誰かが夢に落ちた時。

るあ*

-プロローグ-

誰かの喜びと悲しみと寂しさが、入り交じったこの世界。
この世界でまだ夢見ている人がいたならば
その人はとても哀れだ。

そんな哀れな人々が希望を求めたのが『夢世界』
夢ならばなんでも出来ると人々は思った。
そして哀れな人々は勝手に夢に落ちていった。
自分が賢いと思い込んでいる人はそれを『夢見病』と名ずけた。


そんな哀れな人々が『夢』と『現実』の狭間で揺れ動く。

さあ、人々
この物語から学べ
自分たちが『哀れ』だと言うことを。
自分達の本音を聞け

それが貴方達の物語の軸となる。



――――――――――――――――――


この果てしない世界には、いつの間にかもう一つの世界が出来ていた。
それが『夢世界』
名前は素敵だが、所詮人々が現実逃避する為の世界に過ぎない。

ある時、一人の少女がこの世に絶望した。
そして『夢世界』に逃げてしまった。
それが全ての事の始まりである。

少女に続き、日本中の様々な人が『夢世界』に逃げ込んだ。
自分が賢いと思い込んでいる人はこの現象を【夢見病】と名ずけた。

【夢見病】と呼ばれるその病は、多くの事が謎に包まれている。
分かっているのは、
・厳しい世の中に耐えきれず、絶望すると夢見病にかかってしまうこと
・半永久的に夢に落ちること
・病にかかると幸福な夢を見れる
このぐらいだ。

誰も『夢世界』に管理者がいる事など知らなかった。
管理者は、一人一人の夢を聞き、絶望した数だけ夢を見せた。
管理者は、夢世界に逃げ込んだ人々を見下した。 
『なんて哀れなんだろう』と。
この世界に逃げ込んでくるのは、努力していない人々ばかりだった。
幾ら努力した、と主張しても行動が伴っていないならどうしようも無い、と。

ただそれを口に出さなかったのは、管理者も同じ立場だったからである。
口に出さないんじゃなくて、言えなかった。

だから管理者は『私を含め』人々は哀れだ、と語った。


そして哀れな管理者は、哀れな人々に今日も夢を見させる。
苦労が耐えない仕事だ、と愚痴を零して

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