神様のヒトミ

さとう

21・事情



 宿屋なミレイたちの部屋にて、今後の方針の打ち合わせをしながら、アイヒたちは話していた


 「今後の方針、まずはアイヒたちの探し人を捜索するわ。その為に町の情報屋に依頼して、探し人の特徴を伝えるわ」
 「情報屋······」
 「そ、情報屋は全てのギルドに何人かいる。お金さえ払えばどんな情報でも手に入る。でも、ハズレを掴まされる可能性もあるけどね」
 「情報屋にお願いすれば、アイトを探してくれるの?」
 「ええ、その······死んでなければ、だけどね」


 その可能性に、アイヒとミレイは黙り込む
 しかし、ルシェラは遠慮しなかった


 「いい? その可能性は頭に入れておきなさい。いいわね」
 「······はい」
 「······」


 アイヒは小さく答えたが、ミレイは何も言わなかった
 ルシェラは切り替えるように質問する


 「今後の方針としてはこんな所だけど、長い付き合いになりそうだし聞いておくわ」
 「え?」
 「ルシェラ?」
 「······」


 ルシェラの覚悟を決めたような声に、黙っていたアシュロンが目を開く




 「アナタたち······【救世主】ね?」




 その問は、アイヒとミレイの顔色を変えた




 ***********




 「······な、何でですか?」
 「その反応でアタリって言ってるようなモンだけどね」


 ルシェラは苦笑する


 「実は最近、デューク王国に【救世主】が現れたって噂が流れていたの。城から感じる強力な魔力に、年若く黒い髪と目の少年兵が何人も酒場に現れて······そんなタイミングで、傭兵ギルドにアナタたちが現れた。黒髪黒目で、世間知らず丸出しの、得体の知れない【異能アビリティ】を操る女の子」


 ルシェラの問いは、ただの答え合わせように聞こえる


 「この2週間、ウチがアナタたちに教えたのは、旅に出る者なら当然のことばかり。そんなことも知らずに目を輝かせて聞くモンだからね、やっぱり【救世主】なんだなって思ったのよ」
 「······う」


 アイヒはバツの悪そうな顔をしたが、ミレイは真っ直ぐルシェラを見つめた


 「それで、私たちをどうするの?」
 「別に、ただ確認しただけよ。しばらく一緒にいるワケだし、隠しごとは面倒でしょ?」
 「······い、いいんですか? アタシたち」
 「いいの‼ それにアタシたちは傭兵よ? 依頼主を守るのが仕事、アナタたちの事情には口出ししないから。ね、アシュロン」
 「······ああ、金は貰ったしな、その分の仕事はしよう」


 ルシェラは微笑み、アシュロンも同意した


 「ありがとうございます、その······」
 「ルシェラ、アシュロン、私たちの事情、全部教える」
 「み、ミレイ⁉」


 ミレイは、全て話した
 異世界から来たこと、アイトが居なかったこと、城を脱走したこと······全てを
 ルシェラとアシュロンは、最後まで聞いていた


 「にわかには信じられないけど······アナタたちがウソを言うとは思えないわね」
 「証明は出来ませんけど、ミレイが言ったことは真実です」
 「じゃあアビリティは······」
 「はい、アタシは【第三異能サードアビリティ】ミレイは【第四異能フォースアビリティ】まで進化してます。お望みなら見せますけど」
 「いやいや、その歳で【第四異能フォースアビリティ】なんて、【無限光の11人アインソフオウル・イレブン】レベルの強さよ、そんなの【救世主】じゃなきゃあり得ないわ」
 「あいん?」
 「あぁ、【無限光の11人アインソフオウル・イレブン】ね。まぁデューク王国最強の11人よ。全員が【第五異能フィフス・アビリティ】以上の使い手って言われて······じゃなくて‼ とにかく、アナタたちの事情はわかった。その上で協力するから。ね、アシュロン」
 「ああ、依頼主に従おう」


 アイヒとミレイはここでようやく安堵する
 この2人は、この世界の誰よりも信用出来ると


 「さて、町でお昼を食べたら、さっそく情報屋のところへ向かうわよ‼」




 アイヒたちは、さっそく町へ繰り出した



「神様のヒトミ」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く