ホントウの勇者

さとう

真龍王国ガウェズリドラ⑬/解体場にて・龍神満漢全席



 町の近くで着地し、ギルドへ向かう


 ギルドに到着すると、バニキスさんは仰天してた


 「も、もう行ってきたのか!? おいおい、まだ半日しか経ってねーぞ!?」
 「うっさいわ、ちゃーんとモンスターはやっつけたで。ほれジュート」
 「ああ、ってココじゃマズいだろ」


 なんせキツネは5メートルはある
 こんなギルドの中に出したら大騒ぎだ。もっと広い場所に出さないと


 「よっしゃ、ギルドの裏に解体場がある。そこで見せてくれ」 


 と言うわけで移動


 ギルド裏の解体場は、広い倉庫みたいな場所だった
 大型のモンスターを吊すクレーンに、解体用のノコギリや包丁、大きな台の上には血の跡が付いている。そして使えない部位なのか、デカい木の桶に内臓が詰まってた。オエップ、キモい


 「さ、台の上に。おーい野郎共、集合だーッ!!」


 バニキスさんのかけ声で、筋骨隆々の龍人族が集まってくる
 なぜか上半身裸で、ムダに筋肉を強調していた


 「全く、乙女の前でなんちゅうカッコや……」


 カグヤもちょっとイヤそうだ。まぁ俺もちょっとイヤだ
 取りあえず台の上にモンスターを出す。どうせ〔神の器〕だってバレてんだし、【時】属性の異空間魔術を使っても問題ない


 「お、おぉぉぉ……これがSSレートの……」
 「キレイな毛並みだ……」
 「おい、顔面がグッチャグチャだ。どうやって倒したんだ?」
 「う~む、爪は武具に、骨も防具につかえる。毛皮と尻尾は魔術師用の高級ローブとして使えるな」
 「ああ、SSレートの毛皮だ。魔力抵抗やら耐刃防御も優れてるしな。問題は技術者だが……」
 「よし、王都に協力を要請しよう。悔しいが龍人族の技術じゃ防具の加工は難しいな」
 「だな。爪の加工は……」


 なにやらワイワイ始まった。もう俺とカグヤに見向きもしない
 するとホクホクのバニキスさんが俺たちの元へ


 「いや~サンキューな。コイツ1匹だけでかなりの儲けだわ。依頼料をさっ引いても黒字だ黒字!! ぎゃっはっはっは!! あだっ!?」
 「おいバニキス……」


 すると突然、カグヤがバニキスさんのケツに蹴りを入れた


 「アンタ、もしかして……最初からギルドの儲けのためにジュートを利用したん?」
 「い、いや、それは……そ、そうだ!! お守り、お守り!! それと依頼料の支払い!!」
 「………」


 カグヤは冷たい目でバニキスさんを見る


 「おいカグヤ、もういいって、貰うモンもらって行こうぜ。それにお守りもあるしな」
 「……わかったわ、バニキス、お守りの加工は?」
 「あ、ああ。最高の彫金師を手配する、〔龍の石〕は?」
 「ほれ、これや」


 カグヤは〔龍の石〕を2つ、バニキスさんに手渡す


 「よし、数日もらうぞ。料金はタダでいい」
 「ほう、ええ心がけやな」


 タダと聞いてカグヤは少し元気になった
 コイツもけっこう現金だよな


 「さ、別室へ行こう。討伐料金と素材の料金を支払う。多少だが色も付けさせて貰うよ」
 「はい。あ、料金はカグヤと折半で」
 「はぁ? ウチはなんもしとらんで?」
 「道中のモンスターはお前が退治しただろ、その手間賃だよ」
 「うぅん……そんなら貰ってもええで」


 別室へ移動し料金を貰う
 素材は8500万ゴルド、討伐料は1億1500万でちょうど2億。仲良く1億ずつ分けた。桁がハンパねぇな


 「こここ、こんなに……く、食い放題、食べ放題……武器も新調できるし、新しい服、それに……」


 カグヤはプルプル震えてる。思ったより大金で驚いてた


 「くかかか、〔神の器〕様々だねぇ。また頼むぜ」
 「えっと……はい」


 バニキスさんは俺の肩を抱いて笑顔で言う




 疲れたし、今日は帰ろう……




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 ギルドから出ると、カグヤは満面の笑みを浮かべた


 「ジュート、今日はホンマにあんがとな。お金はいっぱい貰うたし、お守りも作れそうやし。ぐふふ」
 「ま、まぁよかった……」
 「お礼がしたいんや。よかったらウチの奢りでメシでもどうや?」
 「お、いいね。場所は?」 
 「もち、ミコの家や。ぐふふ……今日は最高級の満漢全席や!!」


 ずっと上機嫌のカグヤ。お守りよりお金が嬉しいのかも


 「これから行くのか? 出来れば1回帰ってシュンガイトさんに報告したいんだけど。もしかしたら晩メシの準備してるかもしれないし」
 「む、そりゃいかんな。じゃあウチは先に行くさかい、すぐ来いや」
 「わかったよ、じゃあな」


 カグヤはスキップしながら立ち去った……この世界にもスキップってあるんだな




 さて、それじゃ1度帰るか




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 家に帰ると、庭でシュンガイトに会った。すごいタイミング


 「おかえりジュート君、悪いけど直ぐに出なくちゃいけないんだ。夕食は……」
 「いえ、それはいいんですけど、何かあったんですか?」
 「大したコトじゃない、ちょっと仕事でね」


 シュンガイトさんは申し訳なさそうに行ってしまった
 まぁ忙しい人だしな、大変だ


 俺もそのまま家に入ることなく再び町へ
 ミコの家の中華料理屋の前には、カグヤともう1人いた


 「遅いでジュート、待ちくたびれたわ」
 「悪いな。シュンガイトさんとちょうど会ってな、許可は貰ってきた」
 「まぁええ。早くいくで」


 その前に、俺はもう1人へ視線を移す


 「えっと、リュカロ? なんでここに?」


 俺は当たり前のように佇むリュカロに聞く
 リュカロはメガネを押し上げて、カグヤを見つつ言う


 「いや、ジュートにお願いがあってきたんだ。ミコに場所を聞こうと思ったら、ちょうどカグヤと会ってね。今日は一緒に食事をするっていうから、ボクも一緒に混ざろうと思ってね」
 「それはいいけど……」


 俺はカグヤを見る


 「感謝せぇよリュカロ。今日はウチのオゴリや!!」
 「はは、ありがとうカグヤ。所で何かあったのかい? すごくご機嫌じゃないか」
 「まぁ立ち話もなんだし、入ろうぜ」
 「そうやな、腹も減ったし……食べまくるで!!」




 と言うワケで、3人でお店の中へ




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 「あ、いらっしゃ~い」
 「来たでミコ、案内よろしゅうな」
 「は~い。ジュートくんもリュカロくんも、ゆっくりしてってね」
 「ああ、サンキュ」
 「う、うん……ありがとう、ミコ」


 あれ、リュカロの様子が……まぁいいか
 ミコの案内で、なんと2階の個室に案内される。そこは豪華な装飾が施された特別室で、来賓客をもてなすVIPルームのようだった
 龍の装飾が施された豪華な円卓に座り、カグヤが注文を取る


 「ミコ、「龍神満漢全席」や。頼むで」
 「え、でも……食べれるの? それにお金は……?」
 「ふっふっふ。臨時収入があったんや、支払いなら任せとき」
 「それならいいけど……いいの、ジュートくん」
 「ああ、金なら心配すんな。実は今日SSレートのモンスターを討伐してな、かなりの大金が入ったんだ」
 「えぇ!? ジュートくんはともかく、〔龍炎〕のカグヤちゃんが町を出たの!?」
 「それは不味いよカグヤ。掟を破るなんて……」
 「アホ抜かすなや、ちゃ~んとガウェズリドラ様の許可は貰ったさかい。な、ジュート」
 「まぁな。そこは俺が保証する」
 「とにかくミコ、はよう料理を持ってきぃや」
 「は~い。カグヤちゃん、あとで話を聞かせてね」


 そう言ってミコは階段を降りていった


 「カグヤ、キミはどうやって許可を?」
 「簡単や。ジュートに頼んだら貰えたで」
 「ジュートに?……そうか、アグニードラ様を経由して頼んだのか」
 「まぁな。所で、リュカロの頼みってなんだ?」
 「そうだね……まずは食事からだ。お腹も空いたしね」




 ま、確かに。腹減ったしな




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 満漢全席ってヤツは、何日かに分けて100品ほどの料理を食べるんじゃなかったっけ?


 「な、なぁリュカロ……〔龍人族〕って、普段からこんなに食うのか……?」
 「そんなワケないよ、シェラやカグヤが異常なのさ」


 巨大な円卓に並ぶ料理は50皿ほど
 ミコ曰く、最初に軽い料理が50皿、次にメインが100皿、最後にデザートが50皿という、ある意味地獄のフルコースらしい
 しかも皿は大皿。ありえねぇ……これを考えたヤツはアホなのか?


 「やっは~っ!! たべほ~だいや~!!」


 カグヤは円卓を見て狂喜乱舞してる。いい意味で
 当然ながら、俺はすぐにギブアップするだろう


 「さぁ乾杯や!! お守りとモンスターに!!」
 「お守り? モンスター? なんのことだい?」
 「いや、実は……」
 「ま、待てジュート!! 説明はいい、乾杯や!!」


 お守りの詳細を話すのは恥ずかしいのか、カグヤがストップをかけた


 「と、とにかく、かんぱーい!!」




 いうわけで、楽しい食事が始まった
 

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