神様のヒトミ

さとう

93・学校



 アイトたちは、アグニを脅して城を出た。
 もし不穏な動きを見せれば、この領土は泥に沈むと。


 「あそこまで言えば大丈夫だろ」
 「まぁね。モーラなんて泣きそうになってたわよ」
 「いいさ。伝えるべき事は伝えたし、結果はどうあれ幸せそうなら、ガロンさんも笑ってくれてると思う。」 
 「そうだといいわね。ね、ルカちゃん」
 「あぅ?」


 アイトは、赤毛クマの少女であるルカを抱っこしてた。
 どうやら【災禍の魔獣】の非道な実験を受けていたらしく、まともな教育を受けていない。
 なのでアグニに頼み込み・・・・、村で預かることにしたのだった。


 ルカを見て、アイトは1つ思いついた事があった。


 「なぁ、村に子供ってたくさんいるよな」
 「え? まぁそうね……、50くらいは居るんじゃない? ミコちゃんたちも入れて」
 「う~ん、学校って必要だと思うか?」
 「あ、そっか」


 ミコトは少しは読み書きは出来るが、ライラは読み書きが出来ない。
 シアは両方ともこなせるが、あまり好きではなかったハズだ。


 「確かに、最低限の計算や読み書きは出来た方がいいわね。子供達が商人や冒険者になるなら必要だしね」
 「だな。じゃあ建設予定に入れておこう。あとは教師だけど」
 「その辺はウルフィーナさんに要相談ね」
 「よし、じゃあ帰るか。取りあえず1つめの約束は果たしたぜ」




 こうしてアイトは、ボルカニカを後にした。




 ***********




 「うにゃ、アイトだ」
 「ホントだ。おかえりー」
 「がう? その子だれ?」


 転移した先は領主邸の居間。ちょうど《テレポクリスタル》の前だった。
 更におやつの時間なのか、ミコト達が集まっていた。


 「この子はルカ。今日からみんなの友達だ」
 「うにゃ? クマさん?」
 「こんにちは。ライラだよ」
 「あたいはシア、よろしく」


 アイトはルカを降ろすと、不安そうにアイトにしがみつく。


 「大丈夫、ほら」
 「あぅぅ、あー」
 「その子、しゃべれないの?」
 「ああ。ちょっと特殊な環境で育ったからな……」
 「よーし、ならあたしたちが言葉を教えてあげよう。でもまずはおやつだ!!」
 「今日のおやつはパンケーキ!! あたいの大好物っ!!」


 アイトがキッチンを確認すると、ミレイが立っていた。
 どうやらおやつを作ってるらしく、アイトには気付いていない。


 「ただいま、ミレイ」
 「あ、おかえりアイト。……その子は?」
 「あぅあ?」


 アイトはルカを紹介する。


 「じゃあおやつは追加だね」
 「頼む」


 気が付くと、ルカはミコト達と遊んでいた。
 言葉はまだ通じないが、子供に通じる何かはあったらしい。


 「みーこーと、あたしはミコト」
 「みぃこぉと」
 「ミコト」
 「みこと」
 「よし、こっちはライラ」
 「りゃいりゃ」
 「わたしはライラだよ、ライラ」
 「りゃいら」
 「惜しい、ライラ」
 「らいら」
 「あたいはシア、しーあ」
 「しあ」
 「がう、1回で覚えた」


 暖炉の前で4人は遊んでいる。
 すると、アイヒが櫛とゴムとハサミを持ってルカの後ろへ来た。


 「ルカ、ちょっとゴメンね。このままじゃ可哀想だし、キレイにしてあげる」


 ルカはクセッ毛のロングヘアで、ロクに手入れされていない。
 髪を梳かし、前髪や長い部分を切りそろえ、最後に髪を括りポニーテールを作る。
 ぱっちりとした目が見え、とても可愛らしくなった。


 「はい、できあがり。かわいいわね」
 「にゃおー、すごい」
 「かわいいね」
 「うん。にあってるよ」
 「うぅ?」


 自分のポニーテールを弄り、ルカはご機嫌になった。


 「よし、おやつが終わったら服を買いに行きましょう。着の身着のままで来たから、替えの洋服なんて持ってないしね。まぁあの国にあったとは思えないけど」
 「にゃあ!! いいなー」
 「わふ、わたしも欲しいー」
 「あたいも、がぅぅ」
 「よし、じゃあみんなに1着ずつ買ってあげる。それでいい?」


 アイヒの提案に、ミコト達は喜んでいた。


 「ま、ルカもすぐに馴染むだろ」
 「うん。みんな仲良し」




 ミレイはパンケーキを焼き、アイトはカップにジュースを注いだ。



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