神様のヒトミ

さとう

24・偵察



 アイヒとミレイが姿を消して数日
 デューク城では、鍛錬を終えた【救世主】が集まっていた


 「さて、集まって頂いたのは他でもない、ミレイさんとアイヒさんの行方についてです」


 場所は会議室
 大きなドーナツのような円卓に、17人の【救世主】が座っている
 そして、中央には1人の男性が笑みを浮かべていた


 男性は20代前半ほどで、豪華なローブを纏っている
 顔は精巧な作りをしていたが、まるで人形のような笑みだった
 男性は縁無しメガネを押し上げ、話を続ける


 「捜索を続けて参りましたが、どうやらデューク王国から出てしまったようですね。目的が何であれ、このままでは非常に危険です」


 すると洋二が立ち上がる


 「アドナイ先生、俺が探しに行きます‼」
 「ふぅむ?」
 「多分、あいつ等は······藍斗を探しに行ったんだ。愛妃はともかく、湯川は藍斗の死を認めてなかったから······」
 「なるほど、話に聞くアイトくんですか。【救世主】様たちと一緒にいたと言う」
 「はい、だから俺が連れ戻します」


 洋二が言うと、他のメンバーも騒ぎ出す
 どうやら全員が、外の世界に興味を持っているようだ


 「お静かに」


 アドナイと呼ばれた男性の声に、全員が静まる


 「実は、宝物庫から、いくらかのコインが無くなっていました。恐らくはアイヒさんたちが持ち出し、旅の資金にしたのでしょう。そして向かうとすれば······ブル王国か、それとも国境沿いのデトロイトですね」


 アドナイは、人形のような笑みのまま言う


 「まずは国境沿いの町デトロイトを捜索して頂きます。そして、デズモンド地域とヒューム地域の境目の集落を攻略して貰いましょう」
 「ど、どういう······?」
 「いえ、国境沿いまで行くのですし、そのついでの力試しです。今のあなた方なら、国境警備隊程度の魔帝族を蹴散らせる。言わば······宣戦布告です」


 宣戦布告
 その言葉に、会議室は静まる


 「場所は私のアビリティで探っておきます。メンバーは······ユウコさん、ミワさん、コウダイくんですね。兵を与えますのでお願いします。あぁついでに何匹か捕獲して置いて下さい、奴隷に使えますので」


 名前を呼ばれた3人は立ち上がる


 「わたしかぁ、まぁ頑張ります」
 「精一杯、務めさせて頂きます」
 「よっしゃあ‼ やってやるぜ‼」


 土間裕子、日野みわ、時枝広大
 3人はさっそく部屋を出る。旅の支度をするようだ 


 「アドナイ先生‼ 俺は······‼」
 「キミはまだ早い」




 【無限光の11人アインソフオウル・イレブン知識ダアト】のアドナイは、にこやかな笑顔で洋二に言った




 ***********




 国境沿いの町デトロイトを偵察した3人


 「ち、どうやらハズレみてぇだな。ロクな情報がねぇ」


 3人の中で唯一の男子である時枝広大は、苛ついていた
 最初こそ、鍛えた技や力を試せると思っていたのだか、実際には数週間の移動、しかも着いた町ではなんの情報も無かった


 「さっさと魔帝族の集落へ行こうぜ。イライラして来た」
 「そうだね、お仕事を終わらせて帰ろぉ」


 土間裕子は、面倒臭いのか帰りたがっていた
 すると、最後の1人が言う


 「はい、はい······わかりました。そちらへ向かいます」


 日野みわは、頭に手を当てて何かを呟いてる
 それが終わると、2人に向き直る


 「場所がわかったわ、どうやらミモバの森の先に集落があるようね。どうしてそんな場所にあるのかは知らないけど」
 「アドナイ先生の······『千里眼』だっけ? 電話機能まで付いてるんだ」
 「そうみたい、さすがよね」
 「いいから行こうぜ、兵士共は?」
 「町の捜索を続けてるわ、呼び戻したら出発しましょう」


 3人は、近くで待機していた兵士に声を掛け、町を捜索してる兵士を呼び戻す
 兵士は2台の大型バスに乗り、日野たちはキャンピングカー型の魔導車に乗り込んだ


 「くくく、魔帝族ども、オレの実力を見せる時が来たぜ」
 「相手は凶悪な魔獣・・よ、キチンと処理すること。いいわね」
 「おっけ、頭か心臓を潰せばいいんだよね」


 3人の【救世主】は迫る
 世界を救うと信じて、異世界人としての役目を果たすため


 「それにしても、湯川と夢見はナニ考えてんだ? アイト? とかいうヤツが生きてるとでも思ってんのかね?」
 「さぁね、私たちは面識といっても新入生挨拶くらいだし、よく知らないわ」
 「入部してまだ3日だしねぇ、自己紹介はしたけど覚えてないや」


 高校入学から1ヶ月
 仮入部が終わり、正式な部活入部はバス事故の3日前で、前日に自己紹介が終わったばかり。誰もアイトを覚えていなかった




 【救世主】は、世界を救うために迫り来る



「神様のヒトミ」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く