神様のヒトミ

さとう

103・商人ギルド



 翌日。ミコトたちは青空教室へ向かい、アイトは執務室で書類整理をしていた。
 アイトはこういった作業が意外と得意で、ウルフィーナやギャングの支持のもと、的確に仕事を進める。


 「じゃあ、移住申請の手続きはウルフィーナさんに一任します」
 「畏まりました。開業申請などは如何いたしますか?」
 「それもウルフィーナさんで。というか俺が居ない間は領主代行をお願いします。ギャングさんは補佐を」
 「畏まりました。それと、商人たちからの要請で、町に商人ギルドを作って欲しいと」
 「商人ギルドか······」


 商人ギルドは、商品管理のギルドである。
 例えば、現在ラウルの作った野菜は町の飲食店に卸したり、直接販売をして利益を出しているが、値段などは大きさによってバラバラで、統一性がない。
 飲食店によって値段がバラバラだと、不満も出て来てしまう。


 そこで商人ギルドの登場である。
 ラウルが直接商人ギルドに卸し、ギルドの基準の値段で売る。
 そして、飲食店への運搬や配達などをギルド主体で行い販売をする。
 個人ではなくギルドという組織が管理する食材の値段で取引を行うことにより、個人への不満をなくす。
 そして、リアンの町だけでなく、デズモンド地域全体にラウルの野菜が売買されることにもなる。
 ちなみに、クナイの薬のように大量生産が出来ず、個人店にしか並べられない物は別である。


 現在ラウルは、町の飲食店全てと取引をしている。
 そして、野菜の質や大きさで値段をコロコロ変えるため、一部では不満の声も少なからずあった。


 「よし、商人ギルドを作ろう。建物は?」
 「はい、実は既に完成しています。アイト様の許可ですぐにでも可動出来ます」
 「はやっ⁉ じゃあお願いします」
 「はい。ギルド長は、フェンリル国の商人ギルドで副長をしていたフォクシーという狐人の女性です。ここに移住申請の書類があります」
 「いやはや、準備万端じゃないですか」


 アイトは書類に目を通す。
 魔帝族の寿命は長いのは知っているが、年齢欄だけは見てもパッとしない。


 「年齢198歳か······」
 「ほう、その若さで副長とは。流石ですな」
 「ええ、私たちより年下で、さらに今回でギルド長ですからね。かなりのやり手でしょうね」
 「は、はぁ······」


 アイトは、取り敢えず流した。


 「えーと、学校の完成はいつ頃で? あと資金は足りてる?」
 「はい。まず学校ですが、完成は2週間後です。それまではリュコス様の青空教室で授業を行います。それと資金ですが問題ありません。税の徴収も始めましたので、金庫はまだまだ余裕があります」
 「······税金か。それって多いの?」
 「いえ、住民税だけです。それに、アイト様のドラゴン報酬もまだまだありますので、無理な取り立てはしていません。ご安心を」
 「そっか。金が足りなくなったら何時でも言って下さいね。いくらでもドラゴン狩りしてきますんで」
 「は、はい。分かりました」


 ドラゴンは滅多に現れない。
 現れるときは国中が騒ぎになり、領土内の王国が全ての町や村に〔超危険指定種〕の討伐依頼用紙を発行する。
 ドラゴンは刺激をしなければ大人しいが、一度暴れると手が付けられない。それほどの魔獣である。
 討伐には軍を派遣し、【魔帝十二神将】が自ら出向き、討伐する。
 報酬が設定されているが、それはドラゴンが暴れた際の被害金額を推定して弾いた金額で、個人に支払われることはまず無い。


 アイトとアイヒが2人で倒し50億の報酬を得たのは、異例中の異例中の異例であり、長い歴史から見ても初めてのことだった。


 「念の為、ドラゴンの討伐依頼とかあったら教えて下さい。それが他の領土でも構いません。金稼ぎになるんで」
 「か、畏まりました」


 アイトの指示に、ウルフィーナは何とか返した。
 一通りの仕事を終えたアイトは立ち上がる。


 「よし、ミコトを迎えに行くか。悪いけど後はお願いします」
 「はい。お気をつけて」


 午後の予定はミコトと旅支度の買い物。
 時間的に、迎えに行けばちょうど授業が終わるだろう。




 アイトは領主邸を後にした。



「神様のヒトミ」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く