究極の融合術師 ~勇者も魔王も吸収し異世界最強~

神庭圭

第1話 転生+パワーアップ

 突如目が覚めた。

「……あれ?」

 確か俺は、クラスメイトの鳥田君に不意打ちを喰らって……その後茜の魔法で……死んだのではなかったか? 夢……?

 見たところ、傷は無い。もちろん火傷の跡も。塞がっているとかではなく、最初からなかったみたいに、俺の胸の部分は綺麗なままだ。

 周囲を見回してみる。そして、記憶の通り自分がクラスメイト達に裏切られたのだと思い知る。

 辺りは一面焼け焦げた跡があり、焼けた肉の嫌なにおいが充満している。煤だらけだ。どうやら、俺の焼き殺されたという記憶は正しいようだ。だからこそ、生きている事が不可解だった。あの時感じた死の苦痛は、確かに本物だったのだから。

 そこで、ようやく俺は思い至る。この世界は異世界だ。地球じゃない。何か不思議な事が起こったのだとすれば原因は。

「もしかして……何かのスキルの効果だろうか」

 俺はステータスを開いてみることにする。この世界では『ステータスが見たい!』と念じれば、自分のステータスを確認することが出来るのだ。便利だね。


名前:壱外澪里(いちがい みおり) 性別:男 

戦闘力:50000

○EXスキル
《超融合》new

○スキル
《言語理解》《形状変化》《呪術無効》《低級種洗脳》

○属性
《闇》



 脳内に表示されたステータスを見て、驚く。色々と突っ込み所はあるのだが。

「ちょう……融合?」

 どういうことだ。俺の持っていたスキルは《融合》だったはず。それが、無くなって、新たに超融合というスキルが増えているということは。

「《融合》がパワーアップしたってことか。進化してEXスキルになっている」

EXスキルとは、数あるスキルの中でも特にレアで強力な物という事だ。

 クラスメイトだと茜の持つ《勇者》か。あれは《神託》とか数々の強力な効果を持っていた。EXスキルに格上げされたということは、融合のときよりも効果がパワーアップしているはずなのだが。

「融合の効果が上がる……イマイチ想像がつかないな。もっと効率よく融合できるとかか?」

 少しして、考えるのを辞めた。超融合のスキルよりも、さらに驚くべきことがあったからだ。

「戦闘力……五万?」

 その数値の高さに驚愕する。戦闘力とは、その名の通り、この世界での強さの指標である。肉体の強さや頭の良さ、さらには運の良さ等を総合した数値が表されている。これが高ければ高いほど、強いという事だ。
 勇者である茜の戦闘力が12000、そして死ぬ前の俺の戦闘力が8800だった。もっと言うと、この世界に召喚されたときは1000程度だった。
 だが、どんなにトレーニングしても、どんなにモンスターを融合しても、元の肉体の強度はそこまで変わらない。戦闘力では大きな差があった茜と俺も、純粋な体のスペック自体はそう変わらないのだ。

 では戦闘力を上げる要員は何か。それは《魔力》、MPである。この世界の戦闘では、全ての攻撃や魔法、防御にこの魔力が消費される。
 体中に魔力を流すことで、力がどんどん強くなっていくのだ。モンスターを融合することで戦闘力が上がるのは、扱える魔力の量が増えていったからに他ならない。
 ただ、一回の融合で500~1000刻みで上昇していた俺の戦闘力が、ここに来て5万とは。

 今ならクラスメイト全員を相手にしても勝てそうだ。しかし、どうして一気にこれだけのパワーアップをしたのだろうか。

「あれ……そういえばフェニックスから奪った《不死鳥の守り》が消えている? 不死鳥……不死鳥……もしかして!?」

 《不死鳥の守り》は、効果のわからないスキルだった。いや、そもそも《融合》によってスキルを奪えるのは、相手が人間でも使えるスキルを持っていた場合に限る。

 例えばポイズンスネークの持っていた《脱皮》というスキルは、元々が人間である俺には使えないスキルだ。そういうスキルは融合でも奪えない。
 逆に《形状変化》のように魔力で体の一部を変化させるスキルや、《呪術無効》のように何らかの耐性を得るスキルは、奪うことが出来るらしい。

 だがそんな中でも異彩を放っていたのが《不死鳥の守り》である。別に何か耐性が出来たわけでもなく、何か技能が増えたわけでもなく、どんな効果を持ったスキルなのか不明だったのだが、得心がいった。
 つまり、このスキルは死後発動するものだったのだ。しかも、体を大幅強化するおまけつきで。


「消えてしまったという事は一回きりのスキルだったのか。助かった……さて」

 これからどうしたらいいのか。俺は裏切られ、謀られ、殺された。そんな連中に復讐してやりたい気持ちが無いと言えば嘘になる。手に入れたこの強大な力で、痛い目を見させてやりたいという気持ちが、心の中にはあった。
 仲間だと思っていた鳥田に胸を貫かれた痛みも。親友だと思っていた茜にトドメを刺された悲しみも。
体が再生したところで、全く消えることのない心の痛みとして、残っている。

「けどなぁ……復讐かぁ。気が乗らないな」

 電気アンマくらいはしてやりたい気もするが、殺してやりたいとか、不幸な目にあわせてやりたいとか、そういった欲求は生まれてこない。殺された悲しみより、強くなった喜びの方が、大きかったからだろうか。

「いや、違うな」

 思いのほか、裏切られたダメージが大きいようだ。しかし、本当にこれからどうしよう。

 このままみんなのところに帰ったとして……また戦いになるだろうか。とういうか、普通に会うの気まずいんだよなぁ。向こうもそう思うだろうし。

「だったら、しばらくこっちで暮らすか?」

 この洞窟に来る前、いくつかの村に世話になった。そのどこかに住まわせて貰って……。可愛い女の子といい感じになって結婚して子供が出来て……。あれ、なんか悪くない気がする!?

「ま、戦闘力5万あるしどうとでもなるだろう。戦闘力5万あるし、それに戦闘力5万あるからな」

 戦闘力5万あるしと自分に言い聞かせながら立ち上がる。

「っと、その前に服だな」

 どうやら服は燃え尽きてしまったようだ。流石に全裸で村には行けないな。

「ここはあの魔人のアジトだったんだよな? 何かないか?」

 何度見てもじめじめした洞窟の奥底。しかも周囲の壁は煤だらけで、とても服が置いてあるようには見えない。

「……ん?」

 だが、壁の一部に違和感を感じた。綺麗に四角く煤のついていない場所がある。どうやらここだけ天然の壁ではなく、何か特殊な素材で出来ているらしい。近づいて調べてみると、岩のでこぼこに見せかけたドアノブのような物がある。引っ張れば、開きそうである。

「何かありそうだな」

 俺は恐る恐る、その扉に近づいた。

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