神様のヒトミ

さとう

閑話・ギルドの日常②



 〔リアン・商人ギルド〕は、発足して数日経過した。
 その間、商人ギルドのライセンスを持つ商人たちが、こぞって登録をする。
 どうやら、このリアンの町は金になると踏んだからであろう。すでにいくつもの商会の開業申請が上がっていた。


 そして、その申請書に目を通す、2人の亜人ジューマン
 狼人のウルフィーナと、狐人のフォクシーである。


 「フォクシー様。こちらのモンキ商会は」
 「あーダメダメっす、そこは以前商品の未発注をやらかして誤魔化したことがあるっすよ。一度そういう誤魔化しをした商会は信じられないっす。恐らく、出来たばかりの町だと油断してるっすね」
 「なるほど。では申請は却下します」
 「うん。あ、このフォクシー商会は信用出来るよ。なんていってもウチの商会っすからね」
 「そうですか。ではお任せします」
 「へへへ、どうぞご贔屓にっす」


 狐人のフォクシーはにっこり笑う。
 黄色いロングヘアをポニーテールにし、フード付きの黄色いパーカーに、ジーパンのようなラフなズボンを履いている。
 頭には狐のフワフワ耳と、おしりからはさらにフカフカの黄色い尻尾が伸びていた。
 年齢は198歳と魔帝族では若い部類の成人女性で、見た目は20代前半ほどにしか見えなかった。


 そんな彼女は〔リアン・商人ギルド〕のギルド長。
 以前は〔大地の国フェンリル〕の商人ギルドで副ギルド長を務めていたが、ラクシャーサの推薦で此度このリアンの町に自身の経営する商会ごと引っ越してきた。


 現在、ウルフィーナとフォクシーは、商人ギルドのギルド長の部屋で書類審査を行っていた。


 「やー、それにしても大変っすね。この町は商人から見たら宝石の鉱山よりも価値があるっす。この町に根を下ろして商売を始めれば、瞬く間に一大企業の仲間入りっすよ」
 「確かに。現在急ピッチで住居や施設の建築が進められ、職人や作業員の増員も到着します。さらに学校が出来上がれば、入校希望も殺到するでしょう」


 実は既に学校の案内は領土中に知らせてある。
 アイトの考えた専門学校方式は、どこもマネのしていない新方式で、領土中が注目をしていた。


 「うしし、教師不足ならこのあっしにお任せを。こう見えても一般教養知識なら誰にも負けないっすよ」
 「そうですか。ではギルド長と兼任でお願いします。もちろんお給料は出しますので」
 「お、即決ですか? まぁお任せ下さい、一般的ではない知識も教えますんで」
 「それは結構です」


 一般教養知識の教師はこれでリュコスとフォクシーの2人になった。
 あとは錬金クラスと冒険者クラスの教師が揃えば、一通りは揃う。


 「冒険者……。クロウリー様にお願い出来ないでしょうか……」
 「あのジッちゃんっすか。なんかエロそうでしたけど、子供にヘンなこと教えるんじゃないですかね? 例えば娼館の利用法とか、酒場でねーちゃんを口説く方法とか」
 「………流石にそこまでは」


 取りあえず、ウルフィーナの中でクロウリーは第一候補に挙がった。


 「ふぅ、ところで領主様はいつ帰って来るっすか? あっしはまだ挨拶も出来てないんですが」
 「そうですね……。ここからヘッジヴァイパまでは急いでも3週間は掛かります。交渉の時間も含めて1月は掛かるのでは?」
 「はぁ。まぁ仕方ないっすね」


 ウルフィーナは知らない。
 アイトが舞空術を使い、シュネクの町から数時間で到着したこと。
 クロウリーの手紙を見せただけで了承が得られたこと。
 今現在、イシャーナにサラを連れて行く報告をしていること。
 あと数時間で帰ってくるということ。




 そんなことも知らず、ウルフィーナたちは書類審査を続けた。



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