地の底から這い上がる

海月結城

実力

ごめんなさい。お待たせしました。


「ここが三十四層か」
「最初の戦闘は、俺たちの動きとかを見ていてほしい」
「おう、わかった」

 迷路のようになっている道を歩いていると、右手に剣左手に盾をもった人型の魔物が現れた。

「あれは、リザードマン?」
「ナツメ、知ってるのか?」
「お世話になってる人から聞いたんだ。実物は初めて見たけどな」
「その人、元冒険者か?」
「ん~、わからないな」
「おい、今はこいつを倒すことだけを考えろ」

 シュルハに怒られた。

「すまん、じゃすぐに片をつけるぞ」
「「了解」」

 リザードマンは一体しかいないが、一個体が強いので、気を抜くと殺されてしまう。

「俺が、盾でこいつの攻撃を防ぐ、シュルハとボウマは横から攻撃してくれ」
「「了解」」

 三人がリザードマンと対峙した。一番初めに動いたのはシュルハだ。大きく円を描くように走り始めた。それに続いて動いたのはリザードマンだ。シュルハを追うように走り始めた。

「行かせるかよ」

 レンジは、盾を構えてリザードマンに突進し始めた。レンジは魔物の攻撃をもろに食らうので、重装備のため、リザードマンに追い付くことができなかった。その時、ボウマがレンジの後ろから魔法攻撃を放った。

「お前の敵はこっちだ!「ウォーターランス」」

 ボウマの目の前に人一人分の大きさの水の槍が作り出された。ボウマはそれをリザードマンに向かって放つ。ものすごい勢いで飛んで行ったそれは、リザードマンに当たった。
 と、俺は思い込んでしまった。
 リザードマンは、ギリギリのところで振り向きざまに盾で攻撃を防いだ。

「そう簡単に倒させてくれないか」

 ボウマは少し疲れたような顔をしていた。

「一旦任せた!」

 ボウマは再び魔力を練り始めた。

「こっちだ!!」

 レンジはリザードマンに向けて石を投げつけた。レンジが投げた石はリザードマンに当たった瞬間、爆発した。

「あれは、スキルの石なのか?」

 スキルの石にはそのスキルの魔法陣が内部に描かれている。しかし、今レンジが投げた魔石には何も描かれておらず、ただの魔石に見えた。

「……あれは、ただの魔石だよ」

 近くにいたボウマが俺の問いに答えてくれた。

「スキルの石じゃないのに、爆発なんて起きるのか?」
「爆発は起きる。スキルの石には負けるがな、注意を引きたい時とかに使える小技だな。おっと、集中するから話は終わりだ」

 戦いは終盤を迎えていた。リザードマンは、レンジに剣で攻撃を加えていた、が、レンジはそれを盾で防いだり、受け流していた。
 シュルハは、リザードマンに弓矢を構え、力を溜めていた。だが、リザードマンは素早く動きながら攻撃しているので、狙いが付けられなかった。

「……まだか、まだなのか ︎」

 シュルハは焦っていた。これからまだまだ下に潜っていくのに、こんなところで無駄な体力を使いたくなかったのだ。しかし、そんな心配は一瞬で消え去った。
 リザードマンがレンジに向かって大きく剣を振り下ろした。それを待っていたかのようにレンジは盾を一瞬手元に戻し、振り下ろされた剣とタイミング合わせ剣を弾いた。リザードマンは崩された体制を戻そうとその場で止まってしまっていた。
 それを見逃さないシュルハでは無い。呼吸を整えて弓の弦から指を離した。シュルハが放った矢は一寸の狂いもなくリザードマンの頭に突き刺さった。
 リザードマンはそのまま力無く倒れなかった。

「ちっ! 威力がまだ足りないか!! ボウマ!」

 シュルハ最後の一撃をボウマに頼んだ。だが、

「すまん、まだ少しかかる!!」

 リザードマンは瀕死になると仲間がそれを感知して近くにいる敵を倒す習性を持っている。そして、今この場にはトドメをさせる力を持ったものが居ない。そう、一人を除いて。

「……これで、終わりだ!」

 俺は、リザードマンに矢が刺さった瞬間に倒れないという事が何となく分かり、リザードマンに向かって走り出していた。リザードマンの頭にある矢をもっと奥に刺すために、拳を構えて振り下ろし、頭もろとも砕いていた。

「レンジ達のパーティーには、アタッカーが少ないみたいだな。俺ならそれを埋められるぞ!」
「……あ、あぁ。少しの間だか、頼むぞナツメ」
「おう!」

 倒したリザードマンは、魔石を残して消えていった。

「すまない、助かったよ。ナツメ」
「いいんですよ。もう俺たちは仲間ですから!」
「……そう、だな」

 その後も何度か魔物と戦いながら三十五層に到着した。


やっと、車の免許を取れたので遅くなりました。

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