ホントウの勇者

さとう

真龍王国ガウェズリドラ⑲/出発の時にて・龍よさらば



 ミコの作ったご馳走を平らげ、一服してる時だった


 「改めてジュート、お前には世話になった。ジュートが居なければ、アタシは死んでた」
 「やめろって、もう終わったことだ」
 「そんなワケにはいかない、それにジュートはアタシに勝った、アタシに勝ったなら受け取って欲しいモノがある」


 するとシェラは立ち上がり、自分の頭に生えているツノを1本へし折った
 それを俺に差し出してくる


 「受け取ってくれ、これがアタシの気持ちだ」


 シェラのツノは1本だけになる
 特に出血などはしてないが、流石に驚いた


 「お、おい……平気なのか」
 「ん? ああ。ツノはそのうち生えてくるから問題ない」
 「それなら……ありがとな」


 俺はツノを受け取った
 細長く、15センチくらいのツノ
 硬く頑丈で、質感はスベスベしていた


 「はは、いきなりでビックリ……って、どうしたんですか?」


 俺はシュンガイトさんを、カグヤとミコとリュカロを見る
 何故か全員が驚愕していた。何だよおい


 「しぇ、シェラ……お前、本気か!?」
 「な、なに考えとるんや、ジュートは人間やで!?」
 「シェラちゃん……すごい」
 「うむむ……まさかそう来るとはね」


 何だよ一体、ワケ分からん
 俺は1番物知りなリュカロを見ると、メガネを押さえつつ説明してくれた


 「いいかいジュート、〔龍人族〕に取ってツノは象徴とも言える部位だ。それを差し出すというコトは究極の愛情表現……つまり、求婚すると言うことだ」
 「きゅ、求婚!?」
 「えっと、〔龍人族〕は結婚するときにお互いのツノを差し出すの。お互いが相手のツノを持つ……つまり、離れることがない、共にあるという願いが込められてるの」
 「それに、ツノは一定の長さまでしか伸びんからな。折れても10日もあれば元通りや」


 そこまで聞き、俺はギギギと首をシェラへ向ける
 シェラは顔を赤くし、モジモジと落ち着かなくなっていた


 「ジュート、その……アタシじゃダメか?」
 「う……」


 ヤバい
 普段の元気で活発なシェラがナリを潜め、上目遣いで恥ずかしそうに俺を見てる。正直なところメッチャ可愛いです
 するとシュンガイトさんが言う


 「……うん、ジュート君なら大丈夫だ。でも……まだ早い、結婚をするならまだまだ修行が足りないな。料理や裁縫、家事や育児も出来るようにならないと」
 「うぐぐ、シュン兄ぃ、それは……」
 「それに〔舞姫〕にだってなったばかりだし、事故とはいえ〔龍ノ理〕も得た。これからもまだまだ修行しないとな。よし、明日からは家事や料理の修行も追加だ」
 「うぇぇ……」


 なんか話が進んでる。俺の意思は?
 シェラが俺の嫁……悪くない、かな


 「仕方ない、アタシはまだ経験が足りないようだ。いいかジュート、必ず迎えに行くからな!!」
 「えぇ……普通は俺が迎えるんじゃないの……?」
 「それでもいい、とにかくアタシはジュートの嫁だ!!」




 シェラの笑顔を見ると、拒否なんて言葉は吹っ飛んでしまった




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 「さて、そろそろ帰るか。送るよカグヤ」
 「は~い、ありがとうございます、シュンガイトさま♪」


 「み、ミコ。家まで……その、送る」
 「ありがとう、リュカロくん」


 なし崩しに俺はシェラの家に泊まることになった
 シュンガイトさんに、これからのコトをちゃんと話せと言われたからだ


 「むっふっふ、いいモノを見せてやるぞジュート」
 「何だよ?」
 「いいから来い、驚くぞ」


 シェラに連れられて家の裏へ
 するとそこには驚くべきモノがあった


 「これって、露天風呂か!?」
 「ああ、ジュートと旅をしたときに入った風呂がキモチ良くてな。以前から家の裏にお湯が湧き出ていたから、町の業者に頼んで作って貰ったんだ」
 「へぇ、なんで湧き出てたんだよ?」
 「たぶん、〔デーボ溶岩道〕のマグマで地下水が温められたんだと思う。普段はウェドルギナのお湯浴びで使ってたんだけど、アタシもお風呂にハマってしまった」


 そりゃいいわ。マジで
 するとシェラは俺の前で服を脱ぎ捨てた


 「さ、一緒に入るぞ。ジュートも脱げ」
 「……い、いや、その」
 「わかってる。アタシの覚悟は出来てるぞ、いずれは夫婦になるんだし、アタシを抱いても構わない」
 「……わ、わかった」


 俺も服を脱ぐが、痛いくらい膨張していた


 「ほほう……」
 「いいのか、我慢出来ないぞ」
 「ああ、身体を清めたら……」




 こうして、俺はシェラとがっつりシた




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 お風呂でシて、そのままシェラの部屋でもシた


 最近ご無沙汰だったので、遠慮なくヤってしまった
 シェラも嬉しそうだし、まぁいいか


 「それでジュート、お前は……【神】と戦うんだな?」
 「ああ、悪いけどこれは俺の戦いだ。お前は連れて行けない」
 「わかってる。アタシも忙しくなるし、全てが終わったら、ジュートの作る町へ行く」
 「わかった、待ってるよ」
 「うん。それに、明日には出発するんだろう……?」
 「ああ、王都に行って最後の補給をする」
 「ジュート、気を付けろ……負けるな」
 「当然だ。さっさと終わらせてやるよ」




 シェラの頭をなでると、くすぐったそうに微笑んだ




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 翌朝。町の入口にみんなが見送りに来てくれた


 シェラにシュンガイトさん、カグヤにミコにリュカロ。驚いたことに、ガウェズリドラまで来ていた
 小さいドラゴンになったガウェズリドラは、ミコに抱っこされている


 『ジュートよ、また来るといい。これを持て』


 ミコは俺に見覚えのある水晶玉を渡してくる


 「おいおい、これって〔龍水晶〕だろ。確か国宝なんだろ?」
 「ううん、これはレプリカなの。この国に入るには道標が必要だしね」
 「なるほど、ありがとな」


 そういうことなら、遠慮なく


 「ジュート、また来いや。待ってるで」
 「ああ、それより······」
 「な、なんや」


 俺はカグヤにボソリと聞く


 「シュンガイトさんとはどうなったんだよ?」
 「ふふふ······秘密や」


 まぁこの笑顔を見る限り、フラれたワケじゃなさそうだけど
 どうせ今後に期待するってことだな


 「ジュート、キミが協力してくれて得たデータは、これからの研究に役立たせてもらうよ」
 「おう、任せたぜ」
 「ジュートくん、これ······」


 リュカロに挨拶をしてると、隣のミコが風呂敷包みを渡してくれた


 「お弁当だよ、道中で食べてね」
 「おお、ありがとな」
 「み、ミコのお弁当······」


 何故かリュカロは羨ましそうだった
 まぁここは敢えて無視します


 「ジュート君、キミには世話になった。本当にありがとう」
 「いえ、俺もお世話になりました」


 シュンガイトさんとガッチリ握手する
 俺はずっと思ってたことを言ってみた


 「実は俺······シュンガイトさんと戦ってみたかったです」
 「そうなのか、実はオレもだ」


 顔を見合わせて笑う
 この国に来てホントによかったぜ


 「ジュート、アタシの旦那よ。また会おう」
 「ああ。お前が来るのが先か、俺が迎えに行くのが先か、お互いに競争だな」
 「負けないぞ、アタシは負けず嫌いなんだ」


 シェラは俺に近づき、頬にキスをする
 みんなが驚く中、輝くように微笑んだ




 こうして、俺は龍の町から出発した




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 町から出発し、〔龍の渓谷〕を抜ける
 クロと一緒に街道を歩く


 「さて、最後の補給だな」
 《そうネ》


 澄み渡る空を仰ぎ、深呼吸する


 「······もうすぐ、終わる」
 《······そう、ネ》




 王都は目前、俺たちは歩き出す



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