ホントウの勇者

さとう

秘境マホロバの里⑤/S級・昇格試験



 「······あれ、水萌?」


 朝。起きると既に水萌はいなかった
 昨夜は結局、リリとコノハと一緒に風呂へ入り、性的接触はなかったが2人の裸をマジマジ見てしまった


 家族、と言っても16歳と18歳の女の子。リリはまだこれからだが、コノハは中々の豊満ボディ。当然ながらムラムラしてしまい分身は剛直、2人にもマジマジ見られてしまい、逃げるように水萌の部屋へ
 そのまま深夜近くまでハッスルし、倒れるように眠ってしまった


 今日はギルドに行くのでフル装備
 居間に行くと全員が揃っていた。どうやら俺を待っていたらしい


 「ごめんごめん、遅くなった」
 「もう〜、水萌ちゃんにムリさせすぎ〜」
 「く、括利ちゃん⁉ 私は、その、平気だから······」
 「あなたたち、朝から止めなさい」
 「は〜い。麻止ちゃんだってオフロで頑張ってたクセに〜」
 「んな⁉ く、括利‼」


 朝から騒がしい。けど楽しいな
 座椅子に座り、全員でご飯を食べる。するとリリが本日の予定確認


 「え〜っと、みんなの予定は、私とコノハとククリさんがお買い物、マトメさんが古本屋、ミナモさんが金物屋、兄さんが冒険者ギルドですね」
 「うん。私は金物屋さんが終わったら、麻止ちゃんと合流してお買い物に行くよ」
 「そっか〜、ならさ、みんなでお買い物しよ〜?」
 「それはいいですね。ミナモさん、よろしければ今夜の食材を買いませんか? まだまだ料理を教えて頂きたいのですが」
 「もちろん、コノハさんはスジがいいから教えるのも楽しいよ」


 何故だろう、なぜ俺はアウェー感を感じてるんだ? 
 するとリリはストップをかける


 「ちょっと待って、今日の夜はみんなでカニを食べたいな。兄さんと一緒に行った〔鍋道楽・カニ園〕に行きたい」


 その発言に反対意見は出なかった
 コノハと水萌は、買い物はするけど料理は明日という結論になる。2人の料理が食べられるのなら問題ない


 「兄さん、気をつけてね?」
 「ああ」


 リリは最初、ギルドに着いて行きたかったみたいだが却下した。危険な依頼かもしれないし、モンスターの退治なんてリリに見せたくなかった
 朝食も終わり一息つき、俺は立ち上がる




 よし、ギルドへ行きますかね




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 「お前ら、何か食うか?」


 俺の隣にはクロとシロ。俺が屋敷から出ると外で待っていた


 《じゃあお魚がいいワネ》
 《ボクはお肉がいいなぁ》


 こいつらもブレないね。そこがありがたい
 クロは俺の肩に、シロは俺の足元をスタスタ歩いてる


 《クンクン······あ、お魚を売ってる場所を見つけた。あとお肉も》
 「よし、行くか」


 シロの案内で進むと、サンマみたいな焼き魚を売ってる露店と、焼き鳥みたいな串焼きを売ってる露店を発見した
 朝は食べたけど、こんなにいい匂いなら俺も食べるしかない。さっそく買ってクロとシロへ食べさせる


 「う〜ん、美味い」
 《だね、焼き立てはサイコーだね》
 《確かにネ。アツっ⁉》


 クロは舌を出してヒーヒー言ってる。どうやら熱かったらしい
 店の近くに水道があったので、水を汲んでクロに渡した




 ゆっくりした朝、散歩しながらギルドへ……はぁ、いいね




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 冒険者ギルドへ到着し、障子の引き戸をガラガラ開ける
 すると、たくさんの冒険者グループが、一斉に俺を見た


 「おぉ、待っとったでぇ。ささ、こっちこっち」
 「わわ、ちょ、サザンカさん!?」


 サザンカさんに引っ張られ、ギルドの2階特別応接室へ
 畳敷きの豪華な和室、彫りの入った高そうな机に、ふかふかの座布団だ
 シロにも座布団が敷かれ、クロはシロの上に腰掛けた。仲いいね


 「ま、粗茶でも」
 「ど、どうも」


 大きな湯飲みに濃い緑の液体が注がれ、さらにはお茶菓子の大福まである。しかも紅白大福だ
 俺はお茶を啜り、竹の串で大福を切り分けて1口……甘くて美味い


 「さて、あんさんへの依頼やけど……実は、そろそろS級の昇格試験なんや」
 「昇格試験……? じゃあ下に居た冒険者グループは」
 「そ、全員がA級の冒険者や。今日から昇格試験の受付でなぁ、みーんな気が立っとんねん」
 「はぁ、それで俺は何を?」


 ここでサザンカさんはお茶を啜り、喉を潤して俺に言った


 「あんさんには、昇格試験の試験官をやってもらいたいんや」




 俺はお茶を噴き出しそうになった




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 「お、俺が試験官ですか!?」
 「そや、あんさんの依頼履歴を覗かせてもろうたが、討伐モンスターはSレートとSSレート、んでつい最近は〔ユーグレナ魔術学園〕の講師補佐もやってん。これ以上の適任はいないわ」


 う、そう言われればその通りだけど、俺が試験官なんて務まるわけがない


 「その顔は「俺が試験官なんて務まるわけがない」っちゅう顔やな?」
 「うぐ。そ、その通りです」


 まんまと見透かされた。ヤバい、俺ちょっとこの人苦手かも


 「心配せんでええよ。あんさんの仕事は戦闘試験だけや、他の試験は見てるだけでええ」
 「せ、戦闘試験……?」


 なんか不安しか感じないな。それにイヤな予感
 サザンカさんは茶を啜り、キセルを吹かしながら言う。今さらだがそんな仕草がとても似合う


 「簡単や、冒険者1人1人と戦って、S級に相応しいかどうか判断するんや。判断の基準はあんさんに任せる」
 「で、でも、戦士とかならともかく、魔術師はどうやって判断すれば」
 「簡単や、その場合はグループと戦闘して貰えばええ。1対複数でも、あんさんなら問題ないやろ?」
 「……マジすか?」


 確かに負ける気は無いが正直きつい。それにさっき見ただけでも50人は居たぞ
 ようは戦士系はタイマン、魔術師系はグループ戦闘か。キッツ!?


 「あ、あの、戦闘試験の教官は俺1人ですか?」
 「そうや? なんか問題あるんか?」


 大ありだよ、1人で50人相手にしろってか


 「もちろん報酬はたっぷり弾むさかい、よろしゅう頼むわ」


 あれ、これって決定のパターン? 俺やるなんて言ってないけど
 するとサザンカさんは俺の側に擦り寄り、とろけるような熱っぽい声で言う


 「それと……あんさんが望むなら、「特別ボーナス」を、出したってもええで……?」
 「うひっ!?」


 俺にしな垂れかかり、耳元で囁きかけられ、さらに身体を押しつけ耳に吐息をかけられる
 まずい、これが大人の女性の魅力。年月を重ねた「女」だ


 「わ、わわ、わかりまひた。ヤラせていただきます」
 「んふぅ、ありがとなぁ。試験は3日後や、明後日に最終打ち合わせあるから、そんときギルドに来てやぁ」
 「は、はひ」




 俺は立ち上がり、逃げるようにギルドを後にした




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 《ジュート、アナタってコは……》
 《やれやれ》
 「う、うるさいな。仕方ないだろ」


 S級の昇格試験の試験官か、面倒な依頼を受けてしまった
 しかも女の色香にそそのかされ、半ば強引に


 「はぁ、仕方ないか」


 試験は3日後、明後日に最終打ち合わせだな
 けっこう時間があるし、空いた時間で麻止の言ってた古書店にでも行こうかな


 「あ、兄さーん!!」
 「ん? リリ、それにみんな」


 俺の嫁プラスリリとコノハのフルメンバー
 そう言えば買い物一緒に行くって言ってたな。まさか会えるとは


 「兄さん、ギルドの用事は終わったの?」
 「ああ、ちょっと面倒な依頼を受けちまってな」
 「依頼?」


 と、ここでリリのお腹が鳴る


 「あ……えへへ、これからみんなでご飯なんだ。兄さんは?」
 「いいな、俺も腹減ったし、一緒に行くよ」
 「ホント!? やったぁ!!」


 リリが俺の腕に絡みつき、身体をグイグイ押しつける
 柔らかい膨らみが腕に密着して気持ちいい




 ま、今はこの感触を楽しみますかね



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