神様のヒトミ

さとう

58・幼馴染



 アイトたちがリアンの村を出た日の夕方。


 「アイト、あそこなんていいんじゃない?」 
 「お、湖か」


 アイトたちの最初の目的地であるガトナ村の手前に、大きな湖があった。
 夕日が湖面をオレンジに照らし、とても幻想的な雰囲気である。


 「ここで野営するか」
 「うん、アタシは結界を張るから、テントとかまどをよろしく」
 「おっけー」


 湖の近くには大きな木があり、雨避けに丁度いい。
 アイトはテントを組み立て、魔術を使い岩を生み出す。


 「村から薪を持ってきて良かったぜ」


 アイトは木屑を油で固めた着火剤に火を着け、薪をくべる。
 炎がいい感じになった所で、網を載せた。


 「終わったわ」
 「お疲れ、こっちもだ」
 「サンキュ、さーて何食べたい?」
 「う〜ん。肉だね、肉しかない」
 「はいはい。ステーキでいい?」
 「おぉ、いいね」


 アイヒがフライパンを取り出し、《立入禁止キープアウト》から肉の塊を取り出し、薄くスライスして焼きはじめる。


 「ふんふ〜ん♪」




 アイヒは鼻歌を口ずさみながら、肉を焼く。




 **********




 アイトとは、小学校からの付き合いであるアイヒ。
 特に親しいわけでなく、出会ったら挨拶程度の中。
 小学校のころ、休んだアイトのためにプリントを届けに行ったとき、意外と家が近所だった。
 中学の時、やはり近所の同じ中学校に通った。


 そこそこ会話もし、一緒に帰ることもあった。
 部活も同じだから、帰る時間も同じ、方向も同じ。
 アイトはずっと名字呼びだったが、アイヒはいつの間にかタメ語で呼び捨てになった。


 中学の頃、アイトには親友が出来た。
 相場洋二という、女子から人気のあった陸上部のエース。
 アイヒは少し気になった。


 男子たちは、アイトが洋二に憧れてると思い込んでるようだった。
 方や陸上部のエース、方や凡才の陸上部員。
 洋二がアイトを引っ張り、アイトが洋二に着いていく。


 だけど、アイヒにはわかった。


 アイトに、洋二が追い付こうとしているのが。
 洋二にはない物をアイトが持ち、それを羨むように洋二が手を伸ばしている。
 長い付き合いだからこそ、わかった。


 高校に入って1ヶ月。
 ミレイがアイトに懐いたのを見て、アイヒは胸が傷んだ。
 なぜ? と聞かれれば、やはりそうなのだろう。


 アイヒはアイトを見る。
 愛と藍、名前が似てるなんて話もした。




 2人での旅は、まだ始まったばかり。




 **********


 
 食事が終わり、片付けの最中だった。


 「俺は外で寝るから、アイヒはテントで寝ろよ」


 アイトは、当たり前のように言う。
 この発言に、アイヒは驚いた。


 「え、その、一緒じゃないの?」
 「いや、不味いだろ。テントは狭いし、間違いが起きたらどーすんだ」
 「み、ミレイとはしたじゃない」
 「あれは双方合意済み。ミレイも俺も、お互いが大好きだし」
 「じゃあクナイは?」
 「あれも······。まぁ合意済み」


 クナイについては、アイトの中では少し曖昧だ。
 好きだけど、愛してるではない。
 しかし、求められたのでガッツリ答えた。


 「あーもう‼ 双方合意ならいーんでしょ、だったら······、あとはアンタ次第よ‼」
 「え」
 「あ、その······、エッチなことじゃなくて、その、一緒に寝るだけなら、うん。そもそも結界があるし、外で寝なくても平気だし」  


 アイヒは顔を赤くしてまくし立てる。
 アイトは観念したのか、アイヒと一緒にテントに入った。


 「明日、ガトナ村で補給して、次の町へ行こう。王国までは長いしな」
 「あ、うん。スカウトは······」
 「それは······、まぁ期待しないでくれ。おやすみ」
 「······おやすみ」


 アイトとアイヒは背中合わせで横になり、アイトは直ぐに目を閉じてしまう。
 アイトはアイヒをおんぶしたまま走ったので、疲れからか直ぐに寝てしまった。


 (······なによ、1人で意識して、アタシがバカみたいじゃん)


 アイヒはそう思うと、毛布を被る。


 (······寝よ)




 そのまま目を閉じると、静かに眠り着いた。




 **********




 順調に進み、ようやく村が見えてきた。
 手作りの立派な柵で覆われ、入り口は木の門が見える。


 「は、ははは······なんだよコレ」
 「アイト、どしたの?」
 「いや、覧えるんだよ」




 アイトは、目に見える情報に頭を抱えた




 **********


 【ガトナ村】 LEVEL8


 ○〔住人〕 248人
 ○〔家屋〕 59軒
 ○〔商店〕 道具屋1
       八百屋1
       パン屋1
       金物屋1
       宿屋1
       酒場1


 ○〔ギルド〕 冒険者ギルド
 ●移住希望 反応あり


 以下項目・未開放 


 **********




 「ゲームかよ⁉ なんだよこの目は、都合良すぎだろーが‼」
 「お、落ち着きなさいよ。別にいいでしょ?」
 「まぁそうだけど、何で移住者の反応まであるんだよ、流石に覧え過ぎて気持ち悪い」




 アイトは本気で眼帯を買う決意をした。



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