神様のヒトミ

さとう

52・羅刹天ラクシャーサ



 ラクシャーサと名乗った男性を、アイトは覧た




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 【羅刹神ラクシャーサ】 ♂ 825歳 黒狼人こくろうじん


 ◎【異能アビリティ】
  1・《黒狼剣ヴァオブレズ》
  ○黒い炎の剣(レベルMAX・無敵)
  ○伸縮自在
  ○規模調節


  3・《狩人》
  ○音もなく対象に近づく
  ○消音


  3・《黒き爪》
  ○全てを引き裂く黒い爪


  4・《羅刹》
  ○凶暴化
  ○戦闘力5倍・理性消失


  5・《黒炎魔》
  ○??????????
  ○??????????


  6・《??????》
  ○??????????


  7・《??????》
  ○??????????


  8・《??????》
  ○??????????


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 「おお、アイトくんではないか」
 「……あ、ど、ドグさん。こんにちは」


 犬人のドグがドアの向こうから現れ、アイトに向かって微笑む。
 アイトはラクシャーサから視線を外し、ぎこちなく微笑んだ。


 「申し訳ありません、ラクシャーサ様。彼らは……」
 「構わない。いきなり来たこちらも悪かった。救出した同胞達は、オレの部下がデズモンド地域まで送ろう。それと、この村に支援も送る」
 「おぉ……ありがとうございます」
 「ああ、それと……キミに話がある」


 ラクシャーサはアイトに向き直ると、優しく微笑む。


 「俺に、ですか」
 「ああ。どうしても言いたいことがあるんだ」


 ラクシャーサは真剣な眼差しをアイトに向ける。
 アイトは、アビリティが完全に見えないことも気になったが、ラクシャーサの話も気になった。


 「わかりました。場所は……」
 「ここでいい。直ぐに終わる」


 するとラクシャーサは、いきなり頭を下げた。


 「集落の同胞達を弔ってくれて感謝する……本当に、ありがとう」
 「え……?」
 「彼ら国境警備軍の中にはオレの部下もいたんだ。この村に来る途中で集落に寄ったが、綺麗に埋葬され、墓石には名前も彫ってあった」
 「……いや、俺は……」
 「キミに礼がしたい。望みはあるか?」
 「望み……」


 アイトは、ミコトの頭に手を置いた。
 ネコ耳が閉じられ、元気なく萎れている。


 「あの集落を、あのままにして置いて下さい。誰かが踏み荒らすことなく、ずっと……」
 「……わかった。あそこはオレの領地でもある、何ならキミに進呈しよう」
 「え……いいんですか?」
 「ああ。集落の同胞達も、それを望んでる気がする」
 「ありがとうございます。ありがたく頂戴します」
 「ああ。では、失礼する」


 ラクシャーサは一礼すると、そのまま去って行く。
 アイトは振り返る気にもならず、見送りもしなかった。


 「悪いなアイトくん。同胞たちの受け入れと帰郷のことで、この地の守護者であるラクシャーサをお呼びしたんだ。といっても、ワシが相談する前に、こちらへ向かっていたようだがの」
 「そうなんですか……」
 「うむ。おっとスマン、さぁさぁ全員上がりたまえ、話をしよう」




 アイトたち6人は、ドグの家に上がり込んだ。




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 アイトが欲しい情報は3つ。


 ミコトの母である可能性が高い、【水天ヴァルナ】の居場所。
 ライラの種族である金犬人の住む場所。
 ガモンの元妻のモーラがいる場所。


 これらは最優先で調べ、向かう場所。
 アイトが託された物を渡す、旅の目的。


 「なるほど、つまりその3つに関する情報か」
 「はい、何でもいいんです」
 「うむ。そうじゃな……、まずは【水天ヴァルナ】様じゃが、彼女は〔水上王国ヴェーリャ〕を治める女王じゃ。そこへ向かえばいいじゃろう。そして金犬人……いやはや、ワシも初めて見たが……金犬人は【魔帝十二神将】の1人、【風天ヴァーユ】様の種族じゃ、彼が治める〔風の王国アディーヤ〕に行けば、手がかりが得られるじゃろう。最後にモーラという熊人の女性じゃが、【火天アグニ】様の再婚相手で間違いないの。アグニ様は〔灼熱王国ボルカニカ〕を治める国王じゃ、どれも過酷な道のりじゃのう」


 ドグは一気に喋ると、お茶を飲み干した。
 ドグの話で出てきた地名は、クナイがメモを取り地図を広げる。
 地図にマークを示し、ドグに見せる。


 「ふむ……ボルカニカ、ヴェーリャ、アディーヤか。途中の町や村に寄りつつ進んでも、かなりの長旅になるじゃろうな」
 「時間は掛かっても平気です、目的のためなら」


 アイトは隣のミコトの頭をなで、さらに隣のライラの頭を撫でる


 「そうか……気を付けなされ」
 「はい」




 アイトは、ドグにお礼を言って家を出た。




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 炊き出し会場で夕食を貰えることになり、マッドコングもそこで渡すと驚かれた。
 400人以上いるから全く足りなかったが、思わぬ食材に皆が喜んだ。


 「えーっ!? アシュロンさんたち居ないんですか?」
 「ああ、隣町の買い出しの護衛に付いてる。それにブルホーンも一緒にな」
 「はぁ、残念」


 夕食のシチューを啜りながら、ミレイとアイヒが炊き出しのオジサンに話を聞いていた。
 残念ながら数日は戻らないようだ。


 「悪いけど、明日には出発するぞ?」
 「うん、それでいい」
 「そーね、仕方ないわ」


 残念そうな顔を浮かべる2人。
 アイトは申し訳ないと思いつつ、早く集落へ向かいたかった。
 食事が終わり、炊き出し会場にいた子供達とボール遊びを始めたミコトとライラを眺めつつ、アイトはそう思った。


 「主殿、集落で休んだ後は、いよいよデズモンド地域に出発ですか」
 「ああ。もちろんだ」


 
 目的地も見え、気合いを入れ直すアイトだった。




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 村の端、人気のない場所に魔導車を停め、テントを組み立てる。
 今日はミレイが一緒で、アイトはもちろんミレイを抱くつもりだった。


 アイトとミレイはテントに入り、迷いなくお互いを求める。


 「はぁ……最高だよ、ミレイ」
 「アイトも、すごかった」


 抱き合いながら余韻に浸り、何度もキスをする。


 「なぁ、クナイのことだけど……」
 「うん。私1人で毎日はキツいから、それにクナイもアイトが大好きだから、一緒にアイトを癒やす仲間になったの」
 「ま、毎日って……流石に俺も保たないぞ?」
 「そう? たぶんアイヒも加わるから、アイトには頑張ってもらう」
 「アイヒ……どうかな?」
 「絶対に加わる。これは確信」
 「う~ん……」


 アイトは少し考え、すぐにやめた


 「ま、今はミレイだけ……」
 「あ……」




 夜はまだまだ長い。アイトはミレイを抱き寄せた。





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