異世界から帰ってきたら日本が滅んでいた件について~最強の勇者の絶望の物語~
終わりの始まり
「どこだここは!!?」
荒野を前にし俺は目を疑った。
まだ、マグナ・ティエーラにいるのか??
転移は失敗??
いやでも、マグナ・ティエーラにはこんな荒野があったか??
「へー、あんたの故郷ってずいぶん廃れた場所なのね。」
!!?
後ろを振り返るとそこには、少女が立っていた。
「おわぁ!?お前なんでこんなところに!!」
「失礼ね!!心配だから付いてきてあげたんじゃない。」
生意気な口を聞くこいつの名前はフロース。異世界マグナ・ティエーラで出会ったエルフの少女だ。
少女といっても年齢は100歳を超える(俺も正確な年齢は知らない)。
魔王討伐隊の仲間であり、魔法の使い手。
ありとあらゆる攻撃魔法を得意としていて、逆に回復魔法やサポート魔法、移動魔法は苦手である。
とんがった耳が特徴で、よく小説なんかで登場するエルフの小柄なものをイメージしてほしい。
「いや、ダメだろ!!元の世界に戻れるかどうかも分からないんだぞ!!」
「なによ!!大丈夫よ、1週間ぐらいしたら転移魔法で戻してもらうから。」
「いや、そもそも時間軸がマグナ・ティエーラと同じとは限ら...」
ドスッ!!
「大丈夫っていってるでしょ!!」
「いや....むちゃ...くちゃ...だ。」
自分の都合の悪い事になると直ぐ手を出す癖は相変わらずらしい。
「とにかく何とかなるわよ。それより本当にここがヤマトが言っていた”トーキョー”なの?」
「いや、違うここは見たことのない場所だ。マグナ・ティエーラのどこか別の場所に飛ばされたんじゃないかと...」
「んー...それはないと思う。魔王が統治していたころならまだしも、今のマグナ・ティエーラに荒れた場所は少ないはず。そもそも、マグナ・ティエーラの荒野にだって獣が少なからずいると思うわ。あーあ。せっかく、ヤマトの故郷の”トーキョー”が見れると思って期待していたのに。」
「おい!お前、俺の心配をって言ってながら、それが目的だろう!!」
「てへっ!ばれちゃった?」
そうだ。魔王から世界を救った後、マグナ・ティエーラは緑豊かな場所が増えた。白魔法の復活が原因であるが、過去荒れ地や砂漠があった場所は緑を取り戻し荒野はほとんど無くなった。おそらく、こんな荒野はマグナ・ティエーラにはないだろう。じゃあ、いったいここはどこなんだ??
「マグナ・ティエーラじゃないとすると...別の世界に転移されたのか..?」
「んーー、ケンスの魔法だから失敗はないと思うし、ヤマトの転移座標をしっかり把握しているはずだから転移先にそこまで誤差が出るとは思わないけど。本当にここはヤマトの故郷じゃないの?」
東京...にはこんな荒野はないはずだ。ただ、空に太陽があり、雲が有る。たしかに地球なのかもしれない。地球だとして別の場所に飛ばされた可能性を考えてみるか...
「少し様子をみたい。ちょっとこの辺を歩いてみよう」
「えーーー。こんな荒野を??こんなことなら、移動魔法が使えるケンスにも来てもらえば良かった」
少しの間、このあたりを歩いてみたり、色々と試してみたりした。俺たちの転移した場所から1時間ほど歩いた結果、何も見当たらなかった。それどころか、水も生き物も何もない。幸いこの世界でも魔法が使えるので水の魔法を使い飲み水は確保できた。
生き物がいないのは死活問題だ、魔王を倒した俺だけど飢えには勝てない。取りあえず、何か分かり易いものがあるまで歩くことにした。オーストラリアならエアーズロック、中国なら万里の長城、とにかく地球にいるという証拠が欲しかった。
「ハンバーガーが食べたい。」
そう思いながら、何もない荒野をさまよい続けること半日。ふと水が流れる音が聞こえた。
「おい!!聞こえないか??川がある!!!」
「なに?歩きすぎて頭がおかしくなった?」
「いや聞こえるだろう!!川があるんだよ!!」
しずかに耳を澄ますと、確かに水が流れる音が聞こえた。
「ほんとだ!!音が聞こえる。」
「よし!!音のする方に向かうぞ」
川があると言うことは魚がいる可能性がある。
そう期待して川の音がする方向へ足を運んだ。
さっきいた場所から、少し歩いたとこに川が流れていた。ただ、その川は澄んではおらず濁った茶色い川だった。しかもかなりの激流だ。
「なに、この川!!ここの世界も魔王かなにかに統治されてるんじゃないの!!」
「たしかにこの川には...魚は期待できそうにないな。念の為調べてみるか。フロース魔法をつかってくれるか?」
「ったく!お腹がすきすぎて気持ち悪くなってきたわよ」
”フロリア”
フロリアは風の魔法だ。通常は魔物に対し風をぶつけて攻撃するのに使うのだが、今回のような水の中になにかいるか確かめるように威力を調整すれば一瞬だけ、水を除くことができる。
マグナ・ティエーラにいたころはこうやって、水の中に魔物がいるかどうかを確認していた。
「..... いないわね....」
「..... だな ....」
やはり、川には魚はおろか生き物はいないみたいだ。
「ちょっとどういうことよ!!何にもいないじゃない。どこまで歩いても荒野ばっかりだし!こんなんじゃ飢え死にしちゃうじゃない」
「大丈夫だ、人間は40日間飯を食わなくても死なないらしい。」
「そういう事じゃないのよ!!」
これだけ激流が流れていると言うことは、緑豊かな森は期待できないかもしれない。雨が降ったらそのまま土砂か何かと混ざって流れてきている可能性が高い。
「事態は思った以上に最悪かもしれないな...」
「最悪よ!!!!」
そんな事をいいながら、川を調べているといつの間にか日が暮れ夜になろうとしていた。
そんな時、あるものを見つけた。
「月だ.....」
「えっ !??」
「だから月だよ!!」
「何?月って」
「ほら、あの空に浮かんでいる黄色い丸いものだ」
「あー確かにあるわね、あれは月って言うんだ。ヤマトの世界にはあーいうモノが空に浮かんでいるのね」
そうだ。マグナ・ティエーラでは太陽はあったが、月はなかった。形も大きさも地球から見る月そのものだ。
「やっぱり...地球なのか」
俺は、できるだけ、そうは思いたくなかった。なにか悪い方向に全て向かっていっている気がする。
そう思いながら俺は丸い月をいつまでも眺めていた。
荒野を前にし俺は目を疑った。
まだ、マグナ・ティエーラにいるのか??
転移は失敗??
いやでも、マグナ・ティエーラにはこんな荒野があったか??
「へー、あんたの故郷ってずいぶん廃れた場所なのね。」
!!?
後ろを振り返るとそこには、少女が立っていた。
「おわぁ!?お前なんでこんなところに!!」
「失礼ね!!心配だから付いてきてあげたんじゃない。」
生意気な口を聞くこいつの名前はフロース。異世界マグナ・ティエーラで出会ったエルフの少女だ。
少女といっても年齢は100歳を超える(俺も正確な年齢は知らない)。
魔王討伐隊の仲間であり、魔法の使い手。
ありとあらゆる攻撃魔法を得意としていて、逆に回復魔法やサポート魔法、移動魔法は苦手である。
とんがった耳が特徴で、よく小説なんかで登場するエルフの小柄なものをイメージしてほしい。
「いや、ダメだろ!!元の世界に戻れるかどうかも分からないんだぞ!!」
「なによ!!大丈夫よ、1週間ぐらいしたら転移魔法で戻してもらうから。」
「いや、そもそも時間軸がマグナ・ティエーラと同じとは限ら...」
ドスッ!!
「大丈夫っていってるでしょ!!」
「いや....むちゃ...くちゃ...だ。」
自分の都合の悪い事になると直ぐ手を出す癖は相変わらずらしい。
「とにかく何とかなるわよ。それより本当にここがヤマトが言っていた”トーキョー”なの?」
「いや、違うここは見たことのない場所だ。マグナ・ティエーラのどこか別の場所に飛ばされたんじゃないかと...」
「んー...それはないと思う。魔王が統治していたころならまだしも、今のマグナ・ティエーラに荒れた場所は少ないはず。そもそも、マグナ・ティエーラの荒野にだって獣が少なからずいると思うわ。あーあ。せっかく、ヤマトの故郷の”トーキョー”が見れると思って期待していたのに。」
「おい!お前、俺の心配をって言ってながら、それが目的だろう!!」
「てへっ!ばれちゃった?」
そうだ。魔王から世界を救った後、マグナ・ティエーラは緑豊かな場所が増えた。白魔法の復活が原因であるが、過去荒れ地や砂漠があった場所は緑を取り戻し荒野はほとんど無くなった。おそらく、こんな荒野はマグナ・ティエーラにはないだろう。じゃあ、いったいここはどこなんだ??
「マグナ・ティエーラじゃないとすると...別の世界に転移されたのか..?」
「んーー、ケンスの魔法だから失敗はないと思うし、ヤマトの転移座標をしっかり把握しているはずだから転移先にそこまで誤差が出るとは思わないけど。本当にここはヤマトの故郷じゃないの?」
東京...にはこんな荒野はないはずだ。ただ、空に太陽があり、雲が有る。たしかに地球なのかもしれない。地球だとして別の場所に飛ばされた可能性を考えてみるか...
「少し様子をみたい。ちょっとこの辺を歩いてみよう」
「えーーー。こんな荒野を??こんなことなら、移動魔法が使えるケンスにも来てもらえば良かった」
少しの間、このあたりを歩いてみたり、色々と試してみたりした。俺たちの転移した場所から1時間ほど歩いた結果、何も見当たらなかった。それどころか、水も生き物も何もない。幸いこの世界でも魔法が使えるので水の魔法を使い飲み水は確保できた。
生き物がいないのは死活問題だ、魔王を倒した俺だけど飢えには勝てない。取りあえず、何か分かり易いものがあるまで歩くことにした。オーストラリアならエアーズロック、中国なら万里の長城、とにかく地球にいるという証拠が欲しかった。
「ハンバーガーが食べたい。」
そう思いながら、何もない荒野をさまよい続けること半日。ふと水が流れる音が聞こえた。
「おい!!聞こえないか??川がある!!!」
「なに?歩きすぎて頭がおかしくなった?」
「いや聞こえるだろう!!川があるんだよ!!」
しずかに耳を澄ますと、確かに水が流れる音が聞こえた。
「ほんとだ!!音が聞こえる。」
「よし!!音のする方に向かうぞ」
川があると言うことは魚がいる可能性がある。
そう期待して川の音がする方向へ足を運んだ。
さっきいた場所から、少し歩いたとこに川が流れていた。ただ、その川は澄んではおらず濁った茶色い川だった。しかもかなりの激流だ。
「なに、この川!!ここの世界も魔王かなにかに統治されてるんじゃないの!!」
「たしかにこの川には...魚は期待できそうにないな。念の為調べてみるか。フロース魔法をつかってくれるか?」
「ったく!お腹がすきすぎて気持ち悪くなってきたわよ」
”フロリア”
フロリアは風の魔法だ。通常は魔物に対し風をぶつけて攻撃するのに使うのだが、今回のような水の中になにかいるか確かめるように威力を調整すれば一瞬だけ、水を除くことができる。
マグナ・ティエーラにいたころはこうやって、水の中に魔物がいるかどうかを確認していた。
「..... いないわね....」
「..... だな ....」
やはり、川には魚はおろか生き物はいないみたいだ。
「ちょっとどういうことよ!!何にもいないじゃない。どこまで歩いても荒野ばっかりだし!こんなんじゃ飢え死にしちゃうじゃない」
「大丈夫だ、人間は40日間飯を食わなくても死なないらしい。」
「そういう事じゃないのよ!!」
これだけ激流が流れていると言うことは、緑豊かな森は期待できないかもしれない。雨が降ったらそのまま土砂か何かと混ざって流れてきている可能性が高い。
「事態は思った以上に最悪かもしれないな...」
「最悪よ!!!!」
そんな事をいいながら、川を調べているといつの間にか日が暮れ夜になろうとしていた。
そんな時、あるものを見つけた。
「月だ.....」
「えっ !??」
「だから月だよ!!」
「何?月って」
「ほら、あの空に浮かんでいる黄色い丸いものだ」
「あー確かにあるわね、あれは月って言うんだ。ヤマトの世界にはあーいうモノが空に浮かんでいるのね」
そうだ。マグナ・ティエーラでは太陽はあったが、月はなかった。形も大きさも地球から見る月そのものだ。
「やっぱり...地球なのか」
俺は、できるだけ、そうは思いたくなかった。なにか悪い方向に全て向かっていっている気がする。
そう思いながら俺は丸い月をいつまでも眺めていた。
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