神様のヒトミ

さとう

102・勉強



 逃げようとしたミコトとシアを捕まえ、アイトたちは学校の建設予定地へ赴いた。
 領主邸から歩いて10分ほどの場所に、切り開かれた広場があり、そこに校舎を建設中だ。


 「ふむ、なかなか広いですね」
 「はい。アイト様の提案で、学業の他に希望者に剣術や武術の指導も行います。将来、冒険者や傭兵になる子供が居るかも知れないので、若い頃から身体を作ろうという試みです」
 「なるほど。さすがアイトくんね。なら、女の子には裁縫やお料理なんてどうかしら?」
 「おお、素晴らしいですリュコス様。ではキッチンの増設を」


 ウルフィーナが図面を広げ、リュコスと話し合っている。
 アイトたちは手が出せず、黙っていた。


 「にゃお〜」
 「がぅぅ」


 ミコトとシアはギャングとラクシャーサが抱え、ライラとルカはアイトの傍にいた。
 特にライラは目を輝かせ、校舎に見惚れている。


 「ライラは勉強がしたいんだな」
 「うん。みんなと遊ぶのは大好きだけど、お勉強もしてみたいって、ずっと思ってたの」
 「そっか······。悪いな、気付かなくて」
 「くぅん······」


 アイトはライラの頭をなで、イヌ耳に触れる。
 すると、リュコスがアイトたちの前に来た。


 「さて、今日は必要な物を運んで、町にお知らせを出すわね。明日から授業を始めるから、希望者はお集まり下さいってね」


 リュコスはギルドに依頼し、町中にお知らせの羊皮紙を配る。
 まずはお試し体験ということで無料。正式に開校したら、ある程度のお金はかかる。


 「しかし、町民の財産状況から通えない子供は居ないと思います。住居申請時に職業を聞いていますが、無職の方は居なかったので」


 住人申請する際に、職業記載欄に記入しなくてはならない。
 無職でやって来た場合は、町の設備や作業員として働く契約がされ、むしろ働き口が見つかり喜ぶほどだった。


 「さて、忙しくなるわね」




 リュコスは笑顔を見せ、ミコトとシアは項垂れた。




 **********




 その後、細かな資材を運び、広場に長テーブルと椅子を運ぶ。
 移動式の黒板と羊皮紙を教卓に置き、青空教室の準備は整った。


 ミコトたちも手伝わせ、準備が終わった頃はお昼を過ぎていた。


 「かーさま、ごはんー」
 「あらゴメンナサイね。じゃあみんなで〔ロゼオ〕に行きましょうか」
 「にゃおーっ‼ オムライスが食べたいっ‼」
 「あぅーっ‼」
 「わぉーんっ‼ わたしはハンバーグっ‼」


 アイト、ミコト、ライラ、シア、ルカ。そしてリュコスの6人でロゼオに向かう。
 ラクシャーサは一度フェンリルに戻り、リュコスの引っ越しの手続きを済ませに行った。


 はしゃぐミコトたちを連れてロゼオへ到着。
 席に案内されると、ミレイがオーダーを取りに来た。


 「ご注文は?」
 「オムライスっ‼」
 「ハンバーグっ‼」
 「あたいはステーキっ‼」
 「俺もステーキ、ルカはお子様ランチで」
 「私はサンドイッチにするわね」
 「はい。では少々お待ち下さい」


 間もなくして料理が運ばれ完食。
 デザートにパフェを頼むと、ミコトたちは大いに喜んだ。
 アイトとリュコスは紅茶を飲みながら、授業の話をする。


 「まず明日は午前中だけの授業にして、どういう流れなのかを感じてもらうわ」
 「なるほど。内容は?」
 「まずは字の書き方からね。そこから簡単な文章を作らせようと考えてるけど、細かな打ち合わせは帰ってからウルフィーナとするわね」
 「お任せします。俺にはサッパリなんで」


 アイトは苦笑する。そしてミコトに言った。


 「ミコト、明日の午後は買い物に行くぞ」
 「にゃお?」
 「旅に必要な道具を買わないと。それとも留守番してるか?」
 「行く行く‼ ぜったい行く‼」


 ミコトのクリームまみれの口元をアイトは拭う。
 学校が始まるが、ミコトとヘッジヴァイパに向かうことは決定してる。




 勉強のためにも、早く行って帰ろうと思うアイトだった。



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