神様のヒトミ

さとう

106・食事



 アイトは最初にビッグワイルドボアの解体を始めた。
 解体用に持ってきた鉈を取りだし、毛皮を剥いで内臓を処理する。


 「うーん。慣れって怖いな」
 「にゃ?」


 アイトはしみじみと呟く。
 最初は気持ち悪く吐いていた内臓処理作業だが、慣れるとこうも平気なのかとアイトは思う。
 剥いだ毛皮と骨を洗って乾かし、内臓は地中に埋める。
 食べられる部位をカットし、今日はステーキで食べることにする。


 「明日は鍋にしよう。今日はステーキと焼き魚だ」
 「にゃう。焼き物ばっかりだね」
 「ま、まぁたまにはいいだろ。冒険っぽくて」


 意外なことに、ビッグワイルドボアの肉は臭みがなく、このまま焼いても食べられそうだった。
 肉を焼く前に、魚のワタを処理して網の上で豪快に焼く。
 1匹がカツオのようなサイズなので、今日は1匹だけ焼いてあとは明日に回す。


 「味付けはシンプルに塩だな」
 「にゃうぅ……いい匂い」
 「よーし。肉を焼くぞ!!」


 アイトは大きく切った猪ステーキを鉄板の上にのせ焼き始める。
 それに合わせて付け合わせの野菜も炒め、肉と魚が同時に焼き上がるように調整した。
 鉄板の隅に小鍋を置き、中に醤油ベースのステーキソースを入れて温める。
 町から持ってきた、アイヒ特製ソースだった。


 「ミコト、皿を頼む」
 「はーいっ」


 ミコトは魚用の大皿と、ステーキ用の中皿2枚を並べた。


 「……よーし。出来た」


 猪ステーキを皿に乗せ、ブラックホッケの丸焼きも乗せる。
 簡易テーブルの上には豪華な夕食が出来上がった。


 「にゃぁぁ~っ!! おいしそ~っ」
 「よーし。熱いうちに食べるぞ!!」


 ミコトがすでにナイフやフォークは準備してくれたので、アツアツのうちに食べることにする。


 「それじゃあ、いただきまーす!!」
 「いただきまーす!!」


 アイトは小鍋から直接ソースを掛ける。
 猪ステーキから香ばしく芳しい匂いが立ちこめ、ミコトとアイトの腹を刺激し、まるで競うかのように2人は肉を切って口に入れた。


 「おぉ……」
 「にゃふぅ……」


 ジュワリと肉汁が溢れ、ソースと絡み合う。
 自身で狩り、自身で解体、自身で調理したというスパイスが混ざり、肉の味をよりいっそう深くしていた。


 「おし、ミコトの釣ったブラックホッケの丸焼きだ」


 アイトは箸を刺して腹を割と、ハラハラと身が解れた。
 味付けは塩のみなので、そのまま口に運ぶ。


 「うぅ~ん……。フワッフワだな」
 「はふぅ……」


 ミコトは恍惚の表情を浮かべ、ほっこりしている。
 2人は殆ど喋らず、肉と魚を処理した。


 「はぁ~……美味かった」
 「にゃふぅ~」


 しばらく食事の余韻に浸り、2人で片付けを終わらせる。
 テントの近くに強固な結界を張り、アイトたちは寝間着に着替えてテント内へ。


 アイトは気が付いていないが、アイトの張った結界は非常に強固で、隠蔽はもちろん耐久性も最高レベルのものだった。


 「アイト、いっしょに寝よ」
 「ああ、いいぞ」


 テントには毛布が敷かれ、その上にマットレスが引いてある。
 テント内を適温に保つ魔道具が作動してるので寒くはないが、ミコトはアイトの傍に擦り寄ってきた。


 「にゃう。なんか……おとーさんみたい」
 「そうか?……」
 「にゃ……」


 アイトはミコトを優しくなでると、ミコトの瞼はぴったいと閉じられ、そのまま寝息が聞こえてきた。




 アイトも目を閉じ、そのまま眠りに落ちた。



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