神様のヒトミ

さとう

55・発展



 アイトは静かにドアを開ける。
 するとそこにはウルフィーナと名乗った女性と、体格のいい男性の魔帝族がいた。


 「アイト様方の気配を感じ、集落へ入らせて頂きました。改めて、私はウルフィーナ、こちらは夫のギャング、共に狼人です」


 なんと夫婦であり、アイトは驚いた。


 「初めましてアイト様。私はギャング、ラクシャーサ様の配下で、この領地の仮の守護者でございます。今回は守護者の引き継ぎをさせて頂きに参りました」
 「あ、どうも。はい」


 とりあえず中に入っていもらい、話を聞くことに。
 お茶を出し、いろいろと説明をしてもらう。


 「え〜っと、何から聞けばいいのか」
 「そうですね、まずはこの地の譲渡について説明を」


 ウルフィーナはギャングに視線を送ると、ギャングは頷いた。


 「まず、ラクシャーサ様とアイト様の約束により、この地一体をアイト様の所有とさせて頂きます。範囲はこの集落とミモバの森、そしてガトナ村の手前の草原までです。この領地所有者の変更は、この瞬間を持って完了とさせて頂きます。アイト様、こちらに御手を」 


 ギャングが1枚の紙を取り出す。
 するとそこには手形があった。


 「この手形に御手を重ねて頂けますか」
 「えと、はい」


 アイトは流されるまま手を重ねると、紙が発光し一瞬で燃え尽きる。


 「おわッ⁉」
 「ご安心を、守護者変更の手続きです。これで周囲の守護者はアイト殿となりました」
 「えーと、そろそろ着いて行けないんだけど、守護者って?」


 今度はウルフィーナが説明する。


 「守護者とは、決められた領地を守る、領主のような存在です。アイト様の領地には結界が張られ、敵意を持つ者の侵入を拒む性質が備わっています。それらの結界は、守護者の強さに応じて強度が変わります」
 「目には見えない結界ですが·········アイト様の結界は、かなりの強度があるようです。私よりも遥か上ですね」


 ギャングが目を閉じて、何かを感じる仕草をする。


 「え〜と、要は俺がこの辺一帯の領主になった······でいいのか?」
 「はい。その認識で構いません。アイト様の領内ですので、集落を拡張するもよし、近隣の町や村と取引するのもいいでしょうね」
 「う〜ん、そこまでは考えてないなぁ」


 するとクナイが言う。


 「主殿が領主······ふむ、これは城を建てねばなりませんね。住人を増やし、集落を拡張して、いずれはこの辺りを大都市に······そして、主殿が城からその光景を眺める······そして私がお側に。いい、実にいい‼」
 「何を言ってんのよアンタは······」


 クナイにはアイヒがツッコんでくれた。


 「拡張はともかく、集落の手入れはしないとな。大事なお墓もあるし、思い出の集落だし」
 「にゃあ、あたしもそう思う」
 「ここを私たちのホームにするのは?」
 「ホーム?」
 「うん。帰る場所があるのはいい。私はここの空気が好き」


 ミレイは真剣に言った。
 するとウルフィーナが言う。


 「ラクシャーサ様より、アイト様のお手伝いをしろと命令されております。集落の拡張や、魔帝族の町や村との取引について、お手伝いさせて頂きます」


 この意見には、アイトも驚いたが反論した。


 「いやいや。俺は別に『町を作ろう』みたいなゲームをやるつもりなんてないぞ?」
 「やってみよっか」
 「やりましょう」
 「やる」
 「はぁ⁉」


 反論したアイト。
 やる気満開のアイヒ、ミレイ、クナイ。
 すると、アイヒが言う。


 「ねぇアイト、出発はいつにするの?」
 「······え、まぁ、数日後にでも」
 「なら3日後にして、それまでに完成させるから」
 「······何を?」
 「いいから。考えてたことがあるの」




 アイトはワケが分からず首を傾げた。




 **********




 その日の夜。ウルフィーナたちは一度帰った。
 移住の準備をして再び戻って来るらしい。


 アイトたちは夕食を終え、それぞれが床につく。
 ミコトとライラは一緒にガロンのベットで、クナイは居間、アイヒはミコトのベッド、アイトとミレイは同じベッドで。


 ベッドに入るなりアイトたちは抱き合い、連戦。
 3回戦に入る前に休憩していると、ミレイが言う。


 「あのね、アイヒとクナイの3人で話したの」
 「何を?」
 「デズモンド地域、メンバーを決めて、残りはこの集落に残ろうって」


 その話は、アイトにとって衝撃的だった。


 「な、何で⁉ みんな一緒じゃ」
 「うん。でも6人もいると動き辛いし、何かあったら危険かも。私たちの誰かが人質にでもなったら、それだけで辛いよ。だから少人数で行くの」
 「······で、でもいいのかよ」
 「うん。目的地は3つの都市だから、1人1都市。ミコトとライラは状況に応じて、それ以外は集落の発展に。だからこの集落のお仕事はちょうどいい」


 確かに、とアイトは思う。
 魔帝族収容施設に侵入した時も少人数だったし、ああいった潜入がこれからないとも言えない。


 「アイヒが作っているのは、転移魔術。いつでもアイトが帰って来れるように」
 「そうか、だから3日後に」
 「そういうこと。じゃあ続き」
 「お、おい」


 全て話して満足なのか、ミレイはキスをねだりアイトの下半身に手を伸ばす。
 アイトも負けじとやり返し、直ぐに身体は熱を帯びる。




 パーティーメンバーを決める。まるでゲームだな、とアイトは思った。





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