地の底から這い上がる
四人の勇者のダンジョン攻略“中弐”
俺は、四人の勇者にこれから起きる確定事項を話し始めた。
「いいか、お前達はこれから先必ず、人を、人に似た魔物を、人と同じ言葉を話し人と同じ外見の魔族を殺すことになる」
「人を……殺す?」
「今はまだ実感できないだろう。だが、これは勇者として避けては通れない道だ。そして、このダンジョンの三階層には、ゴブリンという人に似た魔物がいる。それをお前達に倒してもらわないといけない。言っている意味が分かるか?」
「……すみません。分かりません」
「だろうな。お前達には人を殺す準備をして欲しいと言っている」
「な、なんで?」
雪菜は俺の言葉に理解が追いついていなかった。いや、雪菜だけじゃない、全員がそうだった。
「いいか、この世界はお前達がいた世界の平和とは程遠い残酷な世界だ。盗賊だって殺さなきゃいけない場面が来る。それに、魔王も人と殆ど変わらない見た目をしている。それをお前達は殺すんだ。気持ちが整理されるのに時間がかかることは知っている。これからゴブリンを殺す、その覚悟を持って倒して欲しい。さ、次の階層は目の前だ」
四人は下を向きながら足を動かした。
「ちょっと、流石に言い過ぎじゃない?」
「まぁな、でも、覚悟を決めるのが早いから遅いかな違いだけだ。それに……」
「それに?」
「今言わないと、いざって時にあんな風になってもらったら困るからな」
「まぁ、そうね」
それからすぐに階段を降りて、二階層にやってきた。
「次の魔物について紹介する。次の魔物はダークバットだぞ」
「ダーク」
「バット」
「大きさは人間の頭と同じぐらいの大きさだ。何より厄介なのが、そいつの体が真っ黒になところだ」
「それの、どこが厄介なんですか?」
「ほら、周りを見てみろ」
「周りを?」
四人はそれぞれ壁や床、天井を見ていた。
「どうだ?」
「どうだって言われても、分かんない〜」
「俺も分かんねぇ」
「あ! って、これは考えてるから分かんないんだよ」
「どういう事だ?」
「いや、常識なんだけど、暗いところに黒いものがあると分からないでしょ?」
「うん」
「ここも同じなわけ、ここは少し明るいけど暗いでしょ。ダークバットも黒いから、ダークバットの奇襲があるかも知れないって事でしょ?」
「流石南だな、正解だ。まぁ、全く見えないわけじゃない、奴らは目が光っているからな、それを見て相手がどこにいるかを把握して戦うのもアリだぞ」
そして、俺たちはダークバットの目の前まで来た。
「よし、次は全員で戦ってみろ」
「い、いきなりですか ︎」
「いつ、どんな時も万全な仲間と戦えるわけじゃないぞ。ま、お前らならいつも一緒にいる者同士、うまく連携取れるだろ」
目の前にいるダークバットは、四体。強丞と大海が一番前に、その後ろに南、さらに後ろに雪菜の順でダークバットと対峙している。
「うわ、目が光ってて体が黒いから全然見えない」
「それはさっき聞いたでしょ」
「そうだけど、想像よりも遥かに見えにくいよ。当たるかな?」
南と強丞が話し終えると同時にダークバットが動き出した。ダークバットは、羽ばたくと上下左右に不規則に飛んでいる。
強丞は、剣を振り下ろし、大海はダークバットを貫こうとした。だが、二人の手には肉を断ち切る感触は届かなかった。その代わり、ダークバットの翼を片方切り落とし、貫いた。そして、飛べなくなったダークバットをそれぞれ倒した。
「残り二体は私たちに任せて! 行くよ雪菜」
「まっかせなさーい!!」
南は弓を引き深呼吸を始めた。雪菜は杖を構え魔力を杖に集まる。そして、南は息を止め目を「カッ」と開き、雪菜の杖は微妙に土色に輝いていた。
「っふ!!」
「貫け! 『ランド』」
南の矢は、ダークバットの目を、綺麗に打ち抜いた。雪菜の周りには直径十センチ程の土の塊が浮いていた。それが、すごい速さでダークバットの体を貫いた。
「どうよ!」
「流石だな、でもよくそのダークバットを殺せたな。さっきあんな話をしたばかりなのに」
「ま、殺らなきゃ、殺られるんだから、必要な犠牲よ」
「ね、死にたくないから私たちも必死なのよ」
「そうか、なら少し休憩してから今日最後の階層に行くぞ。次の魔物はゴブリンだからな。一応気持ちの整理をしておけよ」
「「「「はい!」」」」
俺が持ってきていた、常備食を食べて次の階層に向かった。
「いいか、お前達はこれから先必ず、人を、人に似た魔物を、人と同じ言葉を話し人と同じ外見の魔族を殺すことになる」
「人を……殺す?」
「今はまだ実感できないだろう。だが、これは勇者として避けては通れない道だ。そして、このダンジョンの三階層には、ゴブリンという人に似た魔物がいる。それをお前達に倒してもらわないといけない。言っている意味が分かるか?」
「……すみません。分かりません」
「だろうな。お前達には人を殺す準備をして欲しいと言っている」
「な、なんで?」
雪菜は俺の言葉に理解が追いついていなかった。いや、雪菜だけじゃない、全員がそうだった。
「いいか、この世界はお前達がいた世界の平和とは程遠い残酷な世界だ。盗賊だって殺さなきゃいけない場面が来る。それに、魔王も人と殆ど変わらない見た目をしている。それをお前達は殺すんだ。気持ちが整理されるのに時間がかかることは知っている。これからゴブリンを殺す、その覚悟を持って倒して欲しい。さ、次の階層は目の前だ」
四人は下を向きながら足を動かした。
「ちょっと、流石に言い過ぎじゃない?」
「まぁな、でも、覚悟を決めるのが早いから遅いかな違いだけだ。それに……」
「それに?」
「今言わないと、いざって時にあんな風になってもらったら困るからな」
「まぁ、そうね」
それからすぐに階段を降りて、二階層にやってきた。
「次の魔物について紹介する。次の魔物はダークバットだぞ」
「ダーク」
「バット」
「大きさは人間の頭と同じぐらいの大きさだ。何より厄介なのが、そいつの体が真っ黒になところだ」
「それの、どこが厄介なんですか?」
「ほら、周りを見てみろ」
「周りを?」
四人はそれぞれ壁や床、天井を見ていた。
「どうだ?」
「どうだって言われても、分かんない〜」
「俺も分かんねぇ」
「あ! って、これは考えてるから分かんないんだよ」
「どういう事だ?」
「いや、常識なんだけど、暗いところに黒いものがあると分からないでしょ?」
「うん」
「ここも同じなわけ、ここは少し明るいけど暗いでしょ。ダークバットも黒いから、ダークバットの奇襲があるかも知れないって事でしょ?」
「流石南だな、正解だ。まぁ、全く見えないわけじゃない、奴らは目が光っているからな、それを見て相手がどこにいるかを把握して戦うのもアリだぞ」
そして、俺たちはダークバットの目の前まで来た。
「よし、次は全員で戦ってみろ」
「い、いきなりですか ︎」
「いつ、どんな時も万全な仲間と戦えるわけじゃないぞ。ま、お前らならいつも一緒にいる者同士、うまく連携取れるだろ」
目の前にいるダークバットは、四体。強丞と大海が一番前に、その後ろに南、さらに後ろに雪菜の順でダークバットと対峙している。
「うわ、目が光ってて体が黒いから全然見えない」
「それはさっき聞いたでしょ」
「そうだけど、想像よりも遥かに見えにくいよ。当たるかな?」
南と強丞が話し終えると同時にダークバットが動き出した。ダークバットは、羽ばたくと上下左右に不規則に飛んでいる。
強丞は、剣を振り下ろし、大海はダークバットを貫こうとした。だが、二人の手には肉を断ち切る感触は届かなかった。その代わり、ダークバットの翼を片方切り落とし、貫いた。そして、飛べなくなったダークバットをそれぞれ倒した。
「残り二体は私たちに任せて! 行くよ雪菜」
「まっかせなさーい!!」
南は弓を引き深呼吸を始めた。雪菜は杖を構え魔力を杖に集まる。そして、南は息を止め目を「カッ」と開き、雪菜の杖は微妙に土色に輝いていた。
「っふ!!」
「貫け! 『ランド』」
南の矢は、ダークバットの目を、綺麗に打ち抜いた。雪菜の周りには直径十センチ程の土の塊が浮いていた。それが、すごい速さでダークバットの体を貫いた。
「どうよ!」
「流石だな、でもよくそのダークバットを殺せたな。さっきあんな話をしたばかりなのに」
「ま、殺らなきゃ、殺られるんだから、必要な犠牲よ」
「ね、死にたくないから私たちも必死なのよ」
「そうか、なら少し休憩してから今日最後の階層に行くぞ。次の魔物はゴブリンだからな。一応気持ちの整理をしておけよ」
「「「「はい!」」」」
俺が持ってきていた、常備食を食べて次の階層に向かった。
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