ホントウの勇者

さとう

真龍王国ガウェズリドラ⑱/シェラ宅にて・神の大陸



 シェラは何事もなく目覚めたが、安静が必要と言うことで自宅へ


 シュンガイトさんが付いているので問題はないだろう
 それに、俺の用事もこれで済んだし、明日には出発しよう


 俺は現在、ガウェズリドラ龍帝城へ来ていた
 謁見の間にて、壁一面のマザコンドラゴンと向き合っている


 『さて、冒険者ジュートよ。貴殿は我が〔舞姫〕を決闘にて打ち破った。課程はどうであれ勝負は勝負、勝利の報酬として望む物はあるか?』
 「えっと……」


 急に言われても
 それに、俺はシェラとの約束を守っただけで、何かが欲しいワケじゃないし


 「特にないです。何かが欲しかったワケでもないし」
 『ふむ、欲はないか……なら、情報はどうだ?』
 「情報……?」
 『うむ、例えば……【時の大陸】について……』


 情報。そりゃいいな
 俺は頷いた


 『貴殿の目的は〔神の器〕の救出、そして【女神】と【王ノ四牙フォーゲイザー】の討伐と聞いた』
 「そ、そうです」
 『申し訳ないが、滅びた【女神】がどうなったのか、【王ノ四牙フォーゲイザー】が何を企んでいるのかは知らん。だが、1つだけ言えることがある』


 ガウェズリドラの瞳は、どこか悲しげだった


 『【女神】の目的は、【神の大陸】を作り出すこと。そのために、この8大陸を跡形もなく消滅させることだ』
 「……は? 【神の大陸】……?」




 『そう、【神の大陸ゴールドゴッデス】こそ、【女神】の求める新天地、そして全ての神が住まう永遠の理想郷だ』




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 「ちょ、ちょっと待てよ。神様は【時の大陸クローノス】があるだろ!? なんで今さら……」
 『決まっておる。【神の大陸】の誕生を、【銃神ヴォルフガング】に阻止されたからだ』


 ワケ分からん、どういうことだよ


 『【銃神ヴォルフガング】が【女神】を封印し、【神の大陸】の誕生を阻止した。【時の大陸】はただの避難所に過ぎん、神が求めたのは神だけの世界、8大陸の生物たちを根絶やしにし、神の楽園を作り出すための準備をしていたのだ』
 「……つ、つまり?」
 『500年前、【魔神軍】が勢力を挙げて8大陸に進行し、【時の大陸】で【女神】が【神の大陸】を作り出し、8大陸を押しつぶす。そしてこの世界は【神の大陸】として永遠を紡ぐ……と言うシナリオだった。しかし【銃神ヴォルフガング】に阻止された、これが500年前』


 恐ろしい。【銃神】がいなかったら全て終わってたのか


 『そして〔神の器〕を作り出し、失った戦力を補充し、【女神】を復活させ、再び【神の大陸】を作り出す。これが現在だろう』
 「マジかよ……」
 『うむ、我の見立てでは、【女神】の復活には、【銃神】の力が必要となる。つまり、貴殿が【時の大陸】に向かわなければ、このまま8大陸は平穏のはずだ』


 ふざけんな、そんな訳にいくか


 『しかし、貴殿の仲間を救うため【時の大陸】へ向かうだろう。【王ノ四牙フォーゲイザー】の狙いはそこにある。いいか、決して油断するな』




 思った以上に、事態は深刻かも知れない




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 シュンガイトさんの家に着き、部屋に戻る


 「クロ、シロ、聞いてたか?」


 ベッドの上にはクロとシロ
 全て知っていたとばかりに頷いた


 《ボクたちは知らなかったけど、あのドラゴンに言われて思いだした……のかな?》
 《そうネ……封印の術式が、ワタシ達の記憶の一部を封じてたのカモ。あのドラゴンの言葉がきっかけで、いろいろ思い出したワネ》
 「そっか……う~ん」
 《ジュート、悩まなくていい。キミは【神】を倒して仲間を救えばいいんだ》
 「わかってるけど、な~んか引っかかる……」
 《もう、気にしすぎヨ》


 俺はベッドに座り、クロをなでる


 《ウニャ……》
 「明日、シェラを見舞ってから出発するか」
 《そうだね。次は〔王都グレーバシレム〕で最後の補給だよ》
 「ああ、わかってる」


 いろいろあって疲れたぜ
 俺はシロとクロを抱きしめて目を閉じる




 直ぐに睡魔に襲われ、そのまま眠りについた




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 翌日、ミコの家に行く


 シェラの家の場所を知らないので、ミコと一緒にお見舞いに行く
 ミコの家の前には、カグヤとリュカロもいた


 「おっす、お前らも居たのか」
 「まぁね。ボクたちもシェラが心配だし」
 「ウチは別に、シェラがあの程度でくたばるワケないしな」
 「そんなこと言わないの、カグヤちゃん」


 話もそこそこにシェラの家に向かう
 道中ではやたらと目立った
 ガウェズリドラの【五龍ウーロン】が3人も並んで歩いてるし、さらに俺もいるからな。ジロジロ見られるのは慣れたけど、やっぱ居心地悪い


 「そう言えば、シェラはそろそろ王都に呼び出される時期だね」
 「そうやな、【特級魔術師】とやらも大変やなぁ」
 「呼び出し? なんかやらかしたのか?」
 「違うよ、〔龍人族〕と〔人間族〕の交流のために、シェラが【特級魔術師】を名乗って人間に協力してる、だから月に何度かは人間の王様のところへ行って、仕事をしなくちゃいけないんだ」
 「なるほどね。そう言えば……なんでリュカロは【特級魔術師】にならなかったんだ? この国だけじゃなくて、人間の国で勉強も出来るし、いいこと尽くしじゃねーの?」
 「そ、それは……」


 リュカロはビクリと身体を震わせた


 「だ、だって……8大陸の【特級魔術師】って、女の子ばかりだし……」


 その答えに、俺とミコとカグヤはボーゼンとした


 「そ、それだけ……?」
 「それだけって何だ!! ボクにとっては一大事だぞ!!」
 「アホかお前、女が苦手なのは知っとったけど……」
 「りゅ、リュカロくん……」
 「し、仕方ないだろ!! 昔の〔8大陸協議会〕で護衛として着いてったら、【特級魔術師】の女の子たちがいっぱい来て……シェラは笑ってて助けてくれないし、もうあんなのはゴメンだ!!」


 うーん、コイツにはこんな悩みがあったのか
 魔術師は男より女の方が才能あるっていうしな




 しばらく喋りながらシェラの家に向かった




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 シェラの家は、以外とこじんまりしてた


 普通の2階建て家屋で、町から外れた場所にあるため人通りはない
 家は小さいけど庭は広く、屋根付きの大きな厩舎には大漁のワラが敷かれ、近くにはモンスターのホネが散らばっていた


 「あれはウェドルギナ、シェラちゃんの飼ってるドラゴンのお家だね」
 「あぁ、そう言えばいたな」
 「今は居ないみたいやな。エサでも探してるんちゃうか?」
 「まぁいいじゃないか。中へ入ろう」


 ドアをノックすると、シュンガイトさんが迎えてくれた


 「やぁ、わざわざありがとう」
 「シェラは大丈夫ですか?」
 「ああ、身体も問題ないようだし、今日は安静にして明日には動けるだろう」
 「よかったぁ、じゃあ今日は美味しいご飯を作らなきゃ」
 「頼むでミコ、いっぱい作ってや」
 「はは、カグヤは小さいからたくさん食べないとね」
 「うっさいわリュカロ!!」


 家に入り、居間のソファに座る
 すると2階からバタバタ音がして、シェラが慌てて降りてきた


 「シュン兄ぃっ!! みんな来たのっ?」
 「落ち着きなさいシェラ、全く……」


 シェラは寝間着みたいなローブを纏い、長い灰銀の髪を下ろしていた
 これはこれでスゴく似合うな


 「よく来たな、ゆっくりしてくれ」
 「ああ、大丈夫か?」
 「うむ、ジュートが優しくしてくれたからな。身体は至って健康だ」


 おい、言い方に語弊があるぞ




 まぁ、元気そうでなによりだな
 

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