ホントウの勇者

さとう

真龍帝国ガウェズリドラ⑤/中華料理屋にて・修行



 満漢全席


 巨大な円卓に並べられた料理
 4人で食べきるのはまず不可能、最低でも20人はいないとダメだろう
 しかし、円卓に並べられた料理は、次々と消えていく


 「あむ、ミコ、スコピオ炒めチョーダイ」
 「もうカグヤちゃん、口に詰め込みすぎだよ」
 「ジュート、それとって」
 「お、おう」


 シェラとカグヤ
 礼儀作法もクソもない
 並べられた料理に片っ端から手を付け、まるで競争するかのように料理を貪り食う
 円卓には料理が次々と追加されるが、すぐに2人の胃袋へ消えていく


 
 結局、俺とミコはあんまり食えなかった




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 「ふぅ〜、お腹いっぱいや」
 「よかったぁ、シェラちゃんも?」
 「ああ。アタシも大満足だ」


 食後のデザートとお茶を堪能して一服
 せっかくだし質問してみるか


 「あのさ、みんなは真龍王ガウェズリドラの眷属なんだろ? それにしては若いけど、友達なのか?」


 俺の質問に答えたのはミコ


 「そうだね。私たちは小さい頃からの幼馴染で、先代の眷属が入れ替わる時期が同じだったから、こうして同時期に眷属になったの」
 「そうやな。〔剣龍〕のシュンガイト様はもう15年は眷属を続けられとる。あのお方より強い剣龍は、あと50年は現れんで」
 「ミコ以外は、代々眷属の家系でもある。アタシのばーちゃんやカグヤのじーちゃん、リュカロのじーちゃんは先代の眷属だったしな」
 「リュカロ? 誰?」
 「えっと、〔法翁ほうおう〕のリュカロくん。私たちの幼馴染で、この町で最高の魔術師でもあるの」


 この町で最高の魔術師?
 それって、【特級魔術師】のシェラじゃないのか?


 「なぁ、シェラは【特級魔術師】だよな?」
 「ん?······ああ、そうか。確かにリュカロは町で最強の魔術師だが、【特級魔術師】の任命の話を蹴ったんだ。理由は知らんがな」
 「それに、リュカロにはあれ・・が使えんやろ。認めたかないけど、あの魔術・・・・を使えんのはお前だけや」
 「ま、逆に言うとそれしか使えないけどな」
 「あの魔術?」
 「ふふん、〔龍人族〕に伝わる秘奥の魔術だ。内容は秘密だぞ? お前との戦いで使うかもしれんからな」


 うーん、気になる
 でも、俺との戦いで使うなら、詳細は知らない方がいいな
 すると、ここで俺に質問が来た


 「ところでジュート、戦いの日はいつだ?」
 「シュンガイトさん曰く10日後。明後日には真龍王との謁見があるし、シェラを鍛え直す時間も欲しいって」
 「しゅ、シュン兄ぃがそんなことを⁉ き、鍛え直すって······」
 「ずるい‼ ウチも参加するッ‼ シェラばっかシュンガイト様と一緒なんてズルいっ‼」
 「そんなの知るかっ‼」


 急にギャアギャアと騒がしくなる
 シェラってやっぱりシュンガイトさんが苦手なのな


 「シェラちゃん、昔はお兄ちゃんっ子だったのに」
 「ふん、強いクセに、将来は農家になりたいなんて言う軟弱者だ。アタシは認めないぞ」


 シュンガイトさんが農家
 似合うような、そうでもないような




 騒がしい夕食は、騒がしいまま幕を閉じた




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 シェラたちと別れ、シュンガイトさんの家に帰宅した


 シュンガイトさんは帰って来てない
 もう夜だし、部屋でのんびりするか


 《おかえり》
 《おかえりなサイ》


 部屋に戻ると、ベッドの上にクロとシロがいた


 「いつの間に······って今更か」
 《ま、そうネ》
 「全く。クロはともかくシロ、いきなり居なくなってビックリしたぞ」
 《町を見て回ってたのさ。女の子との大事な時間を邪魔しちゃ悪いと思ってね》


 またそれか
 気を使ってくれるのはありがたいけど


 「その気持ちは嬉しいけどさ、俺にとってはお前たちと過ごす時間も、同じくらい大事だぞ?」
 《·········》


 シロは目を閉じニッコリ笑った。ように見えた


 《ありがとう。ジュート》
 「おう。明日はギルドに行くぜ」
 《うん、楽しみだよ》
 《ニャア》


 何故かクロはニャアと鳴いた。どうした?


 《楽しそうでいいワネ······》
 「なんだよ、お前も一緒だぞ?」
 《無理ヨ。ティルミファエルに呼ばれてるの、今日はあのコと一緒に寝るワ······》
 「そ、そうか······」
 《シロフィーネンス、後は頼むワネ》
 《う、うん。ボクも他人事じゃないけどね》


 俺はクロをなでてやる
 クロは気持ち良さそうにゴロゴロ鳴き、静かに消えていった


 「なぁ、ティエルたちと寝るのはそんなに大変なのか?」
 《まぁね······あの2匹は長いと何日も寝るから、それに寝相も悪いし、尻尾は掴まれるし、耳は噛まれるし······》


 俺の知らない場所で、戦いはあったらしい
 クロ、死ぬなよ




 俺はシロを抱いて寝るとしますかね




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 シロを枕にしてのんびりしてると、玄関が開く音が聞こえた


 どうやらシュンガイトさんが帰って来たらしい
 家主が帰って来たし、出迎えなくては
 俺はベッドから起き上がり、居間へ向かう


 「おかえりなさい、シュンガイトさん」
 「おやジュート君、寝ていなかったのかい?」
 「えぇ、シュンガイトさんが帰って来た気配がしたので」
 「ははは。気を遣わせてすまないね」


 シュンガイトさんは微笑み、見事な装飾の施された剣を、机の上に置いた
 形からして青龍刀だろうか、柄と鞘は青く、見事な彫り物がしてある
 俺の視線を感じたのか、シュンガイトさんは答える


 「これは我が家に代々伝わる剣でね。シェラの持つ〔龍天牙撃りゅうてんがげき〕と対を成す剣、〔青龍斬撃せいりゅうざんげき〕さ」
 「へぇぇ〜······カッコいいですね」
 「いやぁ。今日は使うつもりはなかったんだけど、子供たちが見たいと騒いでね」
 「子供たち?」
 「ああ。オレの作った道場に通う子供たちさ」


 なんと、シュンガイトさんは道場の経営者


 「ど、道場ですか? 今日の用事って······」
 「うん。今日は稽古の日だからね。まぁ稽古は毎日やってるんだけど」
 「凄いですね、シュンガイトさんに鍛えられたら強くなりそうだ」
 「いやぁ、次の世代の〔剣龍〕を育てる名目で始めたんだけど、日に日に門下生が増えてね。畑をいじる暇もないよ」


 ヤバいな、めっちゃ興味ある
 すると、俺の足元にシロが来た


 「ん? ジュート君、その犬は?」
 「えっと、俺の相棒です」
 《こんにちは。龍人族の戦士》
 「おぉ、こんにちは」   


 驚きつつもシュンガイトさんはシロに返す
 シロをなでる手つきは何処までも優しい


 「ジュート君、明日の予定は何かあるかい?」
 「そうですね、ギルドを覗こうかと」
 「そうか。よかったら道場を見学しないか? シェラも来るし、何故かカグヤも来るけどね」


 何故だろう、イヤな予感がする
 まぁシュンガイトさんのお誘いだし、受けておこう


 「面白そうだし伺います、いいよなシロ?」
 《もちろんさ》
 「ははは、じゃあ明日は一緒に行こうか」




 シュンガイトさんとお喋りし、この日は終わった




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 翌朝。シュンガイトさんの作った朝食を平らげる


 シュンガイトさんは料理も上手で、朝から大変満足です
 シロ専用に肉も焼き、シロも大いに喜んでいた


 「さぁて、道場へ行こうか」
 「はい」


 片付けも終わり、一服も終わる
 シュンガイトさんの支度が終わり、家を出ようとしたとき、思わぬ来客が現れた


 「シュン兄ぃーっ‼」
 「シュンガイト様ぁーっ‼」


 俺とシュンガイトさんは顔を合わせる


 「シェラとカグヤか。わざわざ迎えに来てくれたのか」


 外へ出ると、いた
 シェラは腕組みをし、カグヤは何故かモジモジしてる


 「待たせたね、シェラ、カグヤ」
 「おっそいぞシュン兄ぃ‼ 今日はシュン兄ぃの敗北記念日なんだから、さっさと行くぞ‼」
 「はいはい。カグヤも待たせたね」
 「い、いえ、シュンガイト様。ご一緒できて、ウチは嬉しいです」
 「ははは、ありがとう」
 「はぅ······」


 カグヤはシュンガイトさんになでられて赤くなる
 なんだこりゃ。まるでネコみたいだ


 「お? ジュートも行くのか?」
 「ああ。せっかくだしな」
 「クックック、なら見てろ、アタシがシュン兄を下す様をな」
 「はいはい」
 「シュンガイト様、ウチも一緒に修行したいです」
 「もちろん構わないよ」




 さて、道場へ向かいますか



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