神様のヒトミ

さとう

17・旅支度



 デューク王国の城から抜け出したアイヒとミレイは、城下町を歩いていた


 「さて、まずはこの国を抜けないと。アイトの情報を集めないとね」
 「うん、でも……どうしよう」
 「そうね、まずはお買い物。もっと目立たない服を買わないと」
 「そうだね、でもお金あるの?」
 「ふっふっふ、ぬかりないわ」


 アイヒはコインの入った袋をこっそり見せる
 そして、近くにあった服屋へ入る


 「いらっしゃいませ、まぁ……ステキなお嬢さんたち、どのような服をお望みで?」


 優しそうな女性定員が出迎え、アイヒとミレイを見て驚く
 たしかに、アイヒとミレイは10人中10人が美少女と言うだろう


 「そうね、普通の……冒険者っぽい服をお願い、この子もね」
 「はーい、ではこちらへどうぞー」


 奥の試着室へ2人は連れて行かれ、1時間ほど着せ替え人形となった
 いい加減に焦れたアイヒの一言で、ようやく着替えは終わった


 「へぇ、似合ってるわミレイ」
 「アイヒも、かっこいい」


 ミレイは動きやすさを重視したスタイル
 薄手のシャツにスカートとタイツに、膝まであるロングブーツ、さらに上には白と青のフード付きケープを羽織っていた


 アイヒは、魔術師らしからぬカジュアルな服装
 タンクトップの上に赤いジャケットを羽織り、黒いスパッツの上にハーフパンツ、腰にはベルトが巻かれ、魔術を使うための杖が差してあった


 「さて、次は旅のお買い物ね」
 「うん」


 着ていた高級なローブや服は全て売り払い、道具屋で色々と買い物をする
 まずは身につけるカバンを買い、お金を入れる財布も買う
 アイヒはリュックに、ミレイは肩掛けポーチを買った


 「ありがと、アイヒ」
 「いいのよ、どーせアタシのお金じゃないし」
 「うん」
 「……あのさ、ミレイ」
 「なに?」


 アイヒは、なんとも言えない表情で言う


 「不謹慎だけど……アタシ、今が1番楽しいかも」
 「……私も」




 2人は、お互いに笑い合った




 ***********




 「必要な物ってなに?」
 「そうね……テントに、食器に調理道具、あとは布団に枕、そうだ食材も」
 「いっぱい……」
 「ま、勉強の合間にいろいろ考えたからね、ぬかりないわ」
 「うん、アイヒがいてよかった」


 アイヒは照れ、誤魔化すように言う
 普段は褒められることがないので、こういう耐性はなかった


 「そ、そうだ。魔導車も買わないとね」
 「そっか、でも私……運転は苦手」
 「そこもアタシに任せなさい!! こう見えて魔導車の運転はトップレベルなのよ」
 「おおー」


 魔導車は、この世界に普及してる移動手段の1つ
 見た目は完全な車で、燃料はガソリンではなく魔力で走る


 アイヒたちは旅の道具を買いそろえ、現金一括で魔導車も買った
 魔導車販売店は、15歳の子供2人が大金を出したのを驚いていた


 「さーて、買い物はおしまい。次は慎重に行くわよ」
 「なに? 大変なの?」
 「ええ」


 アイヒたちの目的地は、この〔デューク王国〕から西の〔ブル王国〕
 デューク王国の非加盟国で、身を隠すにはうってつけ
 しかも商人が集まる、流通の中心都市でもあるので情報が集まる場所でもある


 「いくらアビリティが強くても、アタシ達はこの世界を知識でしか知らない。だから……護衛を雇います」
 「護衛……なんか怖い」
 「うん、アタシ達みたいな女2人じゃ舐められるかもね。でも、危険は犯せない」
 「だね、いい人をさがそ」
 「ええ、この町の傭兵ギルドで依頼をしましょ」


 アイヒは買ったばかりの魔導車に乗る
 ワゴンタイプの魔導車を買ったので中は広く、買ってきた道具も全て積んである


 食材だけは別に、アイヒの作った特殊空間に収納してある
 時間停止機能を付けたので、いつまでも新鮮なままだ


 「アイヒの魔術空間、スゴいね」
 「えへへ、実は自信作なの。苦労して作った【魔術奥義テンプレート・アーツ】・《立入禁止キープアウト》って言うんだ」
 「かっこいい」


 アイヒは照れつつ魔導車を走らせる
 魔導車が行き交う国道に入り、ミレイのナビでギルドを目指す




 2人の少女の旅は、こうして始まった



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