神様のヒトミ

さとう

4・ミコト



 食事が終わり、アイトは全身の包帯を変えて貰っていた


 ガモンの脇には木の桶が置かれ、そこには緑色の液体が入ってる
 シーツを細長く切った包帯を液体につけ込み、暫く置いてからガモンは包帯を絞り水気を取る


 「こいつはマカの葉を煎じて薄めたモンでな、傷や打撲の薬になる。本来なら回復薬があればいいんだが、ありゃ低級でも高価だし、そもそも魔帝族のオレらじゃ買いにも行けねぇ」


 ガモンが何を言ってるのかサッパリ理解出来ないアイト
 されるがままに身体を拭かれ、再び包帯でがんじがらめにされる


 「右目は……諦めな、完全に潰れちまってる。恐らく星級魔術師レベルの回復魔術じゃないと治せねぇ。この集落の【異能アビリティ】じゃ治せねぇな」
 「アビリティ……みんな、持ってるんですか?」
 「あったりまえだろ。オレたち魔帝族はみーんな持ってるぞ。オレだって《怪力》と《農耕》のダブルだ」
 「……ダブル?」
 「おいおい、お前さん、そんなことも知らんのか?」
 「……」
 「うーん、まずはお前さんの話を聞くのが先か。おーいミコト、お茶を頼む!!」


 すると、階下から「はーい」と声が聞こえた




 「さて、まずはお前さんから話しな」




 ***********




 アイトは、自分の身に起こった出来事を全て話した


 「………」


 ガモンは腕を組み、最後まで聞いてくれた


 「信じられん……正直、オレも混乱してる」
 「でも、事実です。俺はこの世界の事を何も知りません、ガモンさんが居なければ……死んで、ました」
 「うぅむ、オレには何を言えばいいのかわからんが……話を聞くに、一緒に来た同胞がいるんだな? それに〔デューク王国〕と来たか……」
 「あの、ガモンさん?」
 「いや……うぅむ……」


 ガモンはウンウン唸り、考え込んでる
 すると、お盆にお茶をのせたミコトが階段を上ってきた


 「おちゃだよーっ!!」
 「ああ、すまんな」


 ガモンさんは湯飲みを手に取り、アイトに1つ手渡す
 アイトはお茶を啜る。すると、不思議な味がした


 「こいつはオレが栽培したカプの葉だ、疲労回復に効果がある」
 「へぇ……おいしいです」
 「ふふ~ん、あたしが煎れたからね」


 ネコ耳をピコピコ動かしミコトは誇らしげだ


 「とにかく、アイトの事情はわかった。スマンがオレから助言できることはない、あとで集落一の物知りオババの所へ行こう。あのバァさんなら800年は生きてるし、なにか知ってるはず。あとはグリスにデューク王国の事を聞こう」
 「グリス?」
 「ああ、オババが昔の物知りなら、グリスは最近の物知りだ。アイツはしょっちゅう町に出かけてるし、アビリティを使って情報収集なんてマネもしてる」
 「うぇぇ~、あたしグリスにがて~」
 「はいはい、ほれ」


 ガモンはミコトを抱き寄せ、太ももの上にのせる
 そのまま頭をなでてネコ耳を触ると、ミコトはすぐに蕩けた


 「ところで、アイトはどんなアビリティを持ってるんだ?」
 「えっと……《森羅万象》とかいう、情報を読み取るアビリティです。今はもう使えませんけど」
 「ほう? 聞いたことないな。それに使えない?」
 「はい、多分ですけど、両目で見たモノの情報が見えるんです。今は片目だし、バグったような情報しか写らなくて……」
 「そうか……」


 少しだけ、沈んでしまった
 すると蕩けたミコトがカッと起き上がる


 「ふん、べつにアビリティなんてなくても生きていけるだろう? あたしはそう思う」
 「ミコト、やめなさい」
 「むぅー」


 ガモンはミコトをたしなめると、ミコトは少しむくれた


 「とにかく、今日は休んでくれ。オババには話しておくから」
 「……はい」


 ガモンはミコトを連れて階段を降りていく
 ベッドの上に残されたアイトは、すぐに眠気に襲われた


 
 アイトはベッドに横になると、すぐに眠りに落ちた




 ***********




 翌朝、ガモンの作った朝食を平らげ、包帯も交換する


 「うむ、徐々にだが良くなってる。どうだ、動けるか?」
 「……はい、なんとか」


 アイトは立ち上がり、歩き出す
 身体は痛み軋むが、動けないほどではなかった


 「おっと、服が必要だな。スマンがお前の着ていた黒い服は処分した。毒の森の液体が付着してたし、ボロボロで直しようもなかったからな」
 「……構いません、ありがとうございます」


 買ってからまだ1月も経っていない学ラン
 アイトは、元の世界との繋がりが無くなるのを感じた


 「えぇと……確かグリスが持ってきた服が……」


 ガモンはベッドの下から箱を取り出し、いくつかの服を取り出す
 どう見てもガモンのサイズには合ってなさそうだった


 「ふむ、下着と服だ、これを着るといい。靴もあるな」


 下着は白い短パンで、腰紐で結ぶタイプ
 服は安っぽい茶色のズボンと、半袖シャツとセーターみたいな長袖だった
 靴は長靴みたいな、皮製のブーツだ


 「おぉ、似合ってるぞ」
 「えっと、どうも……」
 「さて、動けるならまずは物知りオババの所へ行くか。着いてこい」
 「はい」


 アイトは1階に降り、外へ出る
 するとミコトが空から落ちてきた


 「にゃっ!! どこいくのおとーさん」
 「昨日言っただろ、オババの所だよ」
 「にゃ……いってらっしゃい」


 ミコトは家のとっかかりを掴み、屋根の上に消えていった
 どうやらひなたぼっこをしていたらしい


 「……すごいな」
 「あぁ、ミコトは銀猫人だからな、身体能力が高いんだ」


 アイトの驚きに、ガモンは丁寧に答えてくれた


 「さて、オババの家はすぐそこだ」




 アイトは、ガモンの後を追って歩き出した



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