地の底から這い上がる

海月結城

宿探し

二日連続投稿!!今までの空きをここで埋める!!


 俺たちは二人と一匹でギルドに入っていった。すると、ギルドにいた冒険者たちがこちらをギロッと睨んできた。そして、三つある受付の内、二つだけものすごい並んでいた。

「なんでこっちだけ人少ないんだろう?」
「さぁ? ま、行ってみましょう」

 俺たちが空いている受付に向かおうとした時ににゃぽが待ったをかけた。

「ご主人様、ちょっと待って」
「ん? どうしたにゃぽ」
「あの人は、ダメ」
「ん? なんで?」
「負のオーラが漂ってる。あれは、元から、いや、誰かがあの人に付けたもの、だと思う」
「そっか、だったら辞めておくか。元から不幸な俺がもっと不幸になっちまう」
「それがいいと思う」

 そして、俺たちは長蛇の列で並んでいる列に並んだ。その間に前の人になんであの人のところだけ空いているのか聞いてみた。

「ん、あぁ、それなら簡単だ。あいつは呪われている。いつからだったか覚えてないが、あいつが受付をした冒険者たちが全員消息を絶ったんだ」
「今の話ぶりだと、昔はそうじゃなかったのか?」
「そうなんだよ。あいつは昔笑顔が絶えない、このギルドで一、二を争う受付嬢だった。そんな時にさっき話したことが起きたんだ、信頼はどん底まで落ちた。おっと、次俺の番みたいだ。お前らも新人だろうけど、あいつには気をつけろよ」

 中々に、有意義な事が聞けた。

「次の方どうぞ」
「お、俺たちの番みたいだ」
「えっと、初めましてよね?」
「はい。そうです」
「今回はどうしたのかしら?」
「冒険者登録をしに来たんです」
「えっと、二人で良いのよね」

 俺は、横をちらっとみた。リリーは頭が取れるんじゃないかと思うほど、首を振っている。

「はい。二人で良いです」
「分かったわ。登録に銀貨三枚かかるけど良い?」
「はい」

 俺は、袋から金貨一枚を出した。

「えっと、はい、銀貨七枚よ。これで登録は出来るわね。じゃ、説明を始めるわね。まず、冒険者の意義からね。冒険者は魔王軍が指揮する魔物の退治が主な仕事な。他にも、その国の民たちのお手伝いとかね。木の運搬だったり、建物を建てるのを手伝ったり、荷物のお届けとかね。まず、ここまでは大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
「私も、OKよ」
「じゃ、次行くわね。次は、冒険者カードね。このカードの上に髪の毛一本置いて」
「分かりました」

 俺たちは、髪の毛を一本切りカードの上に置いた。すると、髪の毛は徐々にカードに溶け込んでいった。

「おお、すげー」
「なんとも言えないわね」
「久しぶりね、そんな反応する人は。で、このカードは貴方達が倒した魔物の数だけが記録されるわ。今、種類もどうにかできないか、頑張ってるようだけど、今は、そのカードを持っていなさい。あ、そのカード、無くしたら金貨三枚だから、絶対に無くさないでね、絶対よ!」
「は、はい」
「あ、そうそう、数の更新はこっちある機械を通してから更新されるからね。で、次は、冒険者ランクね。ランクはC、B、A、S、の四つに分かれているわ。貴方達はCランクからのスタートよ。最後に、クエストについてよ。クエストにもランクがあるわ。自分のランクと同じものしか受けられないから注意しておいてね。これで、冒険者については終わりよ、何か質問はある?」
「あぁ、質問は無いんですけど、このギルドの目の前の門の街道に、騎士と盗賊が倒れていましたよ」
「・・・ちょっと! なんでそれを早く言わないの!? 貴方達の冒険者登録よりも大事な事じゃない!! ちょっと君……」

 受付嬢は、すぐそばに居た新人らしき少年に耳打ちをして少年はギルドの扉をバーン! と開けてかけて行った。

「教えてくれてありがとうね。あ、忘れてたわ。この国にギルドは四つあるわ。東西南北の四つよ。ここは東門の前にある、シャルル共和国東ギルドよ。私はここで、受付嬢をしているわ。名前はキャスよ。よろしくね」
「よ、よろしくお願いします。キャスさん」
「それと、あの子には近づかない方がいいわよ。呪われてるから、死んじゃうわよ」

 そう言って、キャスさんは俺らの後ろの人に声をかけた。俺たちは呪われの受付嬢の前を通る時に何かが聞こえた。

「……助けて」

 と、俺はその声が聞こえた方を見るが受付嬢は真顔のままだった。その時は空耳だと思うことにした。

「で、リリーはどうするんだ?」
「私は、これから一人で生きていきます。頑張って、あの国を変えて見せます!」
「そうか、だったら、ここでお別れだな」
「そうですね。短い間でしたが楽しかったです。また、何処かでお会いしましょう」
「そうだな。それじゃ、また何処かでな」

 そうして、俺とリリーは別れた。

「まぁ、また直ぐに合うと思いますけどね。ふふ」

 リリーの小声はギルドの喧騒の中に消えて行った。

「さて、にゃぽ。宿を探すか」
「はい!」

 ギルドの外へ出るともう日が傾き始めていた。

「急ぐぞにゃぽ!」
「はいです! ご主人様!!」

 そして、俺たちは宿を探すが、どの宿も部屋いっぱいに入っていて俺たちが入れる場所が無いのだ。それに、にゃぽもいるから、動物OKの宿を探さなくてはいけない。部屋が空いていても、動物NGの場所も少なくない。

「もう、夜になっちゃったな」
「うぅ〜。ごめんなさい、ご主人様。私がいるせいで宿に止まらなくて……」

 にゃぽが涙声で謝ってくる。俺はそれをにゃぽの頭を撫でながら答えた。

「大丈夫だよ。最悪、そこら辺の裏路地でにゃぽに包まれて寝れば良いんだからな」
「ご主人様///」

 にゃぽは何故か照れているようだった。そこで俺は気づいてしまった。

「裏路地には隠れた名店があるもの、もしかしたら隠れた宿屋があるかもしれない。こうしちゃいられない! にゃぽ、行くぞ!」
「うへへ〜、へ? どこに!? え、ちょっと、引っ張らないでーー!!」

 俺はにゃぽの手を掴んで裏路地に突入した。そして、見つけた。看板には「隠れ亭」と書かれていた。

「よし、入るぞ」

 そして、俺は扉を開けた。扉を開けた先には、メガネをかけた女の人がいた。

「え? お客さん?」

 それが、彼女の第一声目だった。


さてさてさーて、これからどうなるのでしょう。

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