ホントウの勇者

さとう

戯遊機塔メガラニカ・マグダーラ①/レクス・塔



 マホロバの里を出て数日。俺は1人で魔導車を運転していた


 リリとコノハはマフィのところへ
 最初は少し緊張していた2人だが、マフィの容姿と黎明たち、さらに巨大ウサギのハミィもいてか、直ぐに馴染んだ
 コノハは鍛錬を続け、リリはマフィとハミィと一緒に遊んでる


 そして俺は現在1人というワケでございます
 もうちょっと一緒に居ても良かったかな、なんて感じてしまうが、ここでリリたちを呼ぶのも何か恥ずかしい。まるで寂しがってるようだし


 まぁ仕方ない
 〔地底迷宮アンダーザホール〕まであと数日、とっとと補給を済ませて〔龍の渓谷〕へ向かわないとな


 「さて、あとどれくらいで着く?」
 《あと数日ネ。順調ヨ》


 シロはお昼寝中なのでクロと一緒。なんか2人きりなのも久しぶりだね




 ま、焦らずのんびり行きますかね




───────────────


───────────


───────




 順調に走ること数日。俺とクロは〔地底迷宮アンダーザホール〕へ到着した


 「やっぱ賑わってるな」


 案の定、冒険者で賑わっていた
 地底迷宮の入口は広く、大きな鳥居みたいなものが見える
 コノハの言った通り、商人がたくさん商売してる
 魔導車自体が販売所になってたり、簡易テントを広げて商売してたり、敷地内に家を建てて商売してる。よく見ると酒場や宿、武器防具屋もある、至れり尽くせりだな


 「おいおい、ギルドまであるぞ」


 プレハブみたいな簡易冒険者ギルドまであった。迷宮にしかない素材でもあるのかな
 すると、ギルドの入口で見覚えのある顔が見えた


 「あれ、レクスじゃね?」


 首に黒いドッグタグを自慢家に見せつけながら、仲間らしき冒険者と語り合ってる青年がいた
 俺の視線に気が付き、顔を喜びに綻ばせながらコッチに来た


 「おいおいおい、ジュートじゃんか⁉ ははは、こんなとこで会えるとはなぁ‼」
 「どーも、元気そうで」
 「ったく、オレとお前の仲だろ? 堅苦しいのはナシにしようぜ。よーし、約束通り一杯奢るぜ?」


 レクスは肩を組み酒場を指差す。まぁいいか


 「じゃあせっかくだし、ゴチになるわ」
 「よっしゃ行くぜ‼」




 こうして俺とレクスは酒場へ向かった




───────────────


───────────


───────




 「いや悪かった、挨拶もナシに出て行っちまってよ。S級の認定を受けたあと、直ぐにここのダンジョンに来たんだ。知り合いの冒険者に自慢したくってよぉ······同じS級なら分かるだろぉっ⁉」
 「あ、ああ。分かる分かる」
 「そうだろそうだろ。ほれ、もっと飲め飲め」


 レクスはすっごい上機嫌だった
 なんだかんだでS級になれたのが嬉しくてたまらんそうだ


 「オレは孤児でよぉ、たまたま武芸の才能があったからこうして冒険者やってるけど、ホントは商人になりたかったんだよ。でも商才がないモンだから、全財産をスッちまって······仕方ないから冒険者やってたら、最高ランクのS級まで来たんだ‼ なぁジュート、オレはどうするべきだ⁉ このまま冒険者を続けるか、今まで稼いだ金を元に商人に転職すべきか、なぁ‼」


 ヤバい、めっちゃ酔ってる。息が酒臭い
 取り敢えず水を飲ませて落ち着かせる


 「悪い、少し飲み過ぎたみたいだ」
 「気にすんなって」


 俺はレクスを支えて店の外へ出る
 ちなみに代金は何故か俺が支払った。ホワィ⁉


 「げっ⁉」
 「······ん? おいジュート、何だよそれ?」


 俺の右腕のバンドがピーピー鳴り出した
 レクスが不審そうに見てる


 「なんの魔道具だよ? 初めて見たけどよ?」
 「あー何でもない。ちょっと待ってて」


 俺はレクスから離れ、誰もいない場所へ


 「何だよマフィ、ちょっとビビったぜ」
 『スマンな。それより······ふむ、地底迷宮の近くか。まぁいいだろう』
 「何がだよ?」
 『いや、壊子と創ったダンジョンが完成してな。お前に確認をしてもらいたいんだ』
 「確認って······」 
 『なに、踏破しろとは言わん。少し潜って感想を述べてくれ。案内人として壊子を送る』
 「まぁいいけど。場所はどこだ?」
 『ああ、これから送る・・・・・・
 「······は?」




 次の瞬間、物凄い地震が起きた




───────────────


───────────


───────




 「なにあれ、夢か?」


 地面を引き裂くように現れたのは、鋼色の円柱。円柱の最下部には入口のようなものが見え、まるでゲートみたいに見える
 周りの冒険者たちは大騒ぎしてる、まぁ当然だよな


 「そう、あれがわたしとマフィの共同作品にして最高傑作のダンジョン
 〔戯遊機塔きゆうぎとうメガラニカ・マグダーラ〕だよ。スゴいでしょ?」
 「うぉっ⁉ か、壊子⁉」
 「久しぶり。今回はわたしの番だから、わたしだけね」


 いきなり背後から声が聞こえたからビビった。すると右手のバンドから声が聞こえる


 『私の頭脳にアトレシャトーラの力、そして壊子の想像力が1つとなった最高のダンジョンだ。ふふふ、面白いだろう?』
 「いや待てよ、いきなり過ぎんだろ。冒険者たちが逃げ惑ってるぞ」


 慌てて逃げる冒険者や武器を構える冒険者、避難誘導をしてる冒険者など様々だ


 『気にするな。無害と分かれば問題ないだろう』
 「あのな······」


 まぁ仕方ない。今更どうしようもないしな


 「それより行こう、ダンジョンを案内するから」


 壊子が俺の腕を取り、ゆっくりと歩きだす。ヤバい、柔らかくて気持ちいい
 タワーに向かって歩くとレクスがいた


 「おいジュート、何だよありゃあ⁉」
 「落ち着けって。酔いは覚めたのか?」
 「当たり前だっつーの‼ あんなモン見せられて酔っ払っていられるか‼」


 そりゃごもっとも。間違いないね


 「ん? おいジュート、こんな時にイチャつくなよ。とにかく逃げようぜ」
 「いや、ちょっと待てよ。あれは······」


 俺がレクスにどうやって説明しようか考えてるときだった


 『聞こえるか、勇敢なる冒険者たちよ』




 円柱の塔から、マフィの声が聞こえてきた




───────────────


───────────


───────




 『この塔は〔戯遊機塔メガラニカ・マグダーラ〕 この私、【戯神マレフィキウム】の最高傑作にして最難関のダンジョンである。勇敢なる冒険者諸君、是非とも挑戦し攻略をしてみてくれたまえ。なお最上階には伝説の武器がある。その武器を持つものは英雄となるであろう。では、頑張ってくれ』


 おいおいマフィのヤツ何考えてんだ⁉


 「ま、マレフィキウムって確か······ダンジョンを創った伝説の神だよな?」
 「で、伝説の武器······え、英雄だってよ」
 「まさか〔勇者ヴォルフガング〕に縁のある武器じゃないか?」
 「最難関のダンジョン······燃えてきた」


 ああ、周りの冒険者たちが少しずつ戻ってきた
 しかも何かヤル気になってるし、競争するように入口に殺到してる


 「おっしゃ‼ オレも行くぜジュート、お先っ‼」


 あ、レクスも風のように走っていった


 「おいおい、大丈夫なのかよ」
 「大丈夫。資格がないと入れないからね」
 「資格?」
 「うん、ほら見て」


 一組のグループが門を潜ろうとした時、透明なバリアが行く手を阻んだ。なんだありゃ?


 「あそこのゲートは戦闘力をスキャンするの。そして一定値の戦闘力がないと中には入れない仕組みになってるの」
 「そりゃハイテクだな」
 「うん。ちゃんとアナウンスも入るから、入れなかった人たちは強くなって戻ってくるよ」


 なるほど。「弱いから入れません」なんて言われたら、ショックを受けるかもっと強くなってやるのどちらかだよな


 「おっしゃ、行ってくるぜ‼」


 あ、レクスが入って行った
 すると、レクスの前に入ったグループが転移して現れた


 「一定のダメージを受けると、強制的に入口に戻されるの。これも死なないように対策したんだ」
 「凄いな、あんな小さな神器でここまでやるとは」
 「ううん、〔第二神化形態〕を使ってようやく完成したの。私の『機よ創り手よデウスエクスマキナ・孤独無き世界へロンリネスワルド』じゃないと、これ程の規模の物は作れなかったからね」


 壊子はニッコリ笑う。さすが俺の嫁


 「じゃあジュートくん、わたしたちも行こう」




 ま、せっかくだし入ってみよう。なんか寄り道ばっかで申し訳ないけど





「ホントウの勇者」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く