地の底から這い上がる

海月結城

人化

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 ギルドはいつも通り賑やかだった。けれども、いつもと違う所が一つ。いつもは独り占めする小さな情報を、その場にいる全員と共有しているのだ。

「皆さん! 準備はいいですか? これから、レンジさんたちの状況を確認するための偵察隊を組みます。どなたか着いてきて下さい!」

 その日の内に偵察隊が組まれ、二日後ダンジョンに出発することになった。
 二日後、偵察隊はダンジョンに出発した。偵察隊にはギルド員が二人。冒険者が十人で編成された。

「 レンジは何階層に居たんだ?」

 偵察隊の隊長は、隣にいる人物に話しかけた。

「えっと、三十四階層です」
「結構深い所まで行ってたんだな。だが、そこならレンジたちは死なないよな」
「そう、なんですよね。あ、ダンジョンに着きましたね。では、ここで、転移を使って現場まで一気に行きますよ」
「おう、頼んだ」

 そして、三十四階層に着いた偵察隊は、信じられないものを見た。

 その頃ナツメは、頭を悩ませていた。

「なぁ、これどういう事?」
『いや、そんなこと言われても分からないぞ』
「ってか、この設定ってなんだよ。元の姿に戻るんじゃ無いのかよ」
『そんなこと言われても、我も初めての試みなのだ。でも、我がなりたかった姿になれるのは嬉しいな』
「え、それで良いのか?」

 俺は、ルガーノの、『なりなかった姿になれる』という言葉に、引っ掛かりを覚えた。

『ん? どういう事じゃ?』
「ルガーノは、本当にそれで良いのか? もう会うことが出来ない両親が最後に残してくれた、お前の身体を復元出来るかも知れないチャンスをお前は無駄にするのか?」
『……』
「ま、お前がなりたい身体を教えてくれ、その通りに作ってやるからよ」

 ルガーノはそれから少しの間を置き、口を開いた。

『……指示をするから、その通りにするのだぞ』
「分かったよ」

 ルガーノの言う通りに、身長、髪色、事細かに設定を行い。約半日を費やし、遂に完成した。

「終わったー!!」
『ふぅ、結構楽しかったぞ』
「そうかい。じゃ、最後に魔力を込めてっと。「人化」」

 俺がそのページに魔力を込めると、さっき設定した身体にルガーノが変身した。

「おー、凄いな」
『昔のままの身体なのじゃ!』
「そうか、それは良かったな」
『ああ!』

 ルガーノは赤い髪の女の子で、高校生ぐらいの見た目のようだ。

『なぁ、ナツメよ。お肉が食いたいのじゃ!』
「……え? あ、あぁ。分かったよ。ったく、もっと余韻に浸ってて良いのにな」
『しょうがないであろう。久しぶりの食事だ。楽しみになのじゃ!』
「分かったよ。今作るから待ってろ」
『何か、手伝うか? 今の我なら手伝うことが出来ると思うのだが』
「そうだな。じゃ、お肉を切ってくれないか?」
『分かったのじゃ!』

 そう言って、お肉を無限収納インベントリから出して、包丁を持つ。

『よし、行くぞ。ふん!』

 ルガーノは包丁を握り、振り下ろした。すると、ズバン!! っと物凄い音がダンジョンの最下層に響き渡った。

「え……なに、やってるの?」
『何って、肉を切っただけだぞ?』
「お前、まじか」
『ん? どうした?』

 俺は、ルガーノのお茶目な一面を見て、何も言えなくなっていた。

「あは、あはは、はは、はぁ〜」

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