すれば良いんだけどな」

 そう言って、ルガーノを召喚した。

「魔力で契約してるから、こうやって呼び出せるのはいいな」
『忘れていたら、どうしようかと思ったぞ』
「これが、ルガーノさん?」
『ほう、お主がにゃぽか。仲良くしようか』
「で、どうして捕まったんだ?」
『キャスがここに来たんだ。来る前から、魔法を使っていてな、それで、捕まったんだ』
「そうなのか。行こうか。っと、その前ににゃぽと契約をしてから行こう」

 そして、にゃぽと契約してキャスのところに向かった。

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