神様のヒトミ

さとう

113・サラ



 イシャーナの研究所を後にしたアイトは、ヒュドーラの家に戻ってきた。


 「サラ、これは?」
 「これは試験管です。ここにポーションを入れて持ち運びするんですよ」
 「にゃう。じゃあこれは?」
 「これはビーカー、こっちは大鍋です。どちらも調合に使う道具ですよ」


 ミコトは錬金術に使う道具を指差し、サラにいろいろ聞いていた。
 ヒュドーラは揺り椅子に座り、のんびりしている。
 足元には、木の箱がいくつか置いてあった。


 「遅い。行くよ」
 「す、すみません。じゃあ行きます」
 「にゃお、サラはこっち」
 「は、はい。ありがとうミコトさん」
 「ミコトでいーよ」


 アイトは全員の荷物を収納し、転移魔術を使う。
 一瞬の浮遊感、そして着いたのは錬金ギルドの目の前だった。


 「す、すごいです。こんな魔術が」
 「ここがギルドかい? じゃあさっそく中を見せてみな」


 サラと違い、ヒュドーラは特に驚かずにギルドの中へ。
 驚くサラの手を引き、ミコトはギルドの中へ入って行く。


 「ふむ、広さはいいね。あとは作業場だ」


 ギルドの中は空の棚がいくつか置いてあり、後はカウンターがあるだけだった。
 棚には店頭販売用のポーションやエーテルを置き、メインである作業場でポーション類を調合し、ギルドや各商店に卸すのがメインとなる。


 アイトたちはカウンター奥の作業場に入る。


 「······ふむ。ここを考えたヤツはさすがだね。いい仕事をしてる」
 「はい。広さはもとより、作業台の大きさから通気性、道具棚の位置まで理想的です」
 「たぶんウルフィーナさんだけど······」


 理科室のような部屋であり、コンロや作業台、道具の収納棚などが配置された部屋であった。
 アイトには理解出来ない間取りらしく、ヒュドーラもサラも満足していた。


 「え〜っと、ギルド長の部屋は2階で、応接間は受付の隣です。お二人の住居はギルドの裏にあります。足りない物があったら言って下さい」
 「そうかい。じゃあまずは引っ越しの準備だ。手伝いな」
 「は、はい」
 「そっちの子猫はサラのを手伝いな」
 「にゃーっ‼ 子猫じゃなくてミコトっ‼」
 「み、ミコトさん。お願いします」


 アイトは収納した荷物を取り出し、ギルド内に配置をしていく。   
 大鍋や道具類は新しい物があったが、使い慣れた物を使うらしく、新しい物は引き出しに仕舞う。
 貴重な薬草や素材は冷蔵庫に仕舞い、アイトには理解出来ない石や動物の肝なども収納する。
 自宅の引っ越しをしてる時、ウルフィーナがやって来た。


 「お帰りなさいませ、アイト様。こちらの方が?」
 「はい、錬金術師のヒュドーラさんです。ここの錬金ギルドのギルド長に就任してくれるそうです」
 「これはこれは、はじめまして。私は領主補佐のウルフィーナと申します」


 ヒュドーラは差し出された手を握らず、さっそく言う。


 「まずは足りないポーションとエーテルの数を言いな。数は一月分から、んで卸場所の名前と種類と場所を。それと美味い酒場を教えな」
 「は、はい。ええと、まずはポーションは3種、数は1種類1000計算で3000ほど、エーテルも同じです。万能薬やその他薬品は別紙でご案内します」


 つまり、ポーション1000、ハイポーション1000、エクスポーション1000の3000本。
 エーテル、ハイエーテル、エーテルターボも同じで3000本


 「······いいだろう。挨拶代わりだ、6000準備してやる。明日の朝には出来るから取りにきな」
 「あ、明日⁉」
 「ふん、このあたしが久しぶりに腕を振るってやるのさ。サラ、よく見ておきな」
 「はい。お師匠様」
 「それと小娘、細かい話は明日だ。ポーションの材料は今回はサービスしてやる」


 そう言うと、ヒュドーラはギルドの中へ消えていった。
 サラも後に続き、アイトとミコト、ウルフィーナは取り残された。


 「こ、小娘······この私が」
 「う、ウルフィーナさん?」
 「にゃう。ウルフィーナ、どうしたの?」
 「い、いえ。とにかく、逆らわない方が良さそうな方ですね。私は商人ギルドに連絡して、明日から町の商店にポーションを卸す手配をします」
 「は、はい。細かい打ち合わせもお願いします」
 「わかりました。ではアイト様はお休み下さい。お疲れさまでした」


 ウルフィーナは会釈し、去って行った。


 「とりあえず、これで錬金術師の問題は消えたかな」
 「にゃお。新しいおともだちもできたよ」
 「だな。暫く町の仕事をしたら、次はお前の故郷に行こう」
 「うん。でも、学校にも行きたい」
 「そうだな。先にライラの故郷に行くのもいいかもな」


 こうして、リアンの町に錬金術師がやって来た。




 **********




 錬金ギルドが可動を始め、町の道具屋や薬屋、ギルドにはポーション類が販売されることになった。
 これにより、町のポーション不足は解消され、ダンジョンに挑む冒険者たちは益々増え、町はさらなる発展を遂げる。


 「ふぅ、暫くは領主の仕事だなぁ······」



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