ホントウの勇者

さとう

戯遊機塔メガラニカ・マグダーラ⑦/コンビネーション・レア



 ステータスを見た感じ、赤い方はパワー、青い方はスピードに優れてる
 赤はコノハ、青はレクス、さてどうなるか


 「俺はコノハの援護をするから、壊子はレクスを頼む」
 「了解、任せて」
 「ああ、同時に倒す必要があるから、ダメージや体力に気を付けろ」


 俺はそう言うとコノハの方へ、壊子もレクスの方へ向かった
 昨日の約束通り、コノハの援護をする




 せっかくだ、コノハの強さを見せて貰うか




───────────────


───────────


───────




 「遅いですね」
 「ヴォォォォッ!!」


 コノハは軽快なステップで大剣の乱舞を躱している
 俊敏性はコノハが上。避けるのはそう難しくない……が


 「やッ、はぁッ!!」
 「グオォォッ!!」


 コノハの拳が〔レッドアギョウ〕の腹部に突き刺さる
 身長は3メートル以上あり、コノハの2倍はあるので懐に潜るのは容易いだろう
 コノハの拳がヒットする度に、ズドンと痛そうな音が響く
 けど、問題なのは攻撃力と防御力だ


 〔レッドアギョウ〕
 体力 8690/8888


 やっぱりな
 コノハの攻撃は何度もヒットしてるのに、殆どダメージがない。敵の防御力とコノハの攻撃力差がこうも現れるとはな
 このままじゃコノハの体力が尽きるだろう
 だからこそ、俺が援護する


 「【灰】の中級魔術、【拘束巻鎖バインダー・チェーン】!!」
 「ガッ?」


 〔レッドアギョウ〕の全身に鎖が絡みつき、動きを封じる


 「コノハ、作戦タイムだ!!」
 「は、はい」


 コノハを呼び寄せて現状を確認。コノハは残りの体力を見て驚いていた


 「く、手応えは感じていましたが、ここまでダメージがないとは」
 「仕方ない。悪いけど俺も援護する」
 「はい。ではどうしますか?」
 「そうだな、俺は弱い魔術を使って身体を傷付けるから、そこを突いてダメージを与えよう。くれぐれも倒さないようにな」
 「分かりました……来ます!!」


 ビキビキと音を立て、【拘束巻鎖バインダー・チェーン】が破壊される
 〔レッドアギョウ〕は大剣を振り回しニヤリと笑った


 「行くぞコノハ!!」
 「はいッ!!」




 俺とコノハのコンビネーション、見せてやるぜ


 
───────────────


───────────


───────




 俺と〔レッドアギョウ〕の距離は10メートルほど。ここなら大剣の射程外だ


 「【灰】の初級魔術・【鉄槍メタルランス】」


 俺は魔術で「槍」を生み出し構え、コノハと打ち合ってる〔レッドアギョウ〕のスキを伺う
 打撃の効果が薄いなら、斬撃を喰らわせそこを突く
 さらに〔マルチウェポン〕に毒矢を装填。コノハとのタイミングを計った


 「頑張れコノハ、もうちょっと······今だっ‼」


 コノハがワザとスキを作り、そこを突くために〔レッドアギョウ〕は大剣を振りかぶる
 バランスを崩したように見せかけたコノハは、大剣が振り下ろされたと同時に横っ飛び
 しかし、大剣の地面を抉る一撃は、衝撃だけでコノハを弾き飛ばした


 「今ですッ‼」
 「喰らえッ‼」


 しかしコノハは叫ぶ。チャンスを逃すなと
 俺は槍を投擲し、同時に毒矢を放った


 「オォォッ⁉」


 槍は腹部に、毒矢は肩に命中した
 〔レッドアギョウ〕は怒りの形相で槍を引き抜きそのまま投げ捨て、肩の矢を抜いてへし折った


 「······オォ?」


 しかし、フラリと身体が揺れる。毒が効いてきたか


 「コノハ、畳み掛けるぞ‼」
 「行きますっ‼」


 コノハは傷付いた腹部と肩を集中攻撃し、俺も負けじとナイフで斬りかかる


 〔レッドアギョウ〕
 体力 78/8888


 いいね、このままゴリ押しで行けそうだ
 せめて体力を二桁くらいまで削らないとな


 「よし、あとはレクスたちだ」
 「はい」


 俺たちはレクスと壊子に視線を送る。すると


 「おーい、こっちはいつでもいけるぜ」
 「大丈夫ー?」


 レクスの足元には、両腕を失い苦しんでる〔ブルーウンギョウ〕がいた。どうやら腕を切り落としてタコ殴りしたみたいだ
 俺は2体のモンスターの間に立ち、合図を送る


 「コノハ、レクス、俺が合図するから同時にトドメを刺せ」
 「わかりました」
 「おう‼」


 コノハは右手を反らしブレードを展開
 レクスは双剣を構える


 「3···2···1···やれ‼」


 コノハは首を一突き、レクスは首を切断する
 2体のモンスターは、断末魔を上げることなく消滅した




 よし、これでクリアだな




───────────────


───────────


───────




 モンスターを倒すと、ドロップアイテムが現れた


 「おっ、マジかよ⁉」


 俺は驚いた
 レクスは通常ドロップの〔大剣チェストブレイク〕だったが、コノハの方には金色の袋が現れた
 俺は袋を開けて中を確認する


 「おお、これが〔灼熱剣ブレイズブレイド〕か」
 「ふむ、中々の業物ですね」


 長さは普通のロングソードと変わらないが、刀身が透き通るような赤。まるで赤いガラスを刀身にしたようだ
 柄や鍔の装飾も凝っていて、かなりの値打ち物だろう


 「あ、説明を見れるんだっけ」


 俺は腕輪を確認する


 〔灼熱剣ブレイズブレイド〕レア6
 魔力を流すと刀身が燃え上がる


 うーん、シンプルな説明だ。フレムラの剣と似たようなモンか
 するとレクスが大剣を担いでやって来た


 「やーれやれ、こっちはフツーの大剣だったぜ。レア度も2だし、その辺の店で買える武器だな」
 「そっか。ホレ、持ってけよ」
 「ハァ? いらねーよ。お前たちが倒したんだから、お前たちのモンだ」
 「でもよ、ここは」
 「あーいい、いらね。ならこうしよう、それは手伝ってくれた報酬だ。これなら文句ないだろ?」
 「······わかったよ。サンキュ」
 「おう、じゃあ一旦出るか」


 今回は戦闘だけだったので時間はお昼ぐらいだろう。腹も減ったしちょうどいいな


 「壊子、これを預かってくれ。いいかコノハ?」
 「構いません。どの道、私には不要なので」


 俺は壊子に剣を渡すと、壊子はポケットに剣をしまう




 さて、まずはメシを食うか




───────────────


───────────


───────




 レクスは大剣を換金し、その金でお昼をごちそうしてくれた


 場所は仮設食堂みたいな場所で、冒険者たちが食事をしている
 メニューは簡単で早い物ばかりだけど、量も多いし冒険者にはピッタリだった


 「さぁて、好きなだけ食べてくれ。オレの奢りだぜ」
 「サンキュ、レクス」
 「ありがとう、レクスさん」
 「いただきます」


 俺とコノハは山盛りのチャーハンで、壊子はパスタ、レクスはステーキだった
 味は濃い目で俺好み。スプーンは止まらない
 労働の後だからなおさら美味かった


 食事が終わるとレクスは立ち上がり、身体を捻り出す


 「さ〜て、今日はあと1階層は上に進むぜ」
 「も、もう行くのかよ?」
 「おう。な〜んか楽しくってよ、ジッとしてられねーんだ」


 レクスは会計を済ませると歩き出し、振り向き様にカッコよく告げる


 「困ったことがあればいつでも言いな。じゃあな」


 レクスは軽く手を振って立ち去った
 うーん、なんかカッコいいな


 「あの······困ってたのはあの人ですよね? 何故あんなに偉そうなのでしょうか?」
 「それに〔ブルーウンギョウ〕の手足を切り落としたのも、ダメージを与えたのも殆どわたしだよ? あの人の攻撃なんて全然効いてなかったのにね」




 やれやれ、彼女たちの評価はだいぶ低いようだな




───────────────


───────────


───────




 食事も終わり、今日は帰ることにする


 これからダンジョンに入ったら夜になるし、時間的にも中途半端なので今日はのんびりすることにした


 「コノハ、買い物は?」
 「いえ、大丈夫です」


 食材もあるし、特に必要な物はない
 このまま帰ってのんびりと、それこそ壊子としっぽり楽しむのもいいかもな
 そんな時だった。俺たちのすぐ側を1台の魔導車が通り、少し進んで停車した


 「何だ?」


 すると魔導車のドアが開き、1人の青年が降りてきた


 「やっぱり、ジュートじゃないか⁉」
 「え、まさかフィンテッド⁉」




 まさかのまさか、フィンテッドだった





「ホントウの勇者」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く