神様のヒトミ

さとう

121・テレポクリスタル



 アイトは学校へ向かい、アイヒを探す。


 学校はもうすぐ昼休みで、校舎の窓を遠目で見ると、子供達が授業を受けていた。
 その中の教室の1つに、ヒュドーラがいたのが見える。どうやら授業を行っているようだが、生徒数は5人ほどしか居ない。
 その代わり、大人が10人ほどいた。


 「まぁ〔錬金術の母〕って呼ばれてるくらいだしなぁ……」


 その中にはサラも居る。
 表情が輝いて見えるのは気のせいでは無いだろう。


 「お、あの人は……」


 別の教室には、金髪の女性が教鞭を執っていた。
 20代前半程度の女性で、頭にはフカッとした耳に、おしりからはフワフワした尻尾。そして目が細く、まるでキツネのような女性だった。


 「確か、商人ギルドのギルド長、フォクシーさんだっけ。そういえば挨拶してないや」


 総合クラスの教師に就任したと報告は上がっていたが、その姿を見るのは初めてのアイトだった。
 そのまま視線を巡らせ、ようやく見つけた。


 「いたいた、アイヒだ」


 魔術クラスの教師アイヒは、小さな子供達に魔術の基礎理論を分かりやすく教えてる。
 よく見ると黒板には可愛らしいイラストが書かれていた。


 「よし、授業が終わるまで待つか」




 アイトは、校門近くで待つことにした。




 ***********




 それから30分。授業終了の鐘が鳴り、お昼の時間になる。
 学校は給食を採用し、隣接する給食センターからお昼が運ばれる。
 給食センターは学校と同時に建設し、従業員は町で求人を募集したらあっさりと集まった。むしろ求人が殺到し、集団で面接まで行い、それとは別に用務員なども採用した。
 町には仕事が溢れているので、無職の住人はまず存在しない。


 給食や学校の掃除は生徒たちが行う。
 プランでは、温水プールや体育館の建築も入り、建物の設計が始まっている。
 このまま進めば、【羅刹天領土】でも類を見ない学校が完成するだろう。


 「さて、ちょっと行ってみるか」


 アイトは校舎内へ入り、魔術クラスの教室へ向かう。
 給食時間だからか、フワリといい香りが漂い、今日のメニューはシチューだとわかった。
 魔術クラスのドアは解放され、子供達の声が聞こえてくる。
 その中には、アイヒの姿があった。


 「ほら、熱いから零しちゃダメよ?」
 「はーい。ありがとセンセー」
 「ありがとー」


 エプロンを纏い、給食の配膳をする子供達を補助するアイヒ。
 もともと子供好きもあり、教師は転職に思われた。


 「あれ、アイト?」
 「よう」


 アイヒが気付き、アイトは軽く手を挙げる。
 アイトは子供達の料理配膳が終わるのを待った。
 そして、アイヒが側へ来る。


 「どうしたの?」
 「いや、お前に用事があったんだけど……」


 アイトの視線は子供達へ。
 人数は20人ほどだろうか、給食を前に全員が注目してる。
 せっかくのシチューが冷めてしまうので、アイトは退散することにした。


 「せっかくだし、アンタも食べて行きなさいよ。お昼はまだでしょ?」
 「いいのか?」
 「ええ。ほら、アタシの隣で」
 「お、おう」


 アイヒは給食のトレイを教師用のテーブルに置き、アイトのシチューをよそう。


 「みんな、手を合わせて……いただきます!!」
 「「「「「いただきまーす!!」」」」」


 アイトのことは特に質問されず、食事が始まった。
 視線は感じたが、まずは空腹を満たすことを優先したらしい。




 せっかくなので、アイトは給食を食べることにした。




 ***********




 「なるほど、テレポクリスタルをラクシャーサさんに……」
 「ああ、作れないか?」
 「ふぅ、考えることは同じね。実は既に準備してたのよ」
 「え、マジで!?」


 アイトはアイヒと並んで給食を食べつつ、本来の目的を果たした。
 今日のメニューはシチューとパン、それとサラダと、デザートにフルーツゼリーが付いていた。


 「ラクシャーサさんにはお世話になってるしね。それにテレポクリスタルがあれば他の町の移動も一瞬で出来るし、シアにも直ぐに会いに来れるでしょ? 視察の助けにもなると思って、前から作ってたのよ」
 「おお、じゃあ」
 「ええ。アンタに渡すから。領主からのプレゼントって意味を込めれば後に有利になるでしょ? アタシ個人が渡して勘ぐられるのもヤダしね」
 「そうは思わんけど……」
 「いいの!! とにかくはい、持って行って」
 「ちょ、ここで!?」


 アイヒは《立入禁止キープアウト》から丸いビー玉とセーブポイントのクリスタルを出した。


 「こっちのクリスタルはインストール用、つまり飲み込む用ね。そんでセーブポイントはフェンリル国に置いておく用ね。ちょっと改良してあるから、インストール用クリスタルを飲んだらセーブポイントに触れて貰って。そうすればラクシャーサさんが今まで行った都市のデータがインストールされるから」
 「……お前、マジで天才だな」


 アイトは自身の簡易空間に仕舞い、給食を完食する。


 「サンキューな、今夜はたっぷり可愛がってやるからな」
 「ばばば、バカ!! 子供達の前で何言ってんのよ!?」




 アイトは立ち上がり、教室を後にした。



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