神様のヒトミ

さとう

閑話・リアン村にて③



 ミコトに案内されて、ギャングがやって来た場所は、建築資材の余りである、廃材が投棄された場所だった。


 「おっちゃん、これ」
 「······これは、図面か?」


 ミコトが取り出したのは、1枚の図面。
 領主邸からやや外れにある大木の上の幹に、簡素な小屋を建設するための資材が書かれた設計図。


 「あのね、だいくさんが書いてくれたの」
 「材料も、ここの木を使えって、切ってくれたの」


 話を聞くと、どうやら建築作業員が設計図を興し、余った廃材で小屋の部品を作ってくれたらしい。
 よく見ると、目の前の廃材はキレイに切られ磨かれている。
 釘や金槌などの道具があれば、ギャングでも組めそうだった。


 「なるほどな。その作業員には特別報酬をやるか」
 「にゃう? ねぇおっちゃん、組み立ててよ〜」
 「わふっ、お願いしまーす」
 「おねがい〜、がうぅ」


 子供たちがギャングに甘え、袖を引っ張り頭の上のミコトはオオカミ耳をモミモミする。
 流石にくすぐったいので止めさせた。


 「わかったわかった、任せておけ。このくらいなら2時間もあれば組み立てられる」
 「ホント⁉ にゃっふ〜っ‼」
 「わぉ〜ん‼」
 「がぅーっ‼」


 ギャングは100キロ以上はある木材を、軽々と持ち上げる。
 アビリティなどではない、純粋な腕力で。


 「さ、行くか。······って、まぁいいか」


 抱えた柱となる木材は、長さ10メートルはある。
 その木材の上に並ぶように、ミコトたちが座っていた。




 ギャングは揺らさないよう、ゆっくり歩き出した




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 ギャングは自分の家から道具を持ち出し、足りない釘などはジャコブの道具屋で購入した。


 そして領主邸裏外れの大木の真下に材料を下ろすと、早速図面とにらめっこした。


 「大したものだ。よく書かれてる」


 設計はシンプル。
 大木の幹と幹に床板を敷き、その上に小屋を建てるという物。
 ギャングは一気に床板を手に取り木登りをし、図面の通りに床板を並べて固定する。
 足場が出来たので、後は図面通りに小屋を組む。


 「おっちゃんすご〜い」
 「カッコいい‼」
 「だいくさんみたい」


 金槌を振りながら、子供たちの声を聞く。
 ギャングは照れながら作業をした。




 こうして、予定よりだいぶ早く小屋は完成した




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 そして、秘密基地は完成した。
 梯子を掛け、床下から入るタイプの秘密基地。
 広さは六畳一間ほどで、外が見えるように窓も付いている。
 梯子は垂直だが、ミコトたちの身体能力なら問題ない。むしろ楽しそうに登っていた。


 それぞれが荷物を抱え、秘密基地の中へ。


 「おぉ〜っ、これがあたしたちの〔ひみつきち〕」
 「わぉ〜ん、すごい広〜い」
 「えへへ、ありがと、おっちゃん」


 それぞれが荷物を広げる。
 ミコトはお気に入りのフカフカクッションに、ライラは簡易テーブルに小物入れ、シアは床マットに座布団だった。
 それぞれのスペースを作ると、見守っていたギャングに向き直る。


 「おっちゃん、ありがとうございました‼」
 「ありがとうございます‼」
 「ありがとうございました‼」
 「いや、いいさ。怪我はするなよ?」


 ミコトたちは一度下に降りると、ギャングに向かって手を差し出す。


 「······これは?」
 「おれい‼」


 ミコトの手にあったのは、小さな瓶。
 そこに、綺麗な透明感のある石が3つ入っていた。


 「山に入ったとき、みんなで探して拾ったの。おっちゃんにあげる」


 それは、魔核だった。
 おそらく、死んだ魔獣の魔核が残った物で、大地に吸収される前に拾った物だろう。


 ギャングは恐る恐る瓶を手に取った。


 「······いいのか?」
 「うにゃ、もちろん‼」
 「わん。おじさんにあげる」
 「がうがう」




 ギャングは微笑み、3人の頭をなでた。




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 子供たちにお昼をご馳走し、ギャングは領主邸に帰って来た。
 手には小瓶を大事そうに抱えている。


 「ただいま」
 「おかえりなさい。······なぁに、それ?」
 「······オレの宝物だ」


 小瓶を揺らすと、チャラチャラと音がする。
 その音は、どんなBGMよりギャングの心に染み渡った。


 「なぁウルフィーナ、その······、何だ」
 「何よ?」
 「うぅむ······」


 煮え切らないギャングに、ウルフィーナは首を傾げる。
 しかし、意を決したのかギャングが言う。


 「こ、子供······、作らないか?」




 ウルフィーナは、声を上げて笑った




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 領主邸からやや外れにある大木の上に、ミコトたちの秘密基地がある。
 お昼を食べたミコトたちは、さっそく基地に入り、お気に入りのクッションで昼寝をする。


 ミコトの手作りだろうか、梯子には1枚の木製プレートが掛けられていた。








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 みこと・らいら・しあ・おっちゃんのひみつきち


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