神様のヒトミ

さとう

77・休暇の終わり



 翌日。アイトは新しくなったベッドで目を覚ました。
 左右にはミレイとクナイがいるが、クナイはすでに起き上がり、背伸びをしていた。


 「おはようございます、主殿。すぐに朝食の支度を」
 「あぁ、頼む······ふぁぁ」


 昨夜。温泉で2人を相手にハッスルし、ベッドにお持ち帰りをして連戦した。
 アイトはまだ寝ぼけていたが、クナイは既にいつも通り。
 着替えを済ませると部屋を出て行った。


 アイトは隣のミレイを見る。


 「······んぅ」
 「······可愛いな」


 裸で眠るミレイは美しい。
 カーテンから差し込む光が裸体をてらし、白い肌がキラキラ光ってるように見えた。
 アイトはミレイの頬に手を添える。


 「んぁふ?」
 「あ、悪い」


 ぼんやりと眼を開け、アイトを見つめるミレイ。
 アイトは頬に当てた手を離さず、そのまま擦る。


 「ん〜、気持ちいい」
 「そうか? じゃあこのままだ」




 朝食の支度が出来るまで、2人は触れ合っていた。




 **********




 ラクシャーサの視察団が迎えに来るまで3日、アイトは村で仕事をすることにした。


 移住希望の書類決済が溜まっていたので、領主のハンコを押して承認する作業や、仕事ではないがアイト自身が入居者に挨拶をしたりと忙しく働いた。


 ラクシャーサは仕事を忘れ、シアと遊んでいた。
 ミコトやライラもラクシャーサに懐き、山に出かけたり、川で釣りをしたりと休暇を楽しんでいた。
 アイトとしてはラクシャーサに鍛えて貰いたい気持ちもあったが、シアの笑顔を見てすぐに諦めた。


 移住希望は増え、冒険者や傭兵も立ち寄る村になり始めた。


 アイトが帰って来て3日、明日にはラクシャーサの視察団が到着し、アイトたちも合わせてボルカニカに出発する。




 村が発展するのはいいが、やはり問題も出てくる。




 **********




 「アイト様。少し問題が」


 アイトとアイヒの出発の前日、ウルフィーナが領主執務室に来た。
 この部屋は増築した屋敷に作られ、アイトが書類を決済したり仕事をしたりする部屋だ。


 「問題?」
 「はい。冒険者同士のトラブルや、窃盗による被害が報告されています。ここはやはり専属で傭兵を雇うべきかと」
 「傭兵か······」
 「それと、冒険者たちからの希望で、村に武器防具屋を設置して欲しいとのことです。ダンジョンで武器防具の破損があった場合、修理出来る職人が居れば助かるとの声が」


 武器防具屋は、鍛冶屋が兼任する場合がほとんどである。
 冒険者や傭兵の特性に合わせ、自らが作り出した武器を提供する。更に店頭で依頼を受けて、オーダーメイドで武器防具を作ることも出来るからだ。


 「わかった。傭兵は任せる、俺はボルカニカで職人を探してくるよ」
 「かしこまりました」


 ウルフィーナが頭を下げると、ドアがノックされた。


 「失礼します、アイト様」
 「あ、ギャングさ······」
 「あなた······」


 入って来たのはギャングだった。
 何故か頭にミコトを乗せていた。


 「······降りてくれ」
 「にゃう。ありがと、おっちゃん」


 ミコトはギャングから飛び降りると、アイトに甘えて来た。


 「おっちゃんがアイトのトコに行くって言ったから、乗せてもらったー」
 「そ、そうか」
 「ギャング、あなた」
 「仕方がない、それに子供は嫌いじゃない」
 「全く······」


 ウルフィーナは仕方なく苦笑し、アイトもミコトのネコ耳を弄って遊ぶ。


 「ホレホレ、ここがいいのか?」
 「にゃふぅぅ······きもちいぃ」


 耳の裏をカリカリしてやると、ミコトはとろける。
 アイトはミコトが喜ぶ部位を知り尽くしていた。


 「所で、ライラは?」
 「シアと追いかけっこしてる。あたしのほうが速いけど、体力で負けちゃったからアイトのトコに来た」
 「そうか、ホレホレ」
 「ふにゃ〜」


 耳を弄っていると、要件を思い出したギャングが言う。
 気持ち良さそうなミコトの邪魔をしたくなかったのかもしれない。


 「アイト様、実は······」
 「なに?」




 アイトは全力で、領主らしく仕事をこなした。




 **********




 アイトたちは、出発するラクシャーサを見送りに来た。
 村の入口には魔導車が停車し、屈強な狼人が何人もいる。


 「とーさま······」
 「シア、また来るから。そんなに悲しい顔をするな」


 視察団と一緒にラクシャーサは次の町へ。
 ラクシャーサの領土内にある全ての町を回った後、領土本国である〔大地の国フェンリル〕へ帰還する。


 「ミコトちゃん、ライラちゃん、シアと仲良くしてあげてくれ」
 「にゃう、もちろん‼」
 「わん、とーぜんです‼」


 胸を張るミコトとライラを、ラクシャーサは優しくなでた。


 「アイトくん、本国に連絡をしたから、資材や人材は順次送られる。この調子で拡張を進めてくれ」
 「分かりました。ありがとございます」
 「ああ。拡張次第ではここを町として認可する。それだけの可能性がここにはあるからね」
 「ま、町ですか······」
 「ああ。頑張ってくれ」


 ラクシャーサはアイトの肩を叩くと、魔導車に乗って出発した
 悲しげな顔をするシアを、ミコトとライラは抱きしめる


 「シア、クナイのお店でお菓子買おう」
 「クナイね、〔いちご大福〕っていうお菓子を作るんだって」
 「······うん‼」


 3人は尻尾を振りながら走り出した


 「じゃ、アタシたちも行くわよ」
 「ああ。ロアの町を経由して【火天アグニ】の領土へ行こう」




 アイトとアイヒは、再び旅立った



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