ホントウの勇者

さとう

王都グレーバシレム⑥/再会のスプリフォ・焼肉屋



 「なるほど、まぁアンタはあたしの補佐をやってたし、付き合いもあるから呼ばれたのね」


 スプリフォはソファに座ってドーナツをモグモグ食べながら言う
 俺は護衛の女の子が入れたお茶を飲みながら、ここまでの経緯を説明した


 「王様からの呼び出しで来てみたら、新しく作られる騎士部隊の魔術指導なんて言われたから、怪しいと思ってたけど、アンタが噛んでたとはね」
 「俺も驚いた。まさか講師がスプリフォだとは」
 「ま、フツーなら面倒くさくて断ってたけど、王様には研究所改装でお世話になったし、それにアンタの生徒だし、手伝ってあげるわ」


 なにこの上から目線、コイツは変わんねーな
 俺の後ろには4人の生徒が直立不動で立ってる
 ソファを勧めたけど断られたのだ


 「アンタたち、あたしの顔は知ってるわね?」
 「は、はい、スプリフォ魔教授まきょうじゅ」 
 「確かアンタはブラスター家の3女ね。勇者の妹の······フィオルーンだったかしら?」
 「そ、そうです」
 「そっちはピッグマン家の······」
 「は、某はブッタマンと申します。スプリフォ魔教授のご高名は、ピッグマン家末弟の某にも届いております」
 「そっちの2人は······」
 「初めましてスプリフォ魔教授、私はキティと申します」
 「は、は、は、初めましてぇぇ。ぼ、ボクは、あぁ私はガリヒョロと申しますぅぅ」
 「平民ね。安心なさい、あたしは差別しないから。そもそも貴族だなんて言って偉そうにしてるヤツらはクソだと思ってるから」
 「は、はい」
 「は、はぃぃ」


 どうやら上手くやれそうだな
 さて、取りあえず今後の方針だけど


 「スプリフォ、お前が魔術指導するなら安心だ。任せたぜ」
 「なーに言ってんのよ、魔術だけじゃなくて座学もあたしの担当よ。どっかのアホが戦闘しか出来ないからね」
 「ンだとこの野郎‼ ドーナツ食い過ぎのボテッ腹が」
 「ななな、何ですって⁉ あたしは太ってなんかないし‼ ねぇファノン‼」
 「いえ、スプリフォ魔教授は太りましたよ? 私と知り合ってから、少なくても4キロは増量されてますね。それに、最近はスカートがキツいと仰られてたではありませんか」
 「はッ‼ だってよ。よかったな」
 「ううう、ウソよ‼ そんなワケなーい‼」


 後ろの4人はスプリフォを見てる
 ハッハッハ、もっと見てやれ


 「さて、行くか。挨拶もしたし、明日は宜しくな」
 「うぅぅ〜っ、太ってないもん······」
 「明日はどこに行けばいいんだ?」
 「······第二教室」


 スプリフォは拗ねてしまった
 あんまりイジると泣き出しそうだし、ここらで引くか


 「じゃ、また明日な」




 俺が外へ出ると、4人も一緒に部屋を出た




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 「さて、今日は······」


 どうしよう、解散しようか
 俺は振り返り、4人を見た


 「あ〜······メシでも食いに行くか?」
 「は、お供させて頂きます」
 「ありがとうございます」


 固い、態度が硬いよ


 「あのさ、授業中とかは敬語でお願いするけど、普段の言葉遣いは普通でいいよ。あんま固いと俺も疲れるしさ」


 俺はちょっと苦笑しながら言う
 すると、少し迷った4人はお互いを見た


 「よし、じゃあ今日は親睦会だ。みんなは互いを知ってるだろうけど、俺はみんなを知らないからな。メシでも食いながら自己紹介しようぜ」
 「わ、わかりました。天鎖狼てんさろうさま」
 「は、畏まりました。指導員どの」
 「わかりました、先生」
 「は、はぃぃ、ジュート講師ぃぃ」


 おい、呼び方は統一しようぜ


 「なぁガリヒョロ、大食いチャンピオンならいい店を知ってるだろ? どこかないか?」
 「そうですねぇぇ〜、学園近くでしたら、〔焼肉バンバン〕など如何でしょうかぁぁ?」
 「焼肉‼ いいな、でも女の子もいるしなぁ」
 「あ、私は平気です。天鎖狼さま」
 「私も構いません。先生」
 「某も平気でございます」




 というわけで、みんなで焼肉屋へ‼




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 焼肉屋へ到着し、ボックス席へ座る


 「さ、好きなだけ頼め。俺の奢りだ」


 ガリヒョロのために山ほど肉を注文、あと女の子のために野菜も頼む
 飲み物は冷茶とジュースと酒を頼み、入店Okだったシロのために大皿も貰った
 飲み物が行き渡り、グラスを掲げて乾杯する


 「じゃ、乾杯!!」
 「「「「かんぱーい!!」」」」


 俺の合図で乾杯
 グラスを煽って肉を焼き始める


 「ほら、みんな遠慮するな、たっぷり食えよ」
 「いただきます、天鎖狼さま!!」
 「はぁぁ……ジュート講師は太っ腹ですぅぅッ!! うんま~いっ!!」
 「ここのお肉は上質ですね、先生」
 「指導員どの、こちらの野菜もどうぞ」


 打ち解けて来たけど、名称は統一してほしい
 生徒たちもポツポツと自分のことを話し始めてくれた


 フィオの場合


 「天鎖狼さま!! 私……あなたのファンなんです!! サイン下さい!!」
 「さ、サイン? いいけど」
 「やった!! ふふふ、私の宝物にしよっと♪」
 「なぁ、フィオは冒険者に詳しいのか?」
 「はい、フィンテッドお兄様は特務冒険者ですし。私もお兄様と冒険したかったのですが、お父様に反対されちゃって……」
 「そりゃ残念だな。そういえば、フィンテッドたちは帰ってきたのか?」
 「いいえ、まだです。手紙によると、新しく現れたダンジョンの調査………って、天鎖狼さまはフィンテッドお兄様をご存じなのですか!?」
 「まぁな、俺もダンジョンに潜ったし、途中まで一緒に冒険したからな」
 「き、聞かせて下さい!! お願いします!!」


 ブッタマンの場合


 「指導員どの、明日から座学と魔術の講義ですが、指導員どのは出られないので?」
 「まぁな、俺は戦闘専門だしな、お前たちの訓練メニューを考えないと」
 「なるほど、それでは我々のデータはお持ちなので?」
 「ああ。ギムレットさんが用意してくれる」
 「おぉ、13番隊副隊長どのが……お知り合いなので?」
 「うーん、知り合いといえばそうだけど、そこまで深い知り合いではないな」
 「ふぅむ。騎士団の13番隊といえば、実力重視の部隊と聞きます。そこの副隊長となると、かなりの腕前ですな」
 「確かに、ギムレットさんは強いな」


 ガリヒョロの場合


 「ふぅぅ、久しぶりに来ましたけど、やっぱりお肉は最高でぇぇすぅぅ!!」
 「そりゃよかった。ホレ、まだまだあるからな」
 「はぃぃ、ジュート講師も食べて下さい、ボクばかり食べてますぅぅ」
 「わかってるよ、でも今日は親睦会だ。遠慮はなしだぜ」
 「はぃぃ、ありがとうですぅぅ!!」


 キティの場合


 「先生、美味しいご飯をありがとうございます」
 「ああ、遠慮すんなよ」
 「はい。ところで、選抜のときの話ですけど、先生も読書が趣味なのですか?」
 「まぁな。ヒマさえあれば読書したいね、涼しくて快適な部屋で、ジュースとクッキーを用意してな」
 「分かります!! 私もそうです、私は町の図書館で読書するのですが、図書館は飲食厳禁なので……」
 「そうなのか……って、図書館があるのか!?」
 「はい。この町で最大級の大きさの図書館です。数万冊の蔵書が収められていますよ」
 「おぉぉ!! いいね、行きたいな!!」
 「宜しければご案内しますけど」
 「頼む!! なぁ、学園って休みはあるよな? なぁ!?」
 「あ、ありますけど。ソレを決めるのは先生ですよ?」
 「………ほほぅ」
 「せ、先生!?」




 こんな感じで、俺たちは打ち解けていった




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 「天鎖狼さま、今日はごちそうさまでした!!」
 「ごちそうさまでした、指導員どの」
 「いやぁぁ、美味しかったですぅぅ、ありがとうございます、ジュート講師ぃぃ」
 「先生、美味しかったです」


 4人に感謝され、学園へ戻る
 規則により学園生徒は寮に入る決まりらしい。平民や貴族とかは関係ないようだ


 「あのさ、みんなにお願いがあるんだ」


 俺の願いに、4人はしっかりと俺を見た


 「あの、呼び方を統一してほしいんだ。できればそうだな……ジュート先生、とか」


 うーん、恥ずかしい
 自分から先生って呼べなんて、普通は言えないぞ


 「分かりましたジュート先生。うん、呼びやすくていいわね」
 「そうですな、これからお世話になるジュート先生ですな」
 「はぃぃ、ジュート先生ぇぇ」
 「私はずっと先生呼びでしたよ?」


 うん、いい感じ
 これから1ヶ月、上手くやっていけそうだ
 フィオ、ブッタマン、ガリヒョロ、キティ。俺の生徒たち




 ここまで来たらやってやる、最強の騎士に育ててやるぜ
 

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