神様のヒトミ

さとう

118・仕事と学校



 アイトとサラは錬金ギルドへ向かい、建物の中へ。
 中には店頭販売用の薬を売るための職員が2人ほど居て、サラに向かって頭を下げた。


 「お疲れ様です、サラさん」
 「お疲れ様です。あの、お師匠様は?」
 「ヒュドーラ様ですか? えっと······、薬はあるから仕事ない、酒場で酒を飲んでくる。と言って出て行かれました」
 「しゃぁぁ······。やっぱり」
 「う〜ん、酒好きだとは思ってたけど、ここまでとは」


 アイトは少し考えた。


 「多分、ラピスさんの酒場だろうな。行ってみるか」
 「は、はい」


 薬に関しては二月分の納品は済んでいるため確かに仕事はない。
 しかし、ギルド長の姿勢としては好ましくない。
 アイトとサラはギルドを後にし、ラピスの酒場へ。


 「そういえば、錬金クラスの教師の件、どうなったんだろう」
 「え⁉ お師匠様が教師ですか⁉」
 「言ってなかったっけ。学校の錬金クラスの教師をヒュドーラさんにお願いしたいんだよ」
 「そ、それは素晴らしい案です‼ お師匠様の授業······。受けてみたいです‼」
 「そ、そうか?」


 サラは少し興奮してる。
 アイトからすればヒュドーラは怖いイメージだ。
 サラも怒鳴られてたし、雰囲気も怖い。


 「お師匠様の教えは目で盗めですから。ちゃんとした講義や講釈は殆どないんです。だから、授業でならいろいろお話を聞けるかも‼」




 興奮するサラを宥めつつ、ラピスの酒場へ向かった。




 **********




 ラピスの酒場へ到着したアイトは、念のため確認する。


 「どうする? 外で待ってるか?」
 「差し支えなければ、中に入ってもいいですか? 少し興味があります」
 「わかった。って言うか……、貸し切りか」
 「お師匠様でしょうか?」
 「たぶん……」


 アイトとサラは入口のドアを開けて中へ。
 広い空間には誰もいない。見えるのは3人の人影。


 「ごめんなさい、今日は貸し切り……、あらアイト」
 「こんばんわ」


 カウンターに居たのは、ラピスとヒュドーラ。そしてクロウリー。


 「お、アイトか。どうかしたのかのう?」
 「ん?……サラ、ここは子供の来る場所じゃないよ、帰りな」
 「は、はいぃ……」
 「まぁまぁ、ヒュドーラおばさま。どうやら用事があるみたいよ?」
 「は、はい。その、ヒュドーラさんにお願いが」
 「なんだい? さっさと言いな」


 アイトはサラを領主邸に連れて行くこと、そして泊めることの許可をもらいに来た話をした。
 それに対する答えは、実にシンプルだった。


 「好きにしな。サラ、お前はもう自分で考えて行動するように教えたはずだよ。あたしはあくまで錬金術を教えるだけ、それ以外はお前が自分で考えるんだ。ギルドから給料も出てるはずだし、性活には困らないはずだよ」
 「しゃぁぁ……、すみません」
 「ちょ、ちょっとそれは……、サラはまだ7歳ですよ!?」
 「歳は関係ないよ。現にサラはイシャーナと暮らしてた時から、殆ど1人暮らしみたいなモンだったからね」


 アイトはサラを見ると、小さく頷いた。


 「ひゃっひゃっひゃ、相変わらずのスパルタじゃのう。おぉ怖い」
 「黙りなクロウリー、そのヒゲを引っこ抜いてやるよ?」
 「わ、わしのチャームポイントを引っこ抜くだと!? 相変わらず恐ろしいババァじゃのう」
 「ふん。ラピス、おかわり」
 「はーい。うふふ、おばさまは相変わらずね」


 ヒュドーラはグラスをラピスに差し出し、ツマミのチーズを一切れ囓る。


 「ほら、もう行きな。それとサラ」
 「は、はい……」


 ここでヒュドーラは初めてサラと目を合わせた。


 「町の要請でね、ここの学校で錬金クラスの教師をやることになった。あたしの授業に興味があるなら、明日から学校に来な」
 「え……」


 サラとアイトの目は驚きで見開かれた。


 「だけどね、ギルドの仕事はキッチリこなして貰うよ。もしポーション類の納品が1日でも遅れたら、あたしの授業を聞くことを禁止する。仕事と学校を両立させることが出来るかい?」
 「あ、え、その……、で、出来ます!! 出来ます!!」
 「ふん。なら結果で示しな。以上」
 「は、はい!! がんばります!!」


 サラは満面の笑みを浮かべる。


 「ひゃっひゃっひゃっ!! 顔が赤いぞババァ。年甲斐もなく……いっだだだだ!?」
 「黙りなって言ってるだろ?」
 「あらあら、クロウリー様のお髭が抜けちゃうわね?」




 アイトたちは可笑しくなり、酒場は笑いに包まれた。




 ***********




 はしゃぐサラを連れて領主邸へ。
 サラがお泊まりと分かり、ミコト達は大いに喜び、夕食は再びのバーベキュー。
 準備に少し時間が掛かったが、みんなで楽しく食事を済ませ、その後は温泉に。
 ラクシャーサ一家は女湯を貸し切って入り、アイトたちと子供達で男湯を使う。
 子供たちはみんなで洗いっこをしたが、サラが恥ずかしがり少し長湯してしまった。
 そして、子供たち専用に巨大なベッドを入れた部屋で、5人は仲良く就寝。
 明日にも学校があるので早めに寝た。
 そして、今夜のアイトの相手はクナイ。


 「主殿、次の目的地はミコト様の……?」
 「う~ん、そう考えたんだけど、ミコトは帰ってきたばかりだし、ライラは勉強が楽しいみたいだし。それに専門学校方式で授業が始まるから、子供達を外に連れ出したくないな。少なくとも慣れるまでは」
 「では……?」
 「う~ん……、1月後にはフェンリル国で総会もあるしな。少し町で仕事を片付けて、【梵天領土】へ行こうと思う。そこでは鉱石取引の依頼書を出すだけだし、町に着けばいつでも戻ってこれるしな」
 「なるほど。では、次回は私も同行します。主殿のおかげで、ポーション類が町に回り始めましたので、店を一時休業にしても問題ないので」
 「いいのか?」
 「はい。私は主殿の剣であり盾。今までは仕方ありませんでしたが、本来なら主殿の傍を離れるなど考えられません」
 「そ、そうか……」


 ベッドにて、裸で語り合うアイトとクナイ。
 すると、睡魔が襲ってきた。


 「ふぁ……、もう寝るか」
 「はい。お休みなさい、主殿」
 「おやすみ……」




 こうして夜は更けていった。



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