ホントウの勇者

さとう

戯遊機塔メガラニカ・マグダーラ⑲/夢の塔・お宝の塔



 ダンジョンから脱出し、ようやく地上へ


 ちなみにオーガからはレアドロップが出た
 俺の手には、一振りの刀が握られている


 「くっそ、いいなコレ」
 「はぁ」


 コノハには興味はないようだ
 黒い鞘に収められた刀
 刀を抜くと、美しく流麗な日本刀が現れる


 【鬼刃刀ヤシャオウガ】〔レア8〕
 〔攻撃力〕 320
 〔効果〕 魔力を込めると飛ぶ斬撃を放てる


 飛ぶ斬撃
 なんともかっこいい
 これは俺専用の刀にしよう。うん
 メイン武器はナイフだけど、剣もあっていいよね


 俺は細い鎖を作り、剣の鞘に固定
 刀をショルダーバッグみたいに背負う。まるで忍者みたい


 「さぁて、メシ食ったらマフィに報告して、今日はゆっくり休もうぜ‼」
 「はい。ごきげんですね、ジュート殿」


 うむむ、確かにテンションが上がってる


 
 さぁ、とにかく魔導車に帰ろう




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 帰り道の途中、レクスに出会った
 どうやら食事を終えてダンジョンへ向かうようだ


 「お、ジュートじゃねぇか」
 「ようレクス、何階層まで行った?」
 「早えよ⁉ いやいいけどよ⁉」


 何だこいつは、せっかくこっちから質問したのに


 「まぁいい。くくく、オレは今12階層だ‼ お前はどうだ?」
 「俺は11階層。でも今日で終わり、明日には出発するよ」
 「何ぃ⁉ せっかくこんな面白いダンジョンが現れたのに、もう行っちまうのかよ⁉」
 「まぁな」


 いい加減、シェラを待たせるのも悪いし
 それに決着をつけないといけないバカもいる


 「オレはしばらくここで力を付ける。それに、今までのダンジョンと比べ物にならないくらい、お宝が出るようだし、ここでアイテムを集めて今度こそ商人になるぜ‼」
 「まだ諦めてなかったのか······」


 レクスは商人より冒険者が似合うけどなぁ


 「じゃあなジュート、また会おうぜ。コノハちゃんもな」
 「ああ、元気でな」
 「ご武運を」


 レクスは手を振りながら去っていった




 今度会ったときは、必ず奢ってもらおう




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 魔導車で食事を終え、マフィの元へ


 コノハと転移した先は談話室で、そこにいたのはマフィだけだった


 「来たか」
 「ああ、久しぶりだな」
 「ふふふ。早速だが、私たちの造ったダンジョンはどうだ? 中々面白いだろう?」
 「まぁな、でもよ、このペースだと数年もしない内に踏破されるんじゃないか?」


 何しろ、この数日でレクスはすでに12階層まで登ってる
 俺だって本気を出せばすぐに踏破出来るだろう


 「甘いな。20階層辺りまでは楽に進めるが、そこから先は地獄だぞ。モチベーションを上げるために最初は楽な階層で腕試し、その後から難易度を跳ね上げて攻略を遅らせる。50階層まで進むのに、およそ20年はかかる計算だ」


 なんとまぁ性格の悪い


 「それで、何か気になった事はあるか?」
 「そうだな······レアドロップが出やすい。もっと確率は低くてもいいんじゃないか?」
 「ふむ、確かに。私にとって〔マテリアルウェポン〕なんぞ、暇つぶしのオモチャみたいな道具だが、冒険者連中にとってはお宝らしい。簡単に手に入れられるのもつまらんし、もう少しもがき苦しみながら手に入れられる方が楽しいかもな」


 言い方はアレだがその通り
 レアドロップは出やすかった。まぁ嬉しいけど


 「あれ、そういえばみんなは?」
 「あぁ、全員で風呂に入ってる。ルーチェミーアとティルミファエルが何時間も入っててな、せっかくだし全員で入ろうと括利が言い出して、くつろいでるぞ」
 「なるほど。それでは私も行って参ります」


 するとコノハは出ていった
 正直、俺も混ざりたいけど


 「残念ながら、お前は私に付き合ってもらうぞ。風呂なら私が付き合ってやる」
 「そりゃどーも······」




 結局、みんなが風呂から上がるまでマフィに付き合った




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 みんなと軽く話し、女子たちは全員でカラオケルームへ
 マフィの作った部屋に、壊子の作った機械を設置した特別ルームでカラオケ大会を行うようだ


 そこにはルーチェとティエルも混ざり、まさに男子禁制の花園。ちくしょう、羨ましい
 ハミィに挨拶しようと専用の部屋に行ったら、すでに寝てた  
 仕方なく、俺は1人で風呂へ······と思ったら、なんとマフィまで着いてきた


 「風呂には私が付き合ってやる、と言っただろう」
 「······まぁいいけどよ」
 「ふふ、襲っても構わんぞ」
 「わかった。我慢出来なかったら頼むな」
 「え⁉ あ······ま、まぁ、うん。その、初めてだから、その······」
 「······いや、冗談だから」
 「っ‼」


 なぜか顔を赤くして俺を睨みつける
 ヨレヨレの白衣とワイシャツにスカート、髪はボサボサのロングヘア、メガネをかけた15歳ほどの少女
 顔立ちはかなり整っていて、その表情は凛々しく引き締まっている


 創造神の眷属、【戯神マレフィキウム】


 今更ながら、こいつには世話になっている
 この戦いが終わっても、側に居てくれるだろうか


 「······何だ?」
 「いや、なんでもない」




 ま、それはその時考えればいいか




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 アホみたいに広い脱衣場で服を脱ぐ


 「ほほう、相変わらず立派なモノだ」
 「そりゃどーも。お前は相変わらずちっちゃいけどな」


 マフィは俺の下半身、俺はマフィの上半身を見て言う
 こいつ相手だと、不思議と羞恥心は薄れる


 「ふ、ふん。創造神が私をこんな姿で生み出したのが悪いんだ、仕方ないだろう」
 「いや別にいいけどよ······」


 誇らしげに胸を張るが、可愛らしいサイズのお乳は健在だ
 リリより少し小さいくらいかな


 「ふん。おいジュート、私の身体を洗え」
 「なんでだよ、自分でやれっての」
 「うるさい、私の身体を侮辱したバツだ」


 仕方なく俺はマフィの全身を隅々まで洗い、仕上げとばかりに浴槽にマフィを放り込む


 「ぷわっ⁉」
 「ほれ、ちゃんと温まれよ」


 俺も身体を洗って浴槽へ
 マフィと並んで湯船に浸かった


 特に会話もなくリラックス
 明日には〔龍の渓谷〕へ向かえそうだ




 今日はゆっくり眠れそうだな




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 翌日、起きた俺は1人で朝食


 どうやら全員徹夜でカラオケをしたらしい
 俺の見送りはハミィとマフィだけだった。うう、悲しいぜ


 「〔龍の渓谷〕の後は〔グレーマウンテン〕だったか?」
 「ああ。でもその前に〔王都グレーバシレム〕で補給するよ。多分……最後の補給になる」
 「そうか。しかし、クロシェットブルムたちの封印が解けないのに【時の大陸】へ向かうつもりなのか?」
 「……ああ。最悪、【女神】だけを始末すればいいからな」
 「ふむ、そう簡単に行くとは思わんが……」


 それは俺も同意する
 しかし、いつ解けるかわからない封印を当てにはできない
 レンカ先生や、クイナやマイトみたいに、【神】がみんなの身体を蝕む可能性だってある


 「じゃあ行ってくる、みんなをよろしくな」
 『キュウ~♪』




 俺はハミィの頭をなでると、1人でアウトブラッキーに転送した




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 アウトブラッキーへ戻り、出発の準備をする
 一度外へ出て、フィンテッドたちの魔導車と宿へ向かった


 フィンテッドたちに挨拶をしたかったが、既にダンジョンに潜ったらしく挨拶出来なかった
 どうやら王都への帰還はまだ先らしい


 「ま、いつか会えるだろ」


 そう思い、アウトブラッキーを収納して【流星黒天ミーティア・フィンスター】を呼び出す


 「クロ、シロ」


 俺は2匹を呼ぶ
 すると音もなく俺の側に現れる


 《行くのかい?》
 「ああ。そろそろ行かないとシェラがうるさいからな」
 《そうネ》


 俺は【流星黒天ミーティア・フィンスター】に跨がりメットを被る
 クロとシロも同乗し、最後にもう一度〔戯遊機塔メガラニカ・マグダーラ〕を眺める


 「ま、けっこう面白かったぜ」




 全てが終わったらまた来よう。そう思い俺は走り出した



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