地の底から這い上がる
脱出
ザク、バサァ、ザク、バサァ
俺は浮上してくる意識の中で、そんな音を捉えていた。
(体が重い、動けない。何か上に乗っているような……)
そこで意識を取り戻した俺は、現状を理解するのに数秒を要した。
人化したルガーノが、俺を地面の中に埋めようとしていたのだ。
「ちょっと待て!」
「うわっ! お主生きていたのか ︎」
「生きてるよ、勝手に殺すな。アホ」
「アホとは失礼な ︎」
「アホだよ。自分事も分かってない奴がアホ以外の何者でもないだろう?」
「・・・あ」
「あってお前は」
「しょうがないだろう。契約主が死んだら我は本に戻るなんて覚えておらんかったわ」
「はぁ、分かったよ。で、出してくれない?」
「分かったのだ」
ルガーノはどこからともなく出してきたスコップで俺ことを掘り返した。
「にしても、お主変な奴だな。毒が全身に行き渡ってたのに、生きたおるとわな」
「なんか、ちょっと前にもこんなことがあったな」
「そうなのか?」
「まぁな。あれは、まだ俺が弱かった時にゴブリンに背中を襲われてな、大量出血で死ぬかと思ったんだが、傷が消えて何故か生きてたんだよな」
「それは、大変な目にあったな」
それから俺たちは、二十階層を突破し十階層に到着した。
「後、十層で外に出れるのか」
『では、急ぐとしよう』
俺たちは、自分に掛かっている「制限」を外し、全力で駆け抜けていく。
「そこの角に魔物が三体」
『では、このページだな』
「助かる。「ライトニング」「追跡」付与」
腕を前に出し、そこから青色の雷が迸った。それは、角のところに差し掛かる前、ひとりでに曲がりそこにいる魔物を黒焦げにして倒した。
「よし、少し速度を上げるぞ」
『分かった』
走る速度を上げ、九層〜二層をほんの数分で攻略した。
「よし、後は外に出るだけだな」
『外に出たらまず何をするんだ?』
「そうだな。一旦何処かの国の首都でこれを今まで集めたものを売りさばいて、悲しい奴がいたら助けて回りたいな。ま、予定だから、どうなるか分からないけどな」
『では、近くの国を目指すって事で良いのか?』
「そうだな。お、あれが出口じゃ無いか?」
『ほんとだ、光が見えるな』
そして、俺たちは始まりのダンジョンを脱出することに成功した。
時は遡り、偵察隊。
「これは、どういう事だ?」
「死体が無いぞ?」
「おいお前、これはどういう事だ?」
「え? 嘘だ。たしかに、死体はここにあったんです! ほら、あそこに血の跡がありますよ」
「そんな、誰の血か分からないものをあいつらが死んだって言う証拠にならないだろ」
「そ、そうですけど」
少しの沈黙が続いた中、偵察隊の誰かが呟いた。
「な、なぁ、あそこにあるのってもしかして……」
「あれは……人の、腕?」
偵察隊の一人がそれに近づき、あるものを見つけた。
「おい、みんな見てくれ」
その声に、一人、二人と近づき、その腕を囲んだ。
「この指についてるものって、レンジが付けてる指輪じゃないか?」
「確かに」
「レンジって、自分のものには名前を彫る癖があったよな?」
指輪を外し、内側を覗き込むと、そこには「レンジ」と名前が彫られていた。
「決まりだな。これはレンジの腕だ。だが、妙だな」
「そうですね。なんでレンジの腕だけがここにあるのか、ですね」
「誰かが、これだけ以外を持ち出したって事もあると思うぞ」
「だったら、何の為だ?」
「んー、分からないな」
「俺が、上に報告しておくぞ」
結局、偵察隊のリーダーが上に報告することに決まり、全員でギルドに戻り、解散した。
俺は浮上してくる意識の中で、そんな音を捉えていた。
(体が重い、動けない。何か上に乗っているような……)
そこで意識を取り戻した俺は、現状を理解するのに数秒を要した。
人化したルガーノが、俺を地面の中に埋めようとしていたのだ。
「ちょっと待て!」
「うわっ! お主生きていたのか ︎」
「生きてるよ、勝手に殺すな。アホ」
「アホとは失礼な ︎」
「アホだよ。自分事も分かってない奴がアホ以外の何者でもないだろう?」
「・・・あ」
「あってお前は」
「しょうがないだろう。契約主が死んだら我は本に戻るなんて覚えておらんかったわ」
「はぁ、分かったよ。で、出してくれない?」
「分かったのだ」
ルガーノはどこからともなく出してきたスコップで俺ことを掘り返した。
「にしても、お主変な奴だな。毒が全身に行き渡ってたのに、生きたおるとわな」
「なんか、ちょっと前にもこんなことがあったな」
「そうなのか?」
「まぁな。あれは、まだ俺が弱かった時にゴブリンに背中を襲われてな、大量出血で死ぬかと思ったんだが、傷が消えて何故か生きてたんだよな」
「それは、大変な目にあったな」
それから俺たちは、二十階層を突破し十階層に到着した。
「後、十層で外に出れるのか」
『では、急ぐとしよう』
俺たちは、自分に掛かっている「制限」を外し、全力で駆け抜けていく。
「そこの角に魔物が三体」
『では、このページだな』
「助かる。「ライトニング」「追跡」付与」
腕を前に出し、そこから青色の雷が迸った。それは、角のところに差し掛かる前、ひとりでに曲がりそこにいる魔物を黒焦げにして倒した。
「よし、少し速度を上げるぞ」
『分かった』
走る速度を上げ、九層〜二層をほんの数分で攻略した。
「よし、後は外に出るだけだな」
『外に出たらまず何をするんだ?』
「そうだな。一旦何処かの国の首都でこれを今まで集めたものを売りさばいて、悲しい奴がいたら助けて回りたいな。ま、予定だから、どうなるか分からないけどな」
『では、近くの国を目指すって事で良いのか?』
「そうだな。お、あれが出口じゃ無いか?」
『ほんとだ、光が見えるな』
そして、俺たちは始まりのダンジョンを脱出することに成功した。
時は遡り、偵察隊。
「これは、どういう事だ?」
「死体が無いぞ?」
「おいお前、これはどういう事だ?」
「え? 嘘だ。たしかに、死体はここにあったんです! ほら、あそこに血の跡がありますよ」
「そんな、誰の血か分からないものをあいつらが死んだって言う証拠にならないだろ」
「そ、そうですけど」
少しの沈黙が続いた中、偵察隊の誰かが呟いた。
「な、なぁ、あそこにあるのってもしかして……」
「あれは……人の、腕?」
偵察隊の一人がそれに近づき、あるものを見つけた。
「おい、みんな見てくれ」
その声に、一人、二人と近づき、その腕を囲んだ。
「この指についてるものって、レンジが付けてる指輪じゃないか?」
「確かに」
「レンジって、自分のものには名前を彫る癖があったよな?」
指輪を外し、内側を覗き込むと、そこには「レンジ」と名前が彫られていた。
「決まりだな。これはレンジの腕だ。だが、妙だな」
「そうですね。なんでレンジの腕だけがここにあるのか、ですね」
「誰かが、これだけ以外を持ち出したって事もあると思うぞ」
「だったら、何の為だ?」
「んー、分からないな」
「俺が、上に報告しておくぞ」
結局、偵察隊のリーダーが上に報告することに決まり、全員でギルドに戻り、解散した。
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