神様のヒトミ

さとう

71・グランドレッド・ボルケーノドラゴン



 「さて、どう攻めるか……」


 アイトは正面からドラゴンと向き合う。
 顔だけで直径3メートルはあり、不用意に近づけば丸呑みにされる。
 アイトをエサとしか認識していないのか、敵意や悪意はそこまで感じていなかった。


 「『雷駆ライク』」


 アイトは全身に雷を纏い、さらに魔闘気を纏う。
 全身の強化をし、まずは位置を変える。


 「アイヒ、任せた」
 「了解」


 短いやりとりを済ませ、アイトは真横に走る。
 ドラゴンの視界からアイヒを外し、側面から攻撃を与える。
 アイトは内臓を破壊しないように力を調節し、前足の付け根辺りを攻撃した。


 「開幕の一撃だっ、【牛角ぎゅうかく】!!」


 甲殻を伝わり神経にダメージを与えたのか、ドラゴンの身体がビクリと跳ねる。


 『ガォォォォンッ!!』
 「うるさっ」


 アイトは常に移動し、ドラゴンの正面には立たない。
 物理攻撃はほぼ無効化されるが、魔闘気は通る。


 「よし、チマチマ攻撃を当てて弱らせてやる」


 アイトは前足の付け根を重点的に狙う。
 ダメージを受けたドラゴンは、アイトを喰らうため移動する。
 アイトも前足にピタリとくっつき移動し、再度攻撃。


 つまり、クルクルとその場で回る。
 アイトは前足から離れず、ドラゴンはアイトを捉えることが出来ない。


 そして、その時は来た。


 「アイト、こっちに誘導してっ!!」
 「了解!!」


 アイヒの準備が整った。
 アイヒを見ると、魔力を漲らせ今にも爆発しそうだ。


 「おらコッチだッ!!」


 アイトは前足から離れ、ドラゴンの正面に来る。
 ドラゴンの目が光り、アイトを敵と認識、咆吼を挙げる。


 『ガォォォォォォッ!!』
 「悪い、もう終わりだ」


 アイトの後方にはアイヒ。
 アイトはポケットに手を入れたまま苦笑した。




 「喰らえッ!! 滅級魔術・【断罪の大剣レーヴァテイン】!!」




 ドラゴンの頭上に巨大な魔方陣が現れる。
 そこからゆっくりと迫り落ちるのは、鋼の大剣。


 「お、おぉぉ……」


 アイトは目の前の光景に釘付けとなる。
 そして、ドラゴンの首の付け根に、大剣は落下した。


 「さよなら」




 ドラゴンの首は、あっさりと両断された。




 ***********




 ドラゴンの首の断面から、大量の血が流れ始めた。


 「あぁ勿体ない!!」


 アイヒが杖を振るうと、首の断面が凍り漬けになる。
 零れた血は諦め、落ちた頭と巨体を《立入禁止》に収納した。


 「さーて、これで依頼完了ね」
 「ああ。……おい、どうやらドラゴンはあそこから来たみたいだ」


 アイトが指さしたのは、ドラゴンの寝床らしき穴。


 「せっかくだし行ってみる?」
 「だな。出口が近いならありがたしな」


 アイトたちは穴蔵へ進む。
 するとそこにあった物を見て、2人は仰天した。


 「こ、これって……おい、マジか」
 「そういえば、ドラゴンは光り物が好きだって聞いたことある……」


 そこにあったのは、金銀財宝。
 どこから見つけてきたのか、宝石や金貨銀貨が大量にあった。
 流石に想定外で、アイトたちも固まる。


 「や、やったやったぁぁッ!! アイト、これってアタシたちのよねッ!!」
 「お、おう……ははは、とんだご褒美だな」


 アイヒはアイトに抱きつき、喜びを身体で表現する。


 「金銀財宝……これだけあれば、村の資金はバッチリね!!」
 「ああ、マジでラッキーだ」


 2人は手分けして宝を探る。
 多いのは金の塊で、次に多いのはダイヤのような塊。
 古いコインなどもあり、それだけで5億コインはありそうだった。


 「あれ、何コレ……魔術の杖かな?」
 「ん?……ホントだ」


 アイヒが拾ったのは、古ぼけた杖。
 持ち手は革で覆われ、棒の部分は30センチほどの長さ。
 特に変なところはない、どこにでもある杖だった。


 「なんかヘンな感じ……なんか、不思議な……」
 「どれ、見せろよ」




 アイトは杖を覧てみた。




 ********************


 《魔杖パトリオット》 レベル0


 ○『魔装具カラミティアームズ』の1つ・杖
 ○持ち主の成長に合わせて進化する
 ○所有者・なし


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 「ま、マジで!? コイツが《魔装具カラミティアームズ》の1つだって!?」
 「え、ウソ……この杖が?」


 アイトは思わず自身の両手を持ち上げ、アイヒの杖と見比べる。
 ただの指ぬきグローブと、古ぼけた杖にしか見えない。


 「おいおい、これも巡り合わせか……アイヒ、お前が使えよ」
 「確かに、なんかしっくりくるわ……」


 アイヒは自分の杖を異空間にしまい、《魔杖パトリオット》を腰に差す。


 「さーて、帰りましょ。町に帰って換金ね!!」
 「おし、その後は村で祝勝会だな!!」




 2人は興奮しながら帰路についた。



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