神様のヒトミ

さとう

48・旅のパーティー



 アイトは、ミレイたちと傭兵の別れを眺めていた。
 2人の傭兵は、アイヒたちにとって大事な仲間ということは直ぐに分かったので、口出しせずに黙っている。
 すると浴室のドアが開き、着替えを済ませたクナイとミコトが現れた。


 「にゃう、着替え完了、もう臭くないぞ!!」
 「はいはい」
 「にゃ……、むむむ、そこのイヌ!! アイトからはなれろーっ!!」
 「わふーん、ここはわたしの場所」
 「なんだとーっ!!」
 「がうぅぅっ!!」
 「こら、ケンカ禁止。それとミコトは安静にしてろって」
 「にゃあぅ……。確かに疲れた」


 ミコトはベッドに乗ると、そのままネコのように丸くなった。
 アイトは再度、これからの方針を話す。


 「それで、2人は俺と一緒に……」
 「当然でしょ、アンタを探してここまで旅して来たんだから」
 「私はもう離れない、アイトが大好きだから」
 「え」
 「ちょ、いきなり告白!?」


 アイトは硬直し、ミレイが腕に抱きつき密着する。
 アイヒが驚き、ライラはアイトの胸にしがみついている。


 「では、今後の進路を確認します。まずはハジの村へ向かい、ドグ様へミコト様とライラの事を聞く、その後は主殿の集落でお墓参りをし、それからデズモンド地域へ向かうということですね」
 「う、うん。相変わらず完璧だな……。あれ、ハジの村って確か」
 「はい。ドグ様のいる村は、ハジの村です」


 アイヒとミレイは、感動的な別れをしたのに直ぐに再会する。
 ある意味とても恥ずかしいと、アイトは思った。


 「ところでアイト、この子は?」
 「それに主殿って?」
 「まぁ当然の疑問だよな。クナイ」
 「は、説明させて頂きます」




 クナイは簡潔に、自分のことを説明した。




 ***********




 「ふ~ん、アイトが主ねぇ……」
 「し、仕方ないだろ、俺だってわかんねーよ」


 しばし雑談をすると、クナイが言う。


 「主殿、そろそろ出発を、駐留軍兵士が施設を調べ終われば、町の捜索が始まるはずです」
 「そういえばそんなこと言ってたな。よし、行けるか?」
 「アタシはオッケーよ」
 「私も」


 アイトはミコトを起こし、ライラを降ろす。


 「ミコト、歩けるか?」
 「うにゃ……、眠い」
 「ライラは?」
 「わたしは平気、いっぱい寝た」
 「よし、じゃあ行くぞ。ミコトはこっち」
 「にゃぁぁ♪」
 「あ、ズルい!! わおーん!!」
 「ライラ、ミコトは殆ど寝てないんだ、わかってくれ」
 「くぅぅん……。わかった」
 「にゃふっふ」


 ライラは悲しそうに鳴き、ミコトはにっこり笑う。


 「じゃあアシュロンさんが準備した魔導車まで行くわ、自由駐車場まで案内するから」




 アイトたちは、駐車場に向かっていく




 ***********




 「こいつか。……へぇ、かなり立派だな」
 「コレは最新式の8輪魔導車ですね。車体には魔術が掛けられ耐物理に優れ、タイヤは8輪式なので、砂利道や山道、岩場などもの悪路にも適応し、極めつけはエンジンの馬力が従来の魔導車の2倍の出力が出る新型エンジンを搭載しています。お値段は400万コインはする高級車ですが、……驚きました」
 「……俺はお前の知識に驚いたよ」


 アイトたちの前には、10人乗りワゴン車を大きくしたような、キャンピングカーが停まっていた。
 色は黒く、タイヤは8輪、運転席と助手席のみで後ろは生活スペースになっている。
 アイトたち6人が乗り込んでも、生活スペースに問題はなかった。


 「運転は私にお任せ下さい」
 「頼む。お前ってホント万能だよな」
 「確かに、凄いわね……」
 「うん、クナイってすごい」


 クナイに運転を任せ、アイトたちは生活スペースへ。


 「アシュロンさん、もしかしてこうなることが分かってたのかな……」
 「たぶん。アシュロンは鋭いから」


 アイトは小さなソファにミコトを寝かせると、すぐに丸くなって寝息を立て始める。
 ライラはミコトの側に行くと、じーっとミコトを観察する。


 「ライラ?」
 「ネコ、初めて見た」
 「はは、ケンカするなよ?」
 「うん。アイト、オナカへった」
 「そういやメシはまだか……」


 簡単なキッチンがあり、キチンと水も出た。
 小さな冷蔵庫を確認すると、食材も一通り揃ってる。


 「あ、アタシが作るよ。簡単なのでいい?」
 「おう頼む。料理は得意だもんな」
 「へへ、覚えてたんだ」


 アイヒはにっこり笑い、冷蔵庫を物色し始める。
 するとエンジンが掛かり、魔導車は静かに走り出した。


 「くんくん……」
 「おっと、危ないわよライラ」
 「くぅん、オナカへった」
 「仕方ないわね、ほら」
 「わぉん、ありがと」


 アイヒは薄く切ったソーセージをライラの口へ持って行く。
 ライラは尻尾をふりふりしながらパクリと食べる。


 「よかった、仲良くなったみたいだな」
 「うん」


 アイトは運転席近くの簡易ソファに座り、その隣にはミレイが座る。
 するとミレイはアイトの腕にぎゅっと抱きついた。


 「ちょ、ミレイ……」
 「ん」


 柔らかい乳房がアイトの腕で潰れ、アイトは硬直する。
 だが、ミレイは離すつもりはないようだ。


 「主殿、出国しハジの村まで向かいます」
 「頼む。気を付けろよ」
 「は、お任せを」


 クナイが張り切って返事をする。
 すると、アイヒが朝食を乗せたトレイを持ってきた。


 「簡単なサンドイッチね。クナイも食べられるようにしたわ、ミコトちゃんの分もあるから」
 「おお、いいね」


 短時間でカラフルなサンドイッチが出来上がり、全員の空腹を刺激する。
 ライラは嬉しそうに頬張り、アイトは味わって食べる。


 「うん美味い。やっぱ流石だな」
 「これからの旅、料理はアタシに任せてよ」
 「ああ、頼んだぜ」




 魔導車は速度を上げ、ハジの村を目指す。



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