神様のヒトミ

さとう

105・冒険



 シュネクの町に続く街道を、2人は歩いていた。
 アイトとミコトは魔導車を使わず、あえて歩きでスタートする。


 『雷駆ライク』を使わなければ、ミコトの身体能力はアイトより上で、スピードはもちろんパワーもある。
 これはライラやシアやルカにも共通することで、魔帝族に共通する身体能力だった。
 ライラは奴隷だったが、『服従の首輪』の効果で、身体能力を極限までに抑えられていたらしい。


 「にゃんにゃんにゃにゃ〜ん♪」
 「ごきげんだな、ミコト」
 「えへへ。だって、山や川以外でお出かけするの久しぶりだもん。おとーさんに一度だけ、フェンリル国につれてってもらったことあるけど、それ以来かなぁ」


 ミコトの服装は、ガロンのくれた革のワンピースに鈴付きチョーカー、そしてライラの髪飾り。そしてアイトが買った肩掛けのポシェットだった。


 「えへへ、いただきま〜す。あむ」


 ミコトはポシェットに手を入れ、小さな丸いお菓子を口に入れる。


 「こら、さっきも食べただろ? 今日はおしまい」
 「にゃ〜。だっておいしいんだもん。クナイの作ったこの〔鈴カステラ〕ってパン」


 クナイの作った鈴カステラは、1個10コインで売られている。
 しかし、子供たちに人気ですぐに売り切れてしまう。
 クナイはミコトのために、大量に作ってくれた。


 「よし。今日の夜は何食べる?」
 「にく‼ さかな‼」
 「どっちだよ······」


 整備された街道は広く、たまに魔導車とすれ違う。
 天気もよく快適で、歩くスピードも自然と上がった。


 「······にゃ、アイト‼ お魚のニオイがする‼」
 「魚?」
 「こっち‼」


 ミコトは街道脇の森に走って行く。
 アイトは慌てて追いかけるが、すぐに追いついた。


 「こら、1人で行くなっての」
 「にゃお、見て」
 「ん?······池か? おぉ⁉」


 森は開けた場所で、大きな池がある。
 日差しが差し込み、周囲の雰囲気も悪くない。
 何より池には魚がいて、たまに跳ねて水に落ちた。


 「······よし。今日はここで休むか。釣りをして魚を獲ろう」
 「うん‼」


 アイトはテントを組み立てかまどを作り、ミコトはアイトの見える範囲でエサとなる虫を捕まえる。
 テントが組み上がると、アイトは近くにある太い枝を拾い、〔マルチウェポン〕で少し削り竿を作り、糸と針を付ける。


 「アイト、むしー」
 「よーし。じゃあ釣るか」


 ミコトはミミズを捕まえ、アイトは餌を針に付ける。
 池のほとりに岩を置いて椅子の代わりにして、さっそく釣りを始めた。


 「ミコト、アタリが出たら言えよ?」
 「へーきだよ。あたしはアイトより力持ちなんだから」
 「そーいやそーだったな······」


 待つこと15分。


 「······ふにゃあ」
 「······ふぁあ」


 アタリなし。
 アイトとミコトはあくびをした。
 が、ミコトのネコ耳がピクピク動いた。


 「んにゃ? アイト、なにか来たよ」
 「アタリか?」
 「んーん、森の奥から」


 ミコトの視線の先には何もないが、アイトは警戒する。
 そして、アイトにも分かるくらい気配が強くなった。


 「わぁ、イノシシだ」
 「で、デカイな」


 現れたのは、全長3メートルほどのイノシシだった。
 獰猛な唸り声を上げ、アイトたちを威嚇してる。
 どうやらこの池は、イノシシのテリトリーらしい。


 「どれどれ?」




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 【ビッグワイルドボア】 ♀
 ●A+~レート


 ●〔ステータス〕
 ○デズモンド地域全域に生息する魔獣。
 ○強烈な体当たりと、キバによる突き上げが得意。
 ○肉は美味で、煮ても焼いても美味い。


 ●〔おすすめ調理法〕
 ○ワイルドボアの丸焼き〔詳細〕
 ○ワイルドボアの牡丹鍋〔詳細〕
 ○以下・〔詳細〕


 ●〔素材〕
 ○ワイルドボアのキバ
 ○ワイルドボアの毛皮
 ○ワイルドボアの肉


 以下・未開放


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 「おお、ぼたん鍋か」
 「ぼたん?」
 「イノシシの鍋だ。すっごく美味しいぞ?」
 「にゃあ、食べたい!!」
 「よーし。任せとけ」


 アイトは立ち上がり、〔マルチウェポン〕を展開し、『雷駆ライク』を纏う。
 ミコトに竿を渡し、ビッグワイルドボアに向き直る。


 「ミコト、竿を頼む」
 「にゃあ。任せて」


 アイトの変貌にビッグワイルドボアが反応し、唸り声を上げる。


 「さて。いいタイミングで来てくれた……『疾風刃雷しっぷうじんらい』」


 勢いを付けて走り出したビッグワイルドボアだが、首の付け根から鮮血が吹き出した。
 目にも止まらぬ速さでアイトがすり抜け、首を切断寸前まで切り裂いたのだ。


 「よし、血抜き完了」


 生きている内に動脈を切断すれば、血は勢いよく噴き出す。
 アイトはブレードの血を振り払い収納した。


 「にゃうぅーーっ!!」
 「ミコトっ!?」


 既に事切れたビッグワイルドボアに近づいた所で、ミコトの悲鳴が聞こえ、アイトは振り向いた。
 するとそこには片手で1本ずつ竿を支えるミコトの姿。そして水面が飛沫を上げている光景だった。


 「ミコト、竿を捨てろっ!!」


 竿の引きは尋常ではない。 
 このままではミコトが引きずり込まれる危険があった。が


 「にゃあぁぁぁーーっ!!」
 「お、おぉっ!?」


 ミコトは思い切り竿を引き上げると、針に掛かった大きな魚2匹を釣り上げた。


 「にゃふぅぅ……疲れた」
 「す、凄いぞミコト!! 大物だ!!」


 アイトはすかさず詳細を覧る。


 
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 【ブラックホッケ】 ♂
 ●Cレート


 ●〔ステータス〕
 ○デズモンド地域に生息する魚
 ○力が強く、釣り人を湖に引きずり込みエサにする
 ○身は淡泊で濃厚。絶品


 ●〔おすすめ調理法〕
 ○ブラックホッケの包み焼き〔詳細〕
 ○ブラックホッケの丸焼き〔詳細〕
 ○以下〔詳細〕


 ●〔素材〕
 ○ブラックホッケの切り身


 以下・未解放


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 「いいねいいね、最高だぜ」
 「にゃお。これでお肉とお魚が手に入ったね」
 「ああ。夕飯は豪勢にいくか」




 アイトたちはさっそく夕飯の支度を始めた



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