ホントウの勇者

さとう

王都グレーバシレム②/おもてなし・ベルダンディ



 ギムレットさんが案内してくれたのは、王都の中でも有数の宿らしい
 高層ビルみたいな豪華な造りだった


 「ではジュート殿、こちらでお休み下さい。明日の朝お迎えに上がりますので」
 「は、はい」
 「では失礼いたします」


 騎士団の敬礼なのか、右腕を曲げて胸に当てるポーズを取り、ギムレットさんは去って行った
 どうやらこの宿は騎士団の御用達らしい


 《さ、中へ入ろう》
 《そうネ》
 「う~ん、俺はまだ事情が理解出来ない」


 そう言いつつも宿の中へ
 すると、キッチリとした制服を着た従業員が、何人も出迎えてくれた


 「「「「「いらっしゃいませ!!」」」」」
 「うぉぉッ!?」


 ビビった
 ロビーにいた宿泊客も驚いてるぞ


 「いらっしゃいませジュート様、お話は伺っております、まずはお部屋へご案内し、すぐにお食事でよろしいでしょうか」
 「お、おねがいします……」


 なんだよこれ、まるで国賓じゃねぇか
 最上階のスペシャルスイートルームへ案内され、すぐに食事会場へ案内された
 場所は最上階の1室で、全面ガラス張りの特別室。豪華なイステーブルに、コース料理だろうか、銀食器が並べられていた


 さらに部屋にはフワフワのクッションが2つ
 金色の豪華な皿の上には、デカい魚と高級そうなステーキが運ばれた


 《わお、人間もわかってるじゃないか》
 《そうネ、フフフ。美味しそう》


 シロとクロはさっそく食べ始める
 すると俺にも料理が運ばれ、料理長自らが料理の説明をしてくれた




 全く落ち着かない食事は、味も分からないまま過ぎていった




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 《いやぁ美味しかった。ジュートには悪いけど、今まで食べた肉で1番美味しかったよ》
 《ワタシも、あんな大きなお魚初めてだったワ》
 「そりゃよーござんした……」


 腹は減ってたのに、なぜか満たされた気がしない
 部屋に戻りソファでのんびりしていると、ドアがノックされる


 「はいはーい」


 俺はドアを開けた
 すると若い女の人が2人立っていた。何だろう?


 「ジュート様、湯浴みのお手伝いをさせて頂きます」
 「それではこちらへ、シロ様とクロ様もお連れ下さい」
 「え」


 湯浴みって風呂だよな
 お手伝いって……マジかよ


 《いいね、すごい充実したサービスだ》
 《オフロ……たまにはいいかもネ》


 シロとクロは何故か乗り気で部屋を出る
 どうやらこの宿のサービスが気に入ったらしい


 「こちらです、どうぞ」


 シロとクロは乗り気だし、俺が行かないのはなんかイヤだ
 風呂には入りたいから仕方ない




 そんなワケで、係の案内で風呂場へ




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 「それではお召し物を……」
 「だだ、大丈夫です、1人で脱げますって!?」


 女の人は俺よりやや年上、20歳くらいだろう
 さすがに脱がされるのは恥ずかしいのでさっさと脱ぐ
 腰にタオルを巻き、素早く風呂場へ


 「お、おぉぉ……」


 風呂場はメッチャ広かった
 大理石のような床に、蛇口やシャワーは金色に輝いている
 マーライオンみたいな動物の口からは、お湯がジャボジャボ流れてた


 「ジュート様、こちらへどうぞ」
 「あ、はい、ってちょっと!?」


 女の人は、腰にタオルを巻いてるだけだった
 そこそこの大きさの胸は何故か丸出し。先端もぷっくりしてる
 俺は慌てて目をそらした


 「なななな……なんちゅうカッコを、むむむ、ムネが……」
 「それでは失礼致します」
 「聞けよ!?」


 女の人は俺の身体にお湯をかけ、丁寧に身体を洗ってくれる
 俺は目を閉じて無心でいる。落ち着いて素数を数えるんだ


 《ニャふぅ……テクニシャン……》
 《はぁぁ……気持ちいい……》


 あっちも気持ちよさそうだ
 泡まみれのクロとシロを、もう1人の女の人が洗ってる
 こっちも何故かトップレスだった


 「それではこちらにお掛け下さい」


 女の人はイスを差し出したので座る
 すると、今度は頭を洗ってくれた
 誰かに頭を洗われるなんて何年ぶりだろう……気持ちいいな


 氷寒たちと風呂に入ったときも、身体を洗って貰ったけど頭は自分で洗っていた
 目を閉じて身を任せる。頭皮をマッサージし、髪をゴシゴシ洗われる
 シャワーでアワを流すと、すごくサッパリした


 「それでは前を失礼します」
 「はい……って、それは自分で洗います!!」


 キモチ良くトリップしかけ、思わず身体を赦すところだった




 俺は適当に前と大事な部分を洗い、逃げるように風呂から上がった




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 部屋に戻ってジュースを飲んでると、どことなくツヤツヤした2匹が戻ってきた


 《はぁ~……サッパリした》
 《そうネ~……》


 ホカホカしてやがる
 それに、毛並みもスゴくいい


 「ったく、ここの係はソッチのサービスもやってんのかね」


 あんな胸丸出しで、誘ってんのかよ
 とにかく、今日は疲れたしもう寝よう


 「クロ、シロ、もう寝ようぜ」
 《ふぁ……そうだね。今日はキモチ良く眠れそうだ》
 《確かにネ……オヤスミ》


 俺は電気を消し、クロとシロをベッドに引きずり込む
 石けんの香りが鼻孔をくすぐり、すぐに睡魔が襲ってきた




 明日はベルのところへ行くのか……グミは残ってたよな




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 翌朝、起きて着替えるとドアが小さくノックされた


 「はいはい、開けますよー……」


 恐らくギムレットさんだろうけど、こんなに早く来なくてもいいだろうに
 時間的に朝の7時頃だろうし、メシもまだ食べてない
 ちょうどメシを食おうと起きて着替えてる時のノックだった


 「ギムレットさん、まだ早い……」


 ドアを開けて文句を言おうとし、俺は硬直した


 「……」
 「………へ?」




 そこに居たのは、7歳くらいの少女・ベルダンディだった





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