神様のヒトミ

さとう

閑話・救世主の現在①



 デューク王国・騎士団鍛錬場。


 ここはデューク王国の騎士が鍛錬を行う場所であり、現在は【救世主】たちの鍛錬場でもある。
 【救世主】たちの中で、直接戦闘に長けた者達は、ここで鍛錬や模擬戦を行い、その力とアビリティを着実に伸ばしていた。


 現在、鍛錬場にいるのは、相羽あいば洋二ようじ真上蓮華まかみれんげ時枝広大ときえだこうだい加藤浩太郎かとうこうたろう田辺幸司たなべこうじの5人と、少し離れた場所で魔術の訓練をしている木城きしろエミリ・田村たむらエリ・金田恭司かねだきょうじ飯島錬子いいじまれんこの9人である。


 そして、洋二たちの指導をするのは、【無限光の11人アインソフオウル・イレブン王冠ケテル】であり、デューク王国の軍事一手を担う若き騎士団長・エヘイエ。
 魔術師の指導をするのは、【無限光の11人アインソフオウル・イレブンティファレト】であり、デューク王国最高の魔術師・ヴァージニアである。


 残りのメンバーは、騎士団に連れられデューク王国が管理するダンジョンで魔獣相手の訓練に出かけている。


 現在、エヘイエは洋二と剣を打ち合っている。
 もちろん真剣であるが、アビリティの使用はしていない。




 そしてエヘイエの剣が弾かれ、洋二の剣がエヘイエの喉元に突き付けられた。




 ***********




 「まいった……。ふぅ、強くなったな、ヨージ」
 「ありごとうございます。しかし、エヘイエ団長は俺たち全員を相手にしてかなり疲労しています。俺の剣が通じたのもそのせいかと……」
 「いや、今のは純粋な剣技の差だ。お前だけでなく【救世主】は全員、私たちですら相手が出来ない存在となりつつある。実に喜ばしいことだ」


 洋二は青い輝きを放つ剣を引き、腰の鞘に仕舞う。
 その仕草1つ見るだけで、エヘイエの顔には笑みが浮かぶ。


 「その剣、使いこなしているようだな」
 「はい。不思議と馴染むんですよね」


 洋二の腰にある剣は、刀身が蒼く輝く両刃剣。
 柄や鐔の部分は凝った装飾が施され、鞘は薄く発光していた。


 「《魔剣アルベド》……強大な魔力を吸収する性質から、使い手は今まで誰も現れなかった。お前が手にした時、蒼く輝いた光景は忘れられん」
 「い、いや。あはは……」
 「さて、後は自主練習だ。私は戻らなくてはならない」
 「はい。ありがとうございました」


 エヘイエは鍛錬場を後にした。
 洋二は、洋二とエヘイエを見守っていた仲間達の元へ戻る。
 蓮華が洋二を迎え、嬉しそうに言う。


 「やりましたね洋二くん。エヘイエ団長を降すなんて」
 「いや、団長は疲れ切ってたし、まだ本気じゃないからな」
 「だけどよ、たいしたモンだぜ」
 「だよな。なぁ幸司」
 「ああ。浩太郎も広大も負けてられねーよな」
 「おい、お前はどうなんだよ」


 洋二たちは笑い、それぞれを称える。
 蓮華の視線は、洋二の腰にある剣を捉えていた。


 「それにしても、《魔装具カラミティアームズ》か……。私の武具も早く見つかるといいなぁ」
 「なぁ洋二、確か7つの内4つは見つかってるんだよな?」
 「そうだぜ幸司。見つかってないのは3つだけだ」


 現在、デューク王国が世界中から見つけ出した《魔装具カラミティアームズ》は4つ。


 魔剣アルベド 
 魔槍エピクロス   
 魔盾ラスタファリア  
 魔弓ドラクロワ


 1つ1つが破格の力を持つ、『神』が鍛えし武具。
 使い手は素質がないと装備すらできないと言われていた。
 幸司が確認するように言う。


 「魔剣は洋二、魔盾は金田、魔弓は馬場、魔槍は田代が使えたんだよな?」
 「ああ。残りは3つ、使用者も決まってる」
 「魔拳イデアはこの私、馬場祥子が。魔杖パトリオットは飯島が、魔典グノーシスは楯山さんが使うことになってるわ。はぁぁ、早く見つからないかなぁ」


 祥子はうっとりしていた。
 どうやら、固有の武具を与えられたのが羨ましいらしい。
 広大が茶化すように言う。


 「へへ、【勇者部隊ヒーローズ】が『神』の武具で武装して戦う……。こりゃとんでもねぇな。なあ浩太郎」
 「確かにな、こりゃ無敵じゃね?」


 魔術師の金田恭司かねだきょうじ
 回復術師の飯島錬子いいじまれんこ
 弓戦士馬場祥子ばばしょうこ
 拳闘士の真上連華まかみれんげ


 【勇者部隊ヒーローズ】は、【救世主】の中でも特に優れた4人。
 洋二を筆頭とした、最強のチーム。
 幸司が洋二に聞く。


 「なぁ洋二、お前のダチのことだけど」
 「……藍斗のことか?」
 「ああ。広大をぶちのめしたヤツだよ」
 「チッ、ムカつく事を思い出させるなよ。あの時は油断してたし慢心もあったけど、もう負けねぇよ。今度会ったらオレが勝つぜ」


 広大は以前、アイトにこっぴどくやられた。
 土間裕子と日野みわ、そして時枝広大の3人でアイトに立ち向かい、アビリティを開眼したアイトに殺されかけていた。


 「それで、藍斗がどうした?」
 「いや、気になったんだけどよ、今は何をやってるんだ? 広大たちを倒した後、まさかずっと同じ場所にいるワケじゃないだろ?」
 「……さぁ、知らん。俺たちは鍛錬ばかりで情報は入ってこないからな」


 洋二は気になるのを誤魔化すように言う。
 その表情から何かを感じたのか、祥子が言う。


 「気になるのなら、ヨッドさんに話を聞いてみては? あのオジサンはデューク王国の情報管理も兼ねていますし、藍斗くんの場所はわからなくても、ヒントくらいはわかるかも知れません」


 祥子の答えに、洋二は少し考える。


 「まぁ、手がかりくらいは……。湯川たちの行方も気になるし、もしかしたら藍斗と一緒にいるかもだしな」
 「はい。ではさっそく」


 祥子は洋二の背中を押し、鍛錬場から出て行った。


 「なぁ広大、幸司。……馬場のヤツ」
 「ああ、洋二のこと好きなんだろうな」
 「ったく、強くて顔のいい奴はモテるんだな。オレだって……」
 「はっはっは、洋二は3姉妹王女とも関係を持ってるんだぜ? 今更1人2人増えたトコで変わんねーよ」




 広大・幸司・健太郎はお互いに苦笑した。



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