地の底から這い上がる

海月結城

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 俺は朝早く起きギルドに来ていた。簡単なクエストを受けるためだ。

「おはようございます」
「あら、おはよう。朝早いわね」

 挨拶したのは昨日お世話になったキャスさんだ。

「はい、お金が無くて稼がないといけないので」
「そうなのね、てことは今日はクエストを受けに来たってことでいいのね?」
「はい、何か簡単なクエスト無いですか?」
「そう言えば、昨日教え忘れてたわね。クエストならそっちにあるクエストボードにある張り紙を見て選んでね。決まったらそれを持って受付に渡してね」
「分かりました」

 俺は、受付の隣にあるクエストボードの前に来た。

「なーにゃぽ、どんなクエストがいいかな?」
「簡単なやつでいいと思いますよ。ほら、薬草の採取ってクエストからやった方がいいと思いますよ」
「そうだよな。何か危なくなっても、そう言う知識で助かることがあるかもしれないからな」

 俺は、薬草を採取するクエストの紙をもって受付に行った。

「これ、お願いします」
「はい、分かったわ。ちょっと待っててね」

 キャスさんは、机の下から袋を取り出した。

「これに薬草は入れてね、あと、これもあげる」
「なんですかこれ、本みたいな感じですね」
「そうよ、その本には色々な草がイラストで載ってるの。それを見て薬草を取ってきてね」
「はい、ありがとうございます」

 俺は、それらを持って薬草が取れる『メー草原』に来ていた。

「よし、ここで探すぞ」
「おー!」
「えっと、薬草はどのページだ?」

 俺は、薬草について書かれているページを開いた。

「お、あったあった。えっと、薬草は水辺に生息していて、怪我した時なそれを薬にして回復出来る、か。なるほどね」
「何か分かりました?」
「水辺に生息してるらしいから、川が流れてるところに向かうぞ」
「分かりました。ご主人様!」

 そして俺たちは、運が良いことにすぐに川を見つけることが出来た。

「多分、ここら辺に生えてると思うんだけどな」

 だが、そこからが長かった。薬草に似た猛毒の草しか見つからないのだ。

「はぁ、全然見つからない」
「似てるものは見つかるんですけどね」
「それじゃ、もうちょっと上流の方に行ってみようか」
「はい!」

 俺たちは上流を目指して歩き始めた。

「ん〜、見つからないな〜」
「そうですね。それにお腹も空いてきちゃいました」
「そうだな。そこら辺にある果物でも食べるか」
「はい! では、少し待っていてください。直ぐに見つけてきます!」

 にゃぽが果物探しに行った後、俺は一人で薬草探しを開始した。俺は、下を向きながらふらふらと歩いていた。

「ん? あれってもしかして……!!」

 俺は、緑色の木の近くに群生している薬草を見つけた。

「あった、やっと見つけた!!」
「おーい、ご主人様〜!!」

 ちょうどその時にゃぽが果物を持って戻ってきた。

「おい、にゃぽ。遂に見つけたぞ!!」
「見つけたって、薬草ですか!?」
「そうだ。見てみろこの数の薬草を!!」

 俺とにゃぽは歓喜のダンスを踊り、薬草を袋一杯に集めた。

「よし! これで安心だな」
「そうですね〜、見つからないと思っちゃいましたよ」
「さて、にゃぽが持ってきてくれた果物を食べたらギルドに帰ろうぜ」
「はい!」

 俺たちは、お腹が一杯になるまで、ぶどうのような果物食べた。

「にしても、この本全然違うことが書いてあったな」
「はい。間違えたんでしょうか?」
「でも、薬草集めってギルドに登録した人達なら誰しもが通るクエストだろ。そんな大事な情報をわざと間違えるようなことしないだろ」
「そうですよね」

 そして、俺たちは再びシャルル共和国の中に入ろうとした。

「お前たちは、朝早くからクエストに向かった奴らだったよな」
「はい、クエスト分薬草を集め終わったので帰ってきたところです」
「そうか、一応その袋の中を確認させてもらっても良いか?」
「はい」

 俺は、集めてきた薬草が入っている袋を衛兵に渡した。

「……お前たち」

 その中を見るや衛兵の二人が苦い顔をして、引く声で驚くことを口にした。

「これは、薬草じゃない」
「……え? じゃあ、それはなんなんですか?」
「これは、猛毒草だ」
「え? でも、ギルドから貰った本には薬草だった書いてありましたよ」
「ちょっと、見せてもらっても良いか?」

 俺はズボンの袋からその本を取り出して衛兵に見せた。

「これ、嘘だらけだ」
「……嘘、ですか?」
「あぁ。まず、この薬草の絵と猛毒草の絵が逆だ。説明は合ってるな。他にも……」

 他にも、絵が違ったり説明文が違かったりと、色々な嘘が出て来た。

「そんな。じゃあ俺たちは騙されてたんですか?」
「そう、なるな」
「ふーー、そうですか。では、ちゃんとした薬草を集めに戻ります」

 俺は、爆発しそうな怒りを抑えて再び森に戻った。

「人は……居ないな」
「ご主人様?」
「あっっの、くそったれがーーー!!!! 嘘だらけじゃないか!!! ふざけんなよ!!! どいつもこいつも俺をコケにしやがって!!!! クソがーーー!!!!」

 俺は今までの鬱憤を晴らすためそこら辺にある木をぶん殴りながら大声で叫んでいた。木は粉々に砕け散り、まるで大きな魔物が木をなぎ倒しながら進んでいった道のようになってしまった。

「ご、ご主人様!! 落ち着いて下さい!」
「こんなのが落ち着いていられるか!!」
「……」
「優しい人だと思ったら、裏では薄ら笑いながら、きっと今もいろんな人を受け付けしながら心の中では、俺のことを笑ってるんだよ!!! もう、こんな人生うんざりなんだよ!!!」
「……ご主人様」
「もう、嫌なんだよ……」

 俺は、今までの心の内を曝け出し遂には涙が止まらなくなってしまった。

「ご主人様には私が付いています。私はご主人様を裏切りません。だって、私はご主人様を信頼しています。最初に洞窟で見つけた時からずっと、ずっと……」

 にゃぽのそんな優しい言葉に俺は溢れる涙を止めることが出来なくなっていた。そして、俺は泣き疲れて寝てしまった。
 それから起きたのは、もう日が傾き空がオレンジ色に変わってからだった。

「ん、ん〜」
「あ、起きましたかご主人様!」
「あぁ、ありがとうな」
「そうですよ、感謝して下さいよ」
「あっ! 薬草は!」
「ご主人様が寝てた時に集めて来ましたよ」

 俺は、それのお礼ににゃぽが辞めてと言うまで撫で続けた。

「さて、帰るか」
「あ、ご主人様。これどうします?」
「あーー、一応持ち帰ろうか」
「分かりました」

 そして、再びあの衛兵に会った。

「これで大丈夫ですから」
「あぁ、大丈夫だ。それより、さっき森の方でやばい魔物が現れたとか聞いたが大丈夫か?」
「いえ、そんなの見つけませんでしたよ」
「そうか。なら良いんだ」

 そして、俺たちは一応の確認をしにサリーさんの所に戻った。

「サリーさん」
「あら、お帰り菜津芽」
「サリーさんに見てもらいたいものがあるんですけど」
「なに?」
「これって薬草であってますか?」
「えぇ、合ってるわよ」
「よかった〜。じゃ、ギルドに行って来ますね」
「え、ちょっと、なんでそんなこと聞いて来たのよ!」
「後で言いますよ」

 そして、俺はギルドにクエスト報告をしに行った。

「これ、クエストで集めた薬草です」
「はい、確認するわね。全部薬草ね。今数えるからちょっと待っててね」

 そう言って、キャスさんは薬草を何かの台にさせた。

「えっと、三十四ね。おまたせ、合計で三十四枚だから、一枚銅貨二枚だから、銀貨一枚と銅貨七枚よ」
「ありがとうございます。そう言えば、あの死体はどうでしたか?」
「あぁ、あれはね、どこかの商会が盗賊に襲われてああなったみたいよ。あの死体はなんらかのスキルが使われたんだと思うわ、スキルの石が近くに落ちてたからね。あれも、一回使うと二度と使えなくなるからね、亡くなった人たちの両親探しを今やってるみたいな」
「そう、ですか」

 俺は、それだけを言い、ギルドを後にした。

「黒か。どうしたもんかな?」

 キャスさんが色々とやっていること知った俺はこれからどうするかを考えて宿に帰っていった。


勇者側を書こうかな

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