地の底から這い上がる
仲間
やっぱり好きだわ〜
「にしても、この道ボコボコしてて歩きにくいな」
俺は今、森の中を彷徨っている。と、言うのも、街道があったのだ、さっきまで。
「まさか、こんなところで方向音痴の弊害が出るとは思ってもいなかった。だって、道はあったしそれに沿っていこうとしてて、ぼーっとしてたらいつのまにかこんなところに居たんだよ。はぁ、お家帰りたい」
それから一時間が経過した。
「はぁ、ここどこだ? いや、この木に付けた印って、もう何周目だよ」
絶賛迷子中である。そして、もう既に夜である。
「はぁ、異世界一日目でこの仕打ちは酷すぎないか? 何処かに寝る事が出来る木のくぼみとか無いかな?」
俺は、木のくぼみを探すため暗い森の中を歩いている。そして、見つけた。
「木のくぼみは無かったけど、洞窟はあったな。よし、中に入ってみるか」
中は、それほど大きく無いようで、直ぐに行き止まりになった。
「少し寒いけど、しょうがない寝るか」
俺は、硬い地面の上に横になって目を閉じた。その後、直ぐに寝る事が出来たが数十分、数時間ごとに目が覚めてしまい、そこまでぐっすりとは寝る事が出来なかった。
「ん、ん〜。まだ夜か」
また目が覚めた時、妙な違和感を感じた。なんか、あったかいのだ。
俺は、後ろを振り向く。そこには、でかい猫が居た。
「え!? なになになになに!?」
俺は、パニックに陥っていた。
「いつから? なんで寝てるの? 襲われる?」
そんな事が頭の中でぐるぐるしている。しかし、ふと冷静になった。
「てか、こいつもふもふしててかわいいな」
俺は、猫派なので、こういう猫の姿に弱いのだ。
「まぁ、襲ってこないっていうことは、害はない……のかな?」
俺は、少しだけ離れてまた寝た。猫のお陰で暖かくて朝までぐっすり寝る事が出来た。
「にゃー」
俺はその声で起きた。
「ん、んん。っ!? そう言えばお前いたな」
「にゃー」
「ごめんな、勝手にお前の寝床に入っちまって。すぐに出て行くさ。じゃあな」
俺は、猫にお別れを言って洞窟を出た。が、何故かそいつが付いてくる。
「ん〜。どうした?」
「にゃっ!」
猫が俺の方に覆いかぶさるように飛んできた。
「お、おい! なになになに!? ど、ど、どうした!?」
俺は、喰われるかもしれないと思い、動揺が隠せないでいた。しかし、猫は俺の顔をペロペロと舐めているだけだった。
「はぁ、一体どうしたんだよ? 両親とか居ないのか?」
「にゃー?」
「いない、のか? 猫の言葉が分からない。にしても、お前大きいな、小さくなったらもっと撫でやすそう」
俺がそう言うと、猫がひと鳴き。
「にゃっ!」
と、鳴くと猫の身体が普通の猫と同じぐらいの大きさに変化した。
「ど、どうですか?」
「え?」
俺は、どこからか聞こえた女性の声に驚いていた。
「だ、誰?」
「わ、私です! 猫です!」
「え、えぇ!? 猫!?」
なんと、小さくなった猫が喋り出したのだ。
「なんで? いや、まぁ、異世界だからそういうのはある、のかな? 猫が小さくなって、喋れるようになってるし、女性の声だし、色々ありすぎて頭が痛くなってきた」
「だ、大丈夫ですか?」
「う、うん。キャパオーバーなだけだよ」
「きゃぱおーばー?」
「あ、まぁ、今起きたことが、俺の理解の範疇を超えただけだよ」
「そうですか」
猫はそう言って、俺の足元をくるくる回っている。
「何やってるの?」
「ご主人様の匂いを嗅いでるんです」
「ご、ご主人様?」
「はい! ご主人様です。ダメ、ですか?」
猫が上目遣いでこちらを見ている。可愛い!
「いや、ダメじゃないぞ」
「本当ですか!? やったー!!」
「そう言えば、なんで猫は喋れるようになったんだ?」
「なんて言えばいいんでしょうか? 簡単に説明すると、前までは、大きな体に魔力が満ちてたんですが、体が小さくなったので、その魔力が凝縮されてこうして喋れるようになったんです」
「いまいち、よく分からないな」
「大丈夫です。私もよく分かってないですから。なんとなく、感覚的にしか分かりません」
「異世界はなんでも有りなんだな。なぁ、猫。お前これからどうするんだ?」
「え、ご主人様について行きますよ。それと、猫ってやです。名前をご所望します」
「そうだよな。なんとなくそんな気がしてたよ。って、名前かー、俺ネーミングセンスないぞ? それでもいいか?」
「はい!」
俺は考えた。めっちゃ考えた。二分ぐらい。
「よし。猫の名前は『にゃぽ』に決定だ!」
「にゃぽ。可愛いです! ご主人様、ありがとう!!」
「それじゃ、にゃぽ、これからよろしくな」
「はい!」
そして、俺は新しい仲間と一緒に朝ごはんをどうするか決めるのだ。
「お腹減ったな」
「にゃぽもお腹減りました!」
「何が食えるかにゃぽは分かるか?」
「多少は分かります」
「なら、ここら辺にある果物とか、教えてくれないか?」
「もちろんです! 先ずは、あそこにある緑色の果物、とっても甘くて美味しいです!」
にゃぽが見ている方を見ると、そこには緑色のりんごみたいな形の果物がぶら下がっていた。緑色ってまだ若いイメージがあるんだよね、食えるのかな?
「ご主人様、持ってきました!」
「あ、ありがとう。よし、食わなきゃ分からないよな」
俺は、一口かじってみた。シャキ。
「おー! これは、なかなかに美味しい。林檎にそっくりだな」
「気に入って頂けましたか?」
「あぁ、すごく美味しいよ。にゃぽ、ありがとうな」
「は、はい!」
「よし、これでお腹は心配しなくていいんだけど、にゃぽって、ここが何処だか分かるか?」
「分かります! ここは、キャメル王国とシャルル共和国との丁度間ですよ」
なるほど。ってことは、俺が召喚されたのはキャメル王国だろうな、王様いたし。なら目的地は決まったな。
「よし、にゃぽ。目的地が決まったぞ。シャルル共和国に行くぞ」
「分かりました! 道案内は任せてください!」
「頼む。俺方向音痴なんだよ」
そして、俺はにゃぽの道案内でシャルル王国に向かった。
「そうだ、にゃぽってこの世界のことって詳しいか?」
「そうですね、一般的なことはわかると思います。これでも、人間の街には結構な頻度で入っているので、お金もその国の特徴も分かりますよ」
「それは、助かるな。俺はそういうのに疎いんだよ」
「? ご主人様は何処からきたんですか?」
俺はその問いに、素直に答えるか迷っていた。俺の素性を知ってせっかく仲良くなったにゃぽに避けられるのではと考えてしまっていた。
「ご主人様? どうかしましたか?」
「ん、あぁ、いや、なんでもない。なぁ、にゃぽ」
「どうしました?」
「俺が、どんな奴でも離れないでいてくれるか?」
「? 何を当たり前のことを言ってるんですか? 私は猫です。人間の事情なんて関係ないです。私は、一緒に居たい人の側にいるんでよ」
「そうだな。ありがとうにゃぽ。俺は、こことは違う世界、異世界から来たんだよ」
「へー。そうですか」
「反応薄くない?」
「いや、まぁ、なんとなく分かってました」
「あ、そうなの?」
「はい。この世界のことに疎いって言った時からなんとなく」
「逃げない、のか?」
にゃぽは俺の足元から俺の頭の上に場所を移してこう言った。
「離れるわけないじゃないですか。にゃぽはご主人様と一緒に居たい。それだけでいいじゃないですか。それに、にゃぽはこう見えて強いんですよ」
俺は、にゃぽのその言葉に泣きそうになりながらお礼を言った。今までずっと虐められてきた俺は、こうした人に出会ったことがなかった。一人いたが、もう会うことができなくてなっちゃったけどね。
「ありがとうな、にゃぽ。にゃぽとはずっと、死ぬまで一緒にいような」
「はい! ご主人様!」
猫って可愛いよね。生まれ変わるなら猫がいい。
「にしても、この道ボコボコしてて歩きにくいな」
俺は今、森の中を彷徨っている。と、言うのも、街道があったのだ、さっきまで。
「まさか、こんなところで方向音痴の弊害が出るとは思ってもいなかった。だって、道はあったしそれに沿っていこうとしてて、ぼーっとしてたらいつのまにかこんなところに居たんだよ。はぁ、お家帰りたい」
それから一時間が経過した。
「はぁ、ここどこだ? いや、この木に付けた印って、もう何周目だよ」
絶賛迷子中である。そして、もう既に夜である。
「はぁ、異世界一日目でこの仕打ちは酷すぎないか? 何処かに寝る事が出来る木のくぼみとか無いかな?」
俺は、木のくぼみを探すため暗い森の中を歩いている。そして、見つけた。
「木のくぼみは無かったけど、洞窟はあったな。よし、中に入ってみるか」
中は、それほど大きく無いようで、直ぐに行き止まりになった。
「少し寒いけど、しょうがない寝るか」
俺は、硬い地面の上に横になって目を閉じた。その後、直ぐに寝る事が出来たが数十分、数時間ごとに目が覚めてしまい、そこまでぐっすりとは寝る事が出来なかった。
「ん、ん〜。まだ夜か」
また目が覚めた時、妙な違和感を感じた。なんか、あったかいのだ。
俺は、後ろを振り向く。そこには、でかい猫が居た。
「え!? なになになになに!?」
俺は、パニックに陥っていた。
「いつから? なんで寝てるの? 襲われる?」
そんな事が頭の中でぐるぐるしている。しかし、ふと冷静になった。
「てか、こいつもふもふしててかわいいな」
俺は、猫派なので、こういう猫の姿に弱いのだ。
「まぁ、襲ってこないっていうことは、害はない……のかな?」
俺は、少しだけ離れてまた寝た。猫のお陰で暖かくて朝までぐっすり寝る事が出来た。
「にゃー」
俺はその声で起きた。
「ん、んん。っ!? そう言えばお前いたな」
「にゃー」
「ごめんな、勝手にお前の寝床に入っちまって。すぐに出て行くさ。じゃあな」
俺は、猫にお別れを言って洞窟を出た。が、何故かそいつが付いてくる。
「ん〜。どうした?」
「にゃっ!」
猫が俺の方に覆いかぶさるように飛んできた。
「お、おい! なになになに!? ど、ど、どうした!?」
俺は、喰われるかもしれないと思い、動揺が隠せないでいた。しかし、猫は俺の顔をペロペロと舐めているだけだった。
「はぁ、一体どうしたんだよ? 両親とか居ないのか?」
「にゃー?」
「いない、のか? 猫の言葉が分からない。にしても、お前大きいな、小さくなったらもっと撫でやすそう」
俺がそう言うと、猫がひと鳴き。
「にゃっ!」
と、鳴くと猫の身体が普通の猫と同じぐらいの大きさに変化した。
「ど、どうですか?」
「え?」
俺は、どこからか聞こえた女性の声に驚いていた。
「だ、誰?」
「わ、私です! 猫です!」
「え、えぇ!? 猫!?」
なんと、小さくなった猫が喋り出したのだ。
「なんで? いや、まぁ、異世界だからそういうのはある、のかな? 猫が小さくなって、喋れるようになってるし、女性の声だし、色々ありすぎて頭が痛くなってきた」
「だ、大丈夫ですか?」
「う、うん。キャパオーバーなだけだよ」
「きゃぱおーばー?」
「あ、まぁ、今起きたことが、俺の理解の範疇を超えただけだよ」
「そうですか」
猫はそう言って、俺の足元をくるくる回っている。
「何やってるの?」
「ご主人様の匂いを嗅いでるんです」
「ご、ご主人様?」
「はい! ご主人様です。ダメ、ですか?」
猫が上目遣いでこちらを見ている。可愛い!
「いや、ダメじゃないぞ」
「本当ですか!? やったー!!」
「そう言えば、なんで猫は喋れるようになったんだ?」
「なんて言えばいいんでしょうか? 簡単に説明すると、前までは、大きな体に魔力が満ちてたんですが、体が小さくなったので、その魔力が凝縮されてこうして喋れるようになったんです」
「いまいち、よく分からないな」
「大丈夫です。私もよく分かってないですから。なんとなく、感覚的にしか分かりません」
「異世界はなんでも有りなんだな。なぁ、猫。お前これからどうするんだ?」
「え、ご主人様について行きますよ。それと、猫ってやです。名前をご所望します」
「そうだよな。なんとなくそんな気がしてたよ。って、名前かー、俺ネーミングセンスないぞ? それでもいいか?」
「はい!」
俺は考えた。めっちゃ考えた。二分ぐらい。
「よし。猫の名前は『にゃぽ』に決定だ!」
「にゃぽ。可愛いです! ご主人様、ありがとう!!」
「それじゃ、にゃぽ、これからよろしくな」
「はい!」
そして、俺は新しい仲間と一緒に朝ごはんをどうするか決めるのだ。
「お腹減ったな」
「にゃぽもお腹減りました!」
「何が食えるかにゃぽは分かるか?」
「多少は分かります」
「なら、ここら辺にある果物とか、教えてくれないか?」
「もちろんです! 先ずは、あそこにある緑色の果物、とっても甘くて美味しいです!」
にゃぽが見ている方を見ると、そこには緑色のりんごみたいな形の果物がぶら下がっていた。緑色ってまだ若いイメージがあるんだよね、食えるのかな?
「ご主人様、持ってきました!」
「あ、ありがとう。よし、食わなきゃ分からないよな」
俺は、一口かじってみた。シャキ。
「おー! これは、なかなかに美味しい。林檎にそっくりだな」
「気に入って頂けましたか?」
「あぁ、すごく美味しいよ。にゃぽ、ありがとうな」
「は、はい!」
「よし、これでお腹は心配しなくていいんだけど、にゃぽって、ここが何処だか分かるか?」
「分かります! ここは、キャメル王国とシャルル共和国との丁度間ですよ」
なるほど。ってことは、俺が召喚されたのはキャメル王国だろうな、王様いたし。なら目的地は決まったな。
「よし、にゃぽ。目的地が決まったぞ。シャルル共和国に行くぞ」
「分かりました! 道案内は任せてください!」
「頼む。俺方向音痴なんだよ」
そして、俺はにゃぽの道案内でシャルル王国に向かった。
「そうだ、にゃぽってこの世界のことって詳しいか?」
「そうですね、一般的なことはわかると思います。これでも、人間の街には結構な頻度で入っているので、お金もその国の特徴も分かりますよ」
「それは、助かるな。俺はそういうのに疎いんだよ」
「? ご主人様は何処からきたんですか?」
俺はその問いに、素直に答えるか迷っていた。俺の素性を知ってせっかく仲良くなったにゃぽに避けられるのではと考えてしまっていた。
「ご主人様? どうかしましたか?」
「ん、あぁ、いや、なんでもない。なぁ、にゃぽ」
「どうしました?」
「俺が、どんな奴でも離れないでいてくれるか?」
「? 何を当たり前のことを言ってるんですか? 私は猫です。人間の事情なんて関係ないです。私は、一緒に居たい人の側にいるんでよ」
「そうだな。ありがとうにゃぽ。俺は、こことは違う世界、異世界から来たんだよ」
「へー。そうですか」
「反応薄くない?」
「いや、まぁ、なんとなく分かってました」
「あ、そうなの?」
「はい。この世界のことに疎いって言った時からなんとなく」
「逃げない、のか?」
にゃぽは俺の足元から俺の頭の上に場所を移してこう言った。
「離れるわけないじゃないですか。にゃぽはご主人様と一緒に居たい。それだけでいいじゃないですか。それに、にゃぽはこう見えて強いんですよ」
俺は、にゃぽのその言葉に泣きそうになりながらお礼を言った。今までずっと虐められてきた俺は、こうした人に出会ったことがなかった。一人いたが、もう会うことができなくてなっちゃったけどね。
「ありがとうな、にゃぽ。にゃぽとはずっと、死ぬまで一緒にいような」
「はい! ご主人様!」
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コメント
姉川京
いじめから這い上がる系ですね(^^)こういうの好きです!
お互い頑張りましょう!
あともしよかったら僕の作品も読んでください!