神様のヒトミ

さとう

124・珍味



 アイトたちは現在、岩石地帯を歩きで進んでいた。
 地面は砂地で、周囲には大小様々な岩石が転がり、岩の間を縫うように魔獣が闊歩している。


 「トカゲか······」
 「あれはロックリザードですね。主食は昆虫で、昆虫の体内にある水分を吸収するので〔虫喰い〕とも呼ばれてます。虫さえ食べていれば死ぬことはありませんからね」
 「へぇ〜」
 「ちなみに肉は固くて食べれません。魔核も小さいのでお金になりませんし、人間を襲うことはないので冒険者などはスルーして行きますね」
 「要は無害な魔獣か。じゃあ気にしないで進むか」
 「はい」


 アイトたちを横切るように、1メートルほどのトカゲが進んで行く。


 「今日中にこの岩石地帯を抜けることは難しいですね。領土国境を抜けて【梵天領土】には入れましたし、休める場所を探して野営を勧めます」
 「おう。そうしようぜ」


 それから1時間ほど進み、岩場の陰にテントを組み立て結界を張る。  
 クナイは影から調理器具を取り出し、バーベキューコンロを出して薪をくべる。
 大きなコンロなので、鍋を設置してスープを作るのも可能で、クナイは炒め物とスープを作る。
 その間、アイトはかまどを作り、米を炊く。


 「おーし、米が炊けたぜ」
 「こちらも出来ました。食事にしましょう」


 簡易テーブルを出し、野菜炒めとスープと米を並べる。
 2人は手を合わせいただきますをして、食べ始めた。


 「うん。やっぱクナイのメシは美味いな」
 「ありがとうございます。光栄です」


 クナイはにっこり笑う。
 2人はあっという間に完食し、片付けをする。


 しばらく雑談をした後、テントの中へ。
 アイトとクナイは服を脱ぎながら話した。


 「〔ヘレネド鉱石商会〕は、〔岩石王国ロックドラム〕にあるんだよな?」
 「はい。ロックドラムは【梵天領土】の首都で、【梵天ブラフマー】が治める王国です。ロックドラムはこの領土で最も採掘量の多い鉱山である〔ドドド鉱山〕の真裏に建国され、採取された鉱石は全領土へ運ばれる、デズモンド地域一の鉱石大国です」
 「へぇ、じゃあヘレネド鉱石商会はどんな?」
 「ヘレネド鉱石商会は、社長であるアスレイ様が一代で築いた商会です。この【梵天領土】ではトップ10に入る大物商会ですね。基本的に商会が支店を構えるには、莫大な開業費用と税金、そしてその領土の領主に許可を頂かなくてはいけません。しかも、この【梵天領土】は岩石地帯ゆえ鉱石の運搬が難しく、鉱石の消費はほぼ領土内だけに収まるようです」
 「マジかよ、国内だけって······」
 「正確には、ここから反対側の領土である【地天領土ちてんりょうど】には卸してるようですが」


 アイトとクナイは全裸になり、テント内に設置して置いたマットレスに押し倒す。


 「明日にはロックドラムの近くにある集落に着きます。そこで補給をして向かえば、ロックドラムには7日ほどで着くでしょう」
 「わかった。じゃあ······」




 2人は激しく求め合った。




 **********




 翌日。身体を清めた2人は、朝食を終えて出発した。
 途中、ロックゴブリンという岩を形にしたようなゴブリンや、サンドワームという砂地に潜り餌を待ち伏せする巨大ミミズが出たが、アイトとクナイの敵ではない。
 サンドワームは回収し、異空間へ収納しておいた。


 そして集落へ到着。
 集落の規模は家が20軒ほどの小さな集落で、岩石地帯では農業が出来ないので狩猟で生計を立てる集落だった。
 アイトが倒したサンドワームを土産に、集落の守護者に挨拶したら、とても喜ばれた。
 サンドワームの肉は焼くと絶品で、この集落に置いてはご馳走に入る部類らしい。
 サンドワームのレートはB。一流の冒険者が単独で狩るには少々キツく、狩猟に特化した集落の男たちが集団で仕留める魔獣だった。


 当然ながら感謝され、集落総出でもてなされた。
 サンドワームを焼き、アイトは土産用に何本か持ち出した酒を振る舞う。
 クナイは子供たちに和菓子を振る舞い、不思議なお菓子に子どもたちは大喜びだった。


 驚いたことに、集落では昆虫を焼いて食べる文化があり、サソリやクモの唐揚げや、トカゲの丸焼き、そしてムカデのスープなどが振る舞われ、アイトは顔を青くしながら貰い、クナイは真顔でムカデをラーメンのように啜って食べた。


 アイトはサソリとクモの唐揚げを食べたら、意外と美味しくてモグモグ食べ、トカゲの丸焼きを齧りながら提案した。


 「よかったら、俺の町で店を出しませんか?」


 転移クリスタルがあれば集落と町を一瞬で行き来出来るし、ありきたりな店よりこういう珍味的な店もあれば面白い。
 すると、集落の中の1人が手を挙げて言う。


 「面白そうだ。援助してくれるなら店を出そう」


 アイトは快く了承し、転移を使い町へ戻り、転移クリスタルを発行して戻って来た。
 町に店を構えるのではなく、露店として店を出し、自宅はあくまでもこの集落。
 子どもたちもいるので、町で勉強道具やお菓子などを仕入れてあげたいという願いもあり、アイトは援助を約束した。


 後日談だが、露店は一部のゲテモノ好きにヒットし、玄人の冒険者や町の傭兵が好んで食べる店となった。
 店主は仕事の終わりに町で買い物し、子どもたちにお菓子を買ったり、町で仕入れた肉や酒などを土産にして、集落の楽しみの1つとして喜ばれたそうだ。


 翌日。集落を出発してロックドラムへ向かう。
 日程では7日。特に問題なく街道を魔導車で走り、途中の山道などは生身で進んだり、修行がてら身体を強化せずに進む。




 そして7日後。アイトたちはついに到着した。



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