ホントウの勇者

さとう

戯遊機塔メガラニカ・マグダーラ⑰/大暴れ・結果



 〔戯遊機塔メガラニカ・マグダーラ〕9階層・【大群の洗礼】
  クリア条件・モンスターを1000体討伐し、ボスを討伐せよ


 「え」


 扉を開けた先は、見覚えのある原っぱ
 ここは確か、フィンテッドたちと初めて入った場所だ
 しかも討伐系、1000体のモンスターを始末し、最後にボス戦をやった場所。今度は1人で1000体のモンスターを退治するのかよ!?


 《1人じゃないぜ!!》
 《うむ、ワシらが手を貸そう》
 「アグニ、ナハト!?」


 現れたのはトカゲとガイコツ
 アグニが頼もしいのは知ってるけど、ナハトは強いのか?


 《ふむ、ワシの強さに疑問を感じておるのぉ……》
 《おいジュート、ナハトオルクスはめっちゃ強えーぞ。オレとタメ張れるくれぇヤルから期待しとけや》
 「お、おう。任せる」


 アグニは首をパキパキ鳴らし、ナハトはカタカタ骨を鳴らす
 なんだろう、全く負ける気がしない


 《来たぜ……》
 《カッカッカ、暴れるかのぉ、アグニードラ》
 《へへっ、いっちょ狩り勝負と行くか?》
 「面白ぇ、俺もやるぜ」


 アグニから炎が巻き起こり、ナハトの目が赤く輝く
 俺も負けじと魔力を集中させ、両手でナイフを構えた




 さぁて、狩り勝負と行きますか




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 モンスターの大群が現れた
 以前と同じ、森や岩場、川や林、空や地面から少しずつ現れる


 《はっはぁーッ!! 久し振りに暴れるぜぇーッ!!》


 アグニは炎を纏いながら拳や尻尾でモンスターを蹴散らしていく
 徒手空拳による攻撃は凄まじく、たまに吐く炎のブレスは上空のモンスターを灰にする
 最近は酒ばっか飲んでるイメージだが、やっぱり強い


 《カッカッカ、血沸く血沸く!!》


 ナハトに血は流れていないが、その攻撃は凄まじい
 かなり長い漆黒のショットガンを乱射しモンスターを蹴散らしている
 『黒玄散弾銃アスワド・シェル・ショット』に似ているが形状はこちらの方が大きい


 《おおっとぉ、甘いのぅ!!》


 モンスターの接近を許したが、ナハトは身体中の骨をバラバラにして緊急回避
 すぐに骨は接合され、ショットガンを撃ちまくる


 「す、すげぇ……普段の飲んべえのイメージが全く無い」


 俺はモンスターを倒しながら2匹を見ていた
 モンスターは直ぐに消滅するから数は数えていないが、明らかに500以上はアグニたちが倒してる
 俺も負けるワケにはいかねーな


 俺は集団で突っ込んでくる牛の群れ……〔イエローバイソン〕に向かって魔術を放つ


 「【黒】のオリジナル魔術・【闇南瓜ジャック・オ・ランタン】!!」


 黒い紋章から現れるのは、漆黒のカボチャ
 1つ1つが意思を持つように浮遊し、〔イエローバイソン〕に向かい飛んで行く


 「食らいつけ」


 カボチャは〔イエローバイソン〕の頭部に食らいつき、〔イエローバイソン〕の頭部は完全なカボチャとなる
 〔イエローバイソン〕地面に倒れ、バタバタと藻掻き……そのまま事切れた


 「へ、どんなもんよ」
 《やるじゃねーか。いつの間にそんな魔術を作ってやがったんだよ》
 「ま、こっそりとな。全属性を作り上げるのは苦労したけど、その分すっげぇ強力な魔術が出来上がったぜ」
 《カッカッカ、流石じゃのぅ》




 1000匹は、フィンテッドたちより早く討伐した




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 ボスの神殿が現れ、俺たちは中へ入る


 《さてジュート、オレの弟子として恥ずかしくない戦いを見せてみろや》
 《カッカッカ。期待しとるぞ、我が主よ》
 「へへ、まあ見てろ」


 神殿の中央には鎧騎士
 色は灰色でやはり騎士系の亜種モンスターだろう


 俺は相手のステータスを確認した


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 【グレーナイト】
 【レベル64】
  体力 14500
  攻撃力 1250(+300)
  防御力 930(+300)
  俊敏性 450
  魔力 2300
  属性【灰】


 【装備】
  武器 灰騎士の剣+300
  防具 灰騎士の鎧+300
  アクセサリ なし


 【特殊】
  1〔【灰】魔術〕
  2〔利剣乱舞〕


 【ドロップアイテム】
  標準 鋼の剣
  レア 鉄塊拳てっかいけんフェルべライト
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 やはり階層を上がるごとにモンスターは強化される  
 まぁ当然だな。それがダンジョンだ


 それとこれは俺の予想だが、トドメに強烈な一撃を喰らわせると、レアドロップが出やすい
 だから最後は反対属性でケリをつける


 「さぁて、さっさと終わらせて飯にするか」


 お昼は過ぎ、時間は2時頃だろう
 少し読みが甘かった。いい加減に腹が減った


 俺は灰騎士に向かって突進する
 BGMが流れ出し、灰騎士が剣を構える


 が、俺の方が疾い
 灰騎士が剣を構えたと同時に懐へ潜り込み両手首を切断
 そのまま顎に掌底をブチかまし、前蹴りを食らわせて距離を取った
 剣士の弱点は「手」
 剣を握れなきゃ丸裸も同然だ


 「終わりだ、【紫】のオリジナル魔術・【雷震翼バハムート】‼」


 神殿いっぱいに【紫】の紋章が広がり、そこから巨大な雷の竜が現れる
 雷竜は灰騎士に向かって突撃、騎士は跡形もなく消滅した


 「へっ、楽勝だぜ」
 《ああ、いい動きだったぜ。最初の頃とは別人だ》
 《うむ、これほどの強さなら、人間相手に遅れは取らんじゃろ》


 アグニとナハトが褒めてくれる。照れくさいな
 すると、ドロップアイテムが現れた


 「よっしゃ、レアドロップだぜ‼」


 【鉄塊拳フェルべライト】〔レア8〕
 〔両手拳〕攻撃力280
 〔効果〕 装備者の意思により変化する力を持つ


 なんだろう、変化する?
 よくわからんけど、コノハのお土産にするか


 《さーて帰るか。久々に運動したし、今日は呑むぜ‼》
 《そうじゃのう。クロシェットブルムに頼んで、いい酒を出してもらうとしようぞ》
 《お、いいな。ついでにティルミファエルに頼んで、ツマミも作ってもらおうや》


 そう言って2匹は消えていった
 まぁかなり活躍したし、今日はいっぱい酒を呑んで欲しい




 俺も身体をほぐし、転送装置で外へ出た




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 転送装置で入口へ戻って来た


 「あー腹減っ······」


 すると、ほんの数メートル先にフィンテッドたちがいた
 フィンテッドはフレイミュラを抱きしめ、フレイミュラはフィンテッドの胸に顔を埋めて泣いている
 執事とメイドはハンカチ片手に号泣し、ミュラやユズモモはそっぽ向き、グルガンはあくびをし、セレシュは微笑を浮かべて眺めていた


 そんな感動の光景に、腹を空かせた俺が乱入
 その場にいた全員の視線を集めてしまった


 「よぉジュート、お前もダンジョンに行ったのか」
 「ああ、9階層までな。ほれ戦利品」
 「ほぉ······これはまた、素晴らしい」


 俺は自然な流れでグルガンと話す
 鉄塊拳フェルべライトをグルガンに見せてやる


 「じゃ、俺は帰る。またな」


 フレイミュラは何かを言おうとしてるが、俺はその場を去る
 結果なんて聞かなくてもわかったし、フレイミュラの涙は喜びの涙であることは明白だ




 ウンコも漏らさなかったようだし、一件落着かな




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 時刻は夕方
 俺はアウトブラッキーへ戻ると、部屋の中からいい香りが


 「おかえりなさいませ、ジュート殿」
 「ただいまコノハ。1人か?」
 「はい。リリはあちらで奥様たちから魔術を習っています」
 「そっか、それにしても······」


 いい匂い
 肉の焼ける音、スープの煮立つ音、コンロから香る焼き立てパンの匂いが空腹を刺激する


 「間もなく完成します。しばしお待ちを」


 コノハが来てくれてラッキーだ
 何も言ってないのに、こうして食事を準備してくれるとは




 もしかして、今夜はお泊りなのか?




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 食事が終わり、食後のお茶を飲みながら話す


 「明日には10階層へ進む。そこをクリアしたら、マフィに報告して出発しよう」
 「はい。次はいよいよ〔龍の渓谷〕ですね」
 「ああ。前にも言ったけど、そこは俺1人で行く」
 「はい」


 これからの予定を確認して思い出した


 「あ、コノハにお土産があるんだ」


 俺は異空間から【鉄塊拳フェルベライト】を取り出す
 両腕を覆う篭手は硬く鈍い藍色で、複雑な装飾が施された〔マテリアルウェポン〕だ


 「こ、これは······」
 「今日のレアドロップアイテムだ。コノハ向きの装備だし、よかったら明日、一緒にダンジョンへ行こうぜ」
 「はい。もちろんお供させて頂きます」


 表情こそ変わらないが、嬉しそうな声は誤魔化せない
 するとコノハはとんでもないことを言う


 「それでは、ぜひともお礼を······」
 「······おう」


 コノハは立ち上がり、俺を風呂場へ誘導する
 服を脱ぎ、コノハの裸体を堪能し、コノハは精一杯の奉仕をしてくれる  
 風呂から上がり、ベッドで連戦する
 気が付けば深夜になっていた




 さて、最後のダンジョンに向けて休むかね





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