神様のヒトミ

さとう

79・ヒノの町



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 【ヒノの町】 LEVEL75


 ○〔住人〕 10040人
 ○〔家屋〕 3012軒
 ○〔商店〕 道具屋21
       八百屋7
       パン屋12
       金物屋62
       宿屋20
       酒場45
       武器屋85
       防具屋82
       装飾品屋32
       鍛冶屋120
       薬屋11


          etc 以下省略・項目閲覧


 ○〔ギルド〕冒険者ギルド
       傭兵ギルド
       諜報ギルド
       魔術ギルド
       錬金ギルド   


 ●移住希望 反応あり


 以下項目・未開放 


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 「ふむ。ロアの町より発展してる、それに鍛冶屋が多いし武器屋もいっぱいだ」
 「ホンット便利ね。村に戻る前に鍛冶屋を探してみる?」
 「そうだな。おいエル、それでいいか?」
 「はい。構いません、貴方の思った通りに進んで下さい。それがきっと最善の道です」
 「………」
 「………」


 アイトとアイヒは顔を見合わせる。
 ここに来るまで、何度も同じ事を繰り返しただろうか。


 エルは、まるでシスターみたいな祈りを捧げるようになった。
 エルの中にいる『慈愛ミストラル』の影響だとアイトは考えているが、確かめる術はない。
 特に害はないので放っておくことにした。


 「じゃ、行くか」


 こうして3人は、ヒノの町に入って行く。
 鍛冶場が多いせいなのか、熱気漂う町。




 幸か不幸か、神の導きか。トラブルは向こうからやって来た




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 「バッキャローーッ!! いい加減にしやがれッ!!」
 「こっちのセリフだこのヤローーッ!!」


 アイトたちが歩いていると、怒号が飛び込んできた。
 驚いて声の方角を向くと、小さな男性2名がケンカをしていた。
 今にも殴り合いになりそうだが、2人を必死に止めようと数人が掴んでいる。


 「おい、ヤバいか?」
 「待って、おかしくない?」
 「確かにそうですね」


 アイトが止めようとしたが、アイヒに止められる。


 「おかしいって………、あれ?」


 ここでアイトが気が付いた。
 今にも殴り合いをしそうな2人なのに、周囲の人間は誰も止める気配がない。それどころか普通に素通りしてる。
 ケンカなら野次馬か、警備の傭兵がすっ飛んで来るはずだが、その気配もまるでない。


 「あの2人は土作人ドウェルグのようですね。低い身長に対して筋骨隆々、さらに顔を覆うヒゲ、間違いありません」
 「ホントね。アタシも初めて見た」


 土作人ドウェルグとは、魔帝族の仲間。
 動物や魔獣の血が混ざった種族が亜人ジューマン、そして目の前にいる2人が土作人ドウェルグ、さらに緑深人アールヴ魚人フィッシャーという種族が存在し、それらを総称したのが魔帝族という種族なのだ。


 そのそも魔帝族とは、人間が付けた名称である。
 人ならざる者、という蔑称なのだが、余りにも深く浸透しすぎてしまったらしく、今更どうこう出来るものではないので、魔帝族自身がその名を使っていた。


 「どうアイト、2人に反応は?」
 「え?」
 「だから、移住希望反応よ!! タダでさえトラブルに愛されてるんだから、こんなイベントが起きた以上、確認しなきゃ!!」
 「あー……」




 アイトは、2人を確認してみた




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 【ホウテン】♂ 土作人ドウェルグ 1250歳


  ◎【異能アビリティ
 1・《鍛冶王》
  ○鍛冶を極めし者
  ○金属精製(レベルMAX)


 2・《武器の極》
  ○武器製造(レベルMAX)


 3・《炎の息吹》
  ○灼熱のブレスを吐ける


 ●移住希望反応アリ


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 【ベッコウ】♂ 土作人ドウェルグ 1250歳


  ◎【異能アビリティ
 1・《鍛冶王》
  ○鍛冶を極めし者
  ○金属精製(レベルMAX)


 2・《防具の極》
  ○防具製造(レベルMAX)


 3・《炎の息吹》
  ○灼熱のブレスを吐ける


 ●移住希望反応アリ


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 「……なーるほど、なんとなくわかった」
 「なになに、教えてよ」


 アイトは、見た情報を伝えた。
 武器と防具に特化した鍛冶屋。アイトはどちらかを誘うことにした。


 「いつもいつもやかましいんだよテメェ!! オレの武器がテメェの防具を両断したのが悔しいからって、妙ないちゃもん付けんじゃねぇ!!」
 「ハッ!! 誰のヘッポコ棒きれが、オレ様の防具を両断したって? バカも休み休み言え!!」
 「ンだとコラァ!?」
 「かかってこいやぁっ!!」


 ケンカは益々ヒートアップ。
 アイトの見立てでは、この2人はライバルなのだろう。
 同じ年齢に、武器防具、そして同じ種族。いがみ合う理由はいくらでもありそうだ。


 「ホント、矛と盾だな……」


 いがみ合う2人の真ん中に割り込もうとした時だった


 「あら? こんにちはホウテンさん、ベッコウさん」




 そんな透き通るような声が聞こえてきた




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 道路の真ん中で争う2人に割り込むように、道路の中央を歩く女性がいた。
 陶器のように白く美しい肌に、金色のブロンドヘア、エメラルドのように輝く瞳に、森が具現化したようなドレスを纏う、美しい女性。
 美しさも際立つが、アイトは女性の耳が尖ってるのに気が付いた。


 「ドウェルグの次は緑深人アールヴですか、こちらはさらに珍しいですね」
 「うん。アールヴって、森の隠れ里にいるんじゃなかったっけ?」
 「ごくまれに、人里に降りてくる個体もいるようですね」


 アイヒとエルが喋っているが、それどころではない。
 あれほど騒がしかった2人が、ピタリとケンカを止めたのだ。


 「こ、こんにちはアスルルさん。お買い物ですか?」
 「ええベッコウさん。いい果物が入りまして、フルーツパイを焼こうかと」
 「そ、それは美味しそうですね。うふふ」
 「ホウテンさん、よかったら如何です? ベッコウさんも」
 「い、いいんですか? うれしいなぁ」
 「ぼ、ぼくもうれしいです」
 「うふふ、ではお茶の時間にいらしてくださいな。お待ちしてます」
 「は、はい。アスルルさんのお店に伺います」
 「えへへ、おみやげを持って行きますね」


 そう言うと、アールヴの女性は去って行った。
 2人のドウェルグも、弟子を引き連れて去って行く。その足取りは夢遊病患者のようにふらついていた。


 「なんだありゃ……」
 「どうやら、あのアールヴの女性に惚れてるようね」
 「どうしますか、アイトくん?」
 「う~ん、超展開すぎて何が何やら……」


 一部始終を見ていたが、まるでゲームのようなイベントだ。
 アイトはそう考え、矛先を変える。


 「で、どうする。どっちのお店に行くの? 武器屋? 防具屋?」
 「恐らくですが、あんなに仲が悪いと、同じ村には行きたくないとか言うかも知れませんね。どちらか一方の鍛冶屋さんに絞ったほうがいいんじゃ?」


 確かに、そうだろう。
 あんなに仲が悪いなら、同じ村には来ないはず。
 だがアイトには秘策があった。


 「よし、ここはあのアールヴのお姉さんを仲間にしよう!!」
 「……は?」
 「えと、どうして?」
 「へへ、あのお姉さんも移住希望反応アリだった。説得すれば仲間に出来る。さらに、お姉さんに惚れてるなら、一緒の村でも来てくれるかもしれない」
 「ああ、アールヴの女性をエサにすんのね」
 「ナルホド、別の視点から釣るのですね」
 「おい、言い方」




 アイトが覧たのは、アールヴの女性の情報だった。




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 【アスルル・エルフェイム】♀ 緑深人アールヴ 1952歳


  ◎【異能アビリティ
 1・《技巧の繰り手》
  ○細工を極めし者
  ○金属精製(レベルMAX)


 2・《細工の極》
  ○アクセサリ製造(レベルMAX)


 3・《神の手》
  ○アクセサリに魔力を込められる
  ○アクセサリ属性付与


 4・《神秘の泉》
  ○指定した相手に最も似合うアクセサリを作れる
  ○女性限定


 ●移住希望反応アリ


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 何気に最高齢だな、なんてアイトは思った



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