ホントウの勇者

さとう

戯遊機塔メガラニカ・マグダーラ⑤/概要・偽装



 朝食を終え、一息ついてダンジョンへ


 「あのさ、俺たちは2階層からだけど、コノハはどうなるんだ?」
 「大丈夫。わたしたちとパーティを組めば、最深部からのスタートになるから」


 今日もダンジョンは混雑してる。まだ3日目だってのにかなりの人たちが来てる
 しかも、何人も弾かれては地底迷宮へ。どうやら経験値を集めに行くらしいね


 「ちゃんとアナウンスが入るから大丈夫だよ。弾かれた人はむしろヤル気になるんじゃないかな」


 確かに。よく見ると弾かれた冒険者は、悔しそうだが笑ってる
 あ、次の冒険者はレクスだ。意気揚々とゲートを潜って行った


 「コノハ、無理はするなよ」
 「はい。気を付けます」




 そして、俺たちの番になりゲートを潜る




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 このダンジョンでは「レベル制度」がある


 塔の入口にあるゲートが対象者をスキャン。過去の戦闘データや装備、身体能力などを統計する。そして総合的な数値をデータ化して表示する。よくわからん


 ここに現れるモンスターは、野生に生息するモンスターのステータス値の5割増し。弱いモンスターならいいが、強ければ強いほど数値は強力になっていく
 人間の限界数値は999だが、モンスターにはそれが当てはまらない。攻撃力9999のモンスターもいるそうだ


 ダンジョンはモンスターだけではない。凶悪なトラップや、素材の収集など細かな達成条件が設定されているので、強ければいいというものでもないそうだ
 マフィの推測だと、このダンジョンが踏破されるのは数百年以上掛かるだろうと踏んでいる
 その間に冒険者同士が情報を共有し、各階層ごとに対策を立て、ようやく踏破するのに数百年だ。これは長い


 マフィ曰く、この塔は改良の余地があり、これからも改造しながら楽しむそうだ




 以上が、この〔戯遊機塔メガラニカ・マグダーラ〕の全貌だ




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 「······てな感じかな」
 「なるほど。要は究極の暇つぶしか」


 壊子の説明を聞きながら、俺たちは2階層の階段を登っていた
 階段を登りきると、大きな石の引き戸がゴゴゴと開く。そして2階層に到着して驚いた


 「なんだこりゃ······ジャングルか?」
 「ほら、腕輪を見て」


 俺たちが到着したのは、蒸し暑いジャングル
 壊子に促され腕輪をチェックすると、この階層の攻略条件が表示される


 〔戯遊機塔メガラニカ〕第2層・【プラントジャングル】
 クリア条件・宝箱を探し当てろ


 「なるほどね、今回は探索系の攻略条件か」
 「宝箱って······このジャングルから?」
 「そうみたいですね」


 見渡す限りのジャングルだ
 たまにギィギィと得体の知れない声が聞こえるし、ジャングルの奥からは不吉な気配もする


 「気を付けろ、何かいるぞ」
 「はい」


 コノハはすでに〔震拳ガドベンド〕を装備してる
 そういえばコノハのステータスは?


 「なぁコノハ、コノハのステータスを見てもいいか?」
 「ステータス······この数値ですか。どうぞ」


 コノハが腕をグイッと付き出すと、半透明の青いディスプレイが現れる


 「ジュートくん、言ってなかったけど、メニュー画面はタッチパネルになってるから、気になる項目には説明が付いてるよ。あとジュートくんのステータス値を偽装しておいたから、確認してね」
 「わかった。サンキュ」


 取り敢えず、コノハのステータスはこんな感じ


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 【コノハ】 拳闘士グラップラー


 【レベル43】
 体力C 3850
 攻撃力C 398(+120)
 防御力C 310(+80)
 俊敏性B 510
 魔力D 1010
 属性【緑】


 【装備】
 武器 〔震拳ガドベンド〕+120
 防具 〔格闘家の服〕+80
 アクセサリ なし


 【特殊】
 1・『乱れザクロ』
 2・『舞散木ノ葉まいちりこのは


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 「うん、騎士団の団長レベルの強さだね。冒険者の等級で言えばA級の上位クラスだよ」
 「はい、光栄です」
 「あ、ああ。それにしても何だろう?」


 俺は『乱れザクロ』と『舞散木ノ葉まいちりこのは』が気になり、その項目をタッチする


 『乱れザクロ』・コノハ渾身の連続蹴り。実験台となったモンスターの内蔵がザクロのように飛び散ったことから命名された
 『舞散木ノ葉まいちりこのは』・単体専用の奥義。上中下のコンビネーション攻撃


 こ、怖ェェェッ⁉
 なんだよ『乱れザクロ』って。いつの間にこんな技を⁉


 「ジュート殿、どうかなされましたか?」
 「ウヒっ⁉ な、何でもないです‼」


 ステータス値は平均的だが、技が恐ろしすぎる
 コノハって怒らすと怖いタイプだな


 「おっと、俺のステータスもチェックしとくか」


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 【ジュート】 冒険者


 【レベル45】
 体力A 5200
 攻撃力A 620(+200)
 防御力B 580(+200)
 俊敏性D 380
 魔力C 2800
 属性【灰】


 【装備】
 武器 【夫婦双剣ビャクイザナギ・シコクイザナミ】+100
    〔マルチウェポン〕+50
    〔カティルブレード〕+50
 防具 【友情の約束プロメッサ・アミティーエ】+200
 アクセサリ なし


 【特殊】
 1・『世界蛇ヨルムンガンド
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 うーん。まだ少し高い気もする
 まぁいいか。装備品のおかげということにしておこう


 「よし、そろそろ行くか」
 「うん」
 「はい」




 宝箱探し、頑張ろう‼




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 「気を付けろコノハ、そっちにいるぞっ‼」
 「はいッ‼ カイコさんッ‼」
 「わたしは大丈夫、前をお願いっ‼」


 現在、ジャングルのモンスターと戦闘中。敵は上空から木の蔦を使い、ターザンのように現れた


 「〔グリーンマンキー〕だね。ここはあのモンスターの庭みたい」
 「チッ、面倒だな」


 俺はサルのステータス値を確認する


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 【グリーンマンキー】
 【レベル42】
 体力 1530
 攻撃力 230
 防御力 126
 俊敏性 740
 魔力 240
 属性【緑】


 【装備】
 武器 なし
 防具 なし
 アクセサリ なし


 【特殊】
 1〔投石〕
 2〔ひっかき〕


 【ドロップアイテム】
 標準 猿の毛皮
 レア 猿の睾丸
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 おいおい、睾丸なんていらねーぞ。おっと、そんなことより猿だな
 蔦をしならせ器用に移動してる。なかなか素早いし、奴らは投石で俺たちを狙ってきた


 「ジュート殿、魔術で地上に引きずり落とせばよろしいかと」
 「いいね、ちょうどそう思ってたんだ」


 コノハの問いにニヤリと笑い、俺は手を上空に掲げる


 「【紫】の上級魔術、【雷電放電ライディン・スパーキング】!!」


 上空に雷光が弾け、緑色のサルがボトボト落ちてくる
 するとコノハが落ちてきたサルを蹴り飛ばした


 「はっ!! やッ!!」


 よかった、普通に蹴り飛ばしてる
 サルがザクロなることはなく、絶命したサルは静かに消えていった


 「あ、ノーマルドロップと……やった、レアドロップだ」
 「いや、毛皮はいいけど睾丸はノーだ。捨てなさい」
 「はーい。じゃあ毛皮だけ」


 いくつかの大きな布の袋の中に、1個だけ金色の袋があった
 レアアイテムなのに全く嬉しくない。廃棄決定だ
 壊子は大きな布の袋をポケットへ収納した


 「じゃ、探索の続きだね」
 「ああ。慎重に行こうぜ」


 言っちゃ悪いがこの階層は雑魚ばかり。さっさと宝を見つけよう


 「それにしてもラッキーだったね。探索系の中でも宝箱探しは1番難易度が低いんだ」
 「へぇ、他にはどんなのがあるんだ?」
 「そうだね、例えば……階層に上がると同時にグループ全員が毒に侵されるの。そしてその階層で制限時間内に解毒剤の材料を集めてゴール地点で調合、解毒するってところかな」
 「ハードすぎね? 死んじゃうだろ?」
 「うぅん、死ぬんじゃなくて外へ戻されるの。もちろん次にダンジョンに入っても同じ場所からだよ」


 うーん。その階層に入ったら詰んだも同然だな
 薬品調合の知識なんてないしな




 とにかく、さっさと宝を見つけよう。腹減った




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 ジャングルを彷徨うこと数時間


 疲れもピークに達し、いつの間にか会話がなくなった頃、ようやく宝を発見した
 小さな石造りのお社に安置された、いかにもゲームに出てきそうな宝箱だ


 「や、やっと……やっと見つけた」
 「長かったぁ~……」
 「ふぅ、流石に疲れました」


 全員が疲れた顔をしていたが、ここでようやく笑顔になる


 「……ん? な、なんだ!?」


 すると突然、地面に紋章が浮かび上がり、モンスターが現れた
 それと同時に聞き覚えのある軽快なBGM。これってまさか


 「気を付けて、宝を守る番人だよ!!」
 「番人、というよりは「樹木」ですね」


 そう、モンスターは化物の木。木の幹に凶悪な顔が描かれたモンスターだ


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 【グリーントレント】
 【レベル52】
 体力 7800
 攻撃力 690
 防御力 1320
 俊敏性 15
 魔力 3100
 属性【緑】


 【装備】
 武器 なし
 防具 なし
 アクセサリ なし


 【特殊】
 1〔ツルのムチ〕
 2〔葉っぱカッター〕


 【ドロップアイテム】
 標準 ウッドロッド
 レア 魔術師の杖
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 樹木だからか、防御力が高い
 しかし、腹も減ったし疲れてる俺はイライラしていた


 「うっぜぇッ!! 【黄】のオリジナル魔術・【地巨人スプリガン】!!」
 「ちょ、ジュート殿!?」


 樹木の背後に現れたのは、岩の巨人
 大きな拳を振り上げて樹木を叩き潰す


 「うわぁ……バラバラになっちゃった」
 「………」




 コノハは何故かガックリしてる。とにかく勝利だ!!




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 ドロップアイテムはウッドロッドだった。まぁそう簡単にレアは出ないよね


 「こ、コノハ?」
 「………何か?」


 何故だろう、宝箱は目の前にあるのにコノハの機嫌が悪い
 もしかして……もしかして


 「もしかして……戦いたかったのか?」
 「………いえ、別に」


 やっべ、こりゃ絶対そうだわ。やっちまったー、コノハは修行のために来たフシがあるのに、コノハにとって初のボスキャラを瞬殺してしまった。おーまいがー


 「ねぇねぇ、宝箱あけるよー」


 壊子さんや、こっちのフォローをお願いしますぜ
 しかし壊子は宝箱をパカリと開ける


 「おお、これは〔魔術師の法衣〕だね。レアアイテムだよ!!」
 「あ、そう……」
 「おめでとうございます。カイコさん」


 すると、いきなり目の前に階段が
 どうやら3階へ繋がる階段らしい。脱出装置もある




 とにかく出よう。腹減ったぜ



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