神様のヒトミ

さとう

104・旅支度



 アイトは、学校建設予定地にやって来た。
 学校の建設は順調に進み、完成度は7割程度。
 学校から少し離れた場所に、リュコスの青空教室はあった。


 「はい。今日はここまで。また明日来て下さいね」
 「「「はーい‼」」」


 子供たちは40人ほど。
 人間だけでなく魔帝族も混ざり、長テーブルの上に置かれた羊皮紙に文字を書いていた。どうやら文字を書く練習のようだ。
 ミコトたちも混ざり、元気よく返事をした。


 そして、近くには意外な人物たちが。


 「はーい、それじゃ希望者はウチらのところに来てねーっ‼」
 「······」


 金髪セミロングヘアのルシェラと、大剣士のアシュロンだ。
 ルシェラは手を振り、アシュロンは静かに佇んでいる。


 「あ、アイト‼」
 「お、ミコト。おつかれ」
 「うん‼ 買い物いこ‼」
 「その前にお昼だな。それと、ライラたちは?」
 「ライラはまだお勉強するって、ルカはリュコスせんせーと言葉のお勉強で、シアはリュコスせんせーと帰るってさ」
 「そっか。まぁいいか」


 アイトの視線はアシュロンたちに向く。


 「えっとね。希望者は剣術を教えるって」
 「あぁ、なるほどな」


 活発そうな少年たちと、数人だが少女もいる。
 アシュロンを見て少年少女は目を輝かせ、ルシェラは少し不満そうだった。


 「さーて、まずは剣の持ち方からね。アシュロン、手分けして指導するわよ‼」
 「······ああ」


 アシュロンの傍には、木剣の挿してある籠があり、子供たちに1本ずつ配る。
 そして1人ずつ握らせ、細かな微修正をして回った。


 「なぁ、アシュロンさんってカッコいいな」
 「うん。ステキ〜」


 アシュロンは身長も高く、ルックスもいい。
 男の子からは羨望、女の子からは憧れの視線が集中する。


 「ねーオバさん、こう?」
 「ちょ⁉ だれがオバさんよーっ‼」
 「んぎゃーっ⁉」


 ルシェラは男の子の頭をグリグリしてお仕置きし、その様子を見た子供たちに笑われている。


 「なんか、楽しそうだな」
 「にゃう。だね」


 リュコスのもとにはライラたちが集まり、建設作業員のもとには子供が群がる。どうやら作業員の家族らしく、働く父の姿を見て喜び、父は勉強する子供たちを見て微笑んでいた。


 「学校、かぁ」
 「にゃお。お勉強は苦手だけど、楽しかったよ」
 「そっか」
 「にゃう······」




 アイトはミコトを優しくなでた




 **********




 〔ロゼオ〕でお昼を済ませたアイトたちは、町で買い物をした。


 「えーと。食材はあるし、キャンプ道具もある。変えの下着と着替えくらいかな」
 「うん。おやつも買って」
 「はいはい。日持ちするヤツな」


 着替えと下着を買い、ついでにおやつも購入。
 アイトはアイヒから教えてもらった、簡易版《立入禁止キープアウト》に収納する。
 アイヒとは違い、アイトでは6畳ほどのスペースしか作れなかったが、特に問題はなかった。


 「帰ったら荷物を準備して、明日には出発するか」
 「にゃう、冒険だね‼」


 ミコトと手を繋ぎ帰宅し、着替えや食材、テントや道具を準備して収納する。
 準備が終わる頃には夕方で、ライラたちも帰って来ていた。
 アイトは暖炉の前で、ミコトのネコ耳をいじる。


 「にゃお〜。気持ちいい」
 「はは。ホレホレ」
 「あ、いいなー。わたしもー」
 「あぅ〜」


 ライラとルカもやって来た。
 アイトは順番になでる。


 「ただいまー」
 「ただいま帰りました。主殿」
 「ただいま」
 「ただいま〜、オナカ減ったぁ〜」


 アイヒたちも帰宅し、全員で夕食を作る。
 ちなみにシアはリュコスと近くの家に引っ越し、新たな生活を始めていた。
 出発前の夕食は豪勢な物になり、ミコトやアイトの好物が並ぶ。


 「おお、美味そうじゃん」
 「にゃおお、すご〜い」


 食事が終わり、風呂を済ませる。
 アイトは暖炉の前で、ミコトに確認をする。


 「いいか、ヘッジヴァイパは遠い。いくつか村や町を越えて進むけど、危険な場所も通るから覚悟しとけ」
 「にゃん。わかった」
 「まずは南に進んで、〔シュネクの町〕を目指そう」
 「わかった」


 話が終わり、アイトは寝ることにする。
 ミコトを部屋へと送り、この日はぐっすりと眠った。


 そして翌日。


 朝食を食べ、家の前に出る。
 見送りはクナイだけ。あとは全員仕事に出た。


 「クナイ、仕事はいいのか?」
 「はい。今日は定休日ですので。それより主殿、ミコト様、お気をつけて」
 「ああ。腕利きの錬金術師を連れて帰って来るから、それまで頑張ってくれ」
 「はい、ありがとうございます」
 「クナイー、おやつありがとーね」
 「いいえ、少しづつ食べて下さいね?」
 「はーい」


 クナイに見送られ、アイトたちは町を出た。


 「さて、まずは領土の境界線を抜けて、シュネクの町だ」
 「にゃふぅ、冒険だー‼」




 アイトとミコトは、ゆっくりと歩き出した。



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